○ 実機レビュー (2010年 春モデル)
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HP Pavilion Desktop PC s5350jp は 2010 年 春モデルの省スペース型パソコンです。
HP の s5000 シリーズ には、インテル社の CPU (性能重視)を使ったもの(s5350jp)と、AMD 社の CPU (低価格重視)を使ったもの(s5330jp)がありますが、今回レビューする s5350jp はインテル社の CPU を使った性能重視タイプです。
s5000 シリーズのようなスリムサイズのパソコンは、どちらかと言うと高い性能を要求しない・・・ つまり手ごろな価格と相応の性能で、インターネットやメール、ホームページの作成や表計算などの業務、テレビやDVD/ブルーレイなどの映画を見るなど、仕事か一般用途で使うために購入される事が多いです。
そのためか、このモデルの初期設定は低価格な構成になっていて、最新型ですが低性能・低価格型の CPU 「Core i3」が選択されており、メモリは少なめ(2GB)、ハードディスク容量も小さめ(250GB)、グラフィック機能は CPU 内蔵(ビデオカードなし)というものになっています。
これだと、価格は約5万円となります。 テレビが見れる地デジモデルにしても約7万円です。
確かに安くて手頃で、小型で机の上に置いても邪魔にならない大きさですから、ちょっとした会社の業務に使う程度や、2台目の補助用のパソコンとして使う場合だと、ベストマッチするパソコンだと言えますね。
ただ、この s5350jp は「H57」という最新型のマザーボード(チップセット)が使われています。
これはもっと高性能な CPU も使えるタイプで、新型の高性能 CPU である Core i7 も使用可能です。
メモリも最大 8GB まで搭載でき、ハードディスクも 2TB(2000GB)のものを選ぶ事が可能です。
こうすると価格は高くなりますが、普通の大型パソコンと同じ規模の性能を持たせる事ができます。
唯一の弱点は本体のサイズと電源出力の影響で、高性能なビデオカード(グラフィックカード)が使えない事で、そのためゲームは得意としません。
ただ「モンスターハンター推奨モデル」が用意されている事からも解るように、まったく出来ないという訳ではなく、「GeForce GT220」というビデオカードを装備する事で、最新の 3D グラフィックのゲームにも対応させる事が可能です。
この辺りの拡張面に関しては後述します。
さて、今回 HP 様から送って頂いた、検証に使用した実機は以下のようなものでした。
OS | Windows 7 Home Premium 64bit 版 |
CPU | Core i5 750 (2.67GHz、4コア) |
メモリ | DDR3 4GB |
ビデオカード | RADEON HD 4350 (VRAM 512 MB) |
HDD | 1TB(1000GB、製品名 Barracuda 7200.12) |
マザーボード | H57 チップセット |
その他 | 地デジチューナーカード搭載 |
CPU の Core i5 750 は、中間性能型の CPU と言えます。
中間性能と言っても最新型であり、一昔前(2〜3年前)に主流だった Core 2 Duo と比べると、数倍の性能を持ちます。
メモリは普通ぐらい、HDD も余裕がある容量となっていますね。
この構成だと価格は約 12 万円ほどになります。 地デジがなければ 10 万円前後です。
価格的には性能相応でしょうか。
ただ、今回の検証でやや困ったのは・・・
今回お借りした実機には「RADEON HD 4350」というビデオカードが付いたのですが、実際にはこのビデオカードは s5350jp では選択できません。
つまり、「実際に販売されているものとは異なる構成」になっています。(s5330jp では選択可能です)
よって、ビデオカードが関連するグラフィック性能、及びゲーム等で使用した際の検証結果は、その点を加味した解説にしていますのでご了承下さい。
さて、今回はケースの外観や使用感から説明いたします。
このパソコンの最大の特徴は「スリム」なこと、本体が小さい事ですからね。
通常のパソコンと並べて大きさを比較してみると、以下のような感じです。
(この写真は以前 s5250jp の解説で使ったものと同じですが、ケースはその時と変わっていません)
上記のように他のパソコンよりと比べると、かなり小さめです。
上の画像で比較に使っている e9000 ケースも、右の写真を見てわかる通り、一般のパソコンより一回り小さめです。
s5350jp を始めとする s5000 シリーズのケースは、それよりさらに2回りほど小さい事になります。
しかし大きさの規格自体は「Micro ATX」と呼ばれる一般規格に沿っています。
そのため大型のものでなければ一般規格のパーツを使用する事も可能で、この点は小さい本体でありながら相応の拡張性を持っていると言え、サイズの割に性能が高い要因にもなっています。
(ただ中のスペースが狭いので、内部パーツの増設などは考えない方がいいでしょう)
前面パネルには黒光りする光沢処理が施されており、「高級感」があるのも大きな特徴ですね。
また「東京生産」と書かれたシールが貼られており、国内生産であることもアピールされています。
HP さんのデスクトップパソコンの特徴に、「拡張HDD」を入れられるスペースが用意されている事があげられます。
下部に着脱式の「ポケットメディアドライブ」というものを内蔵できるようになっていて、これは USB 接続も可能な外付けの HDD であり、250 GB などの容量があります。
前面部には USB が2つと、イヤホンジャック、SDカードリーダーも付いています。
背面部の端子は、USB が6つ、IEEE 1394 が1つ、オーディオの光デジタル端子が1つ用意されています。
eSATA などはありませんが、IEEE 1394 があるのはビデオカメラを持っている人にはありがたいでしょう。
CPU の名前 | 性能値 (PC mark 05) |
価格 (2009年冬現在) |
100円あたりの 性能値 |
(専門的な解説) |
Core i3 530 (最新廉価型) |
7500 | 12000円前後 | 63 | 2.93GHzでデュアルコア、2010年1月登場 ターボブーストテクノロジーはない ハイパースレッディングで最大4スレッド処理 L3キャッシュ4MB、メモリは2枚一組で使用 内蔵グラフィック機能あり |
Core i5 650 (最新中間型) |
9000 | 20000円前後 | 45 | 3.2GHzでデュアルコア、2010年1月登場 ターボブーストテクノロジーで最大3.46GHz ハイパースレッディングで最大4スレッド処理 L3キャッシュ4MB、メモリは2枚一組で使用 内蔵グラフィック機能あり |
Core i5 750 (中間上位型) |
9400 | 25000円前後 | 38 | 2.66GHzでクアッドコア、2009年9月登場 ターボブーストテクノロジーで最大3.2GHz 最大4スレッド処理 L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用 内蔵グラフィック機能なし |
Core i7 860 (改良型) |
10100 | 30000円前後 | 34 | 2.8GHzでクアッドコア、2009年9月登場 ターボブーストテクノロジーで最大3.46GHz ハイパースレッディングで最大8スレッド処理 L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用 内蔵グラフィック機能なし |
Core i7 870 (改良上位型) |
10600 | 60000円前後 | 18 | 2.93GHzでクアッドコア、2009年9月登場 ターボブーストテクノロジーで最大3.6GHz ハイパースレッディングで最大8スレッド処理 L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用 内蔵グラフィック機能なし |
HP Pavilion s5150jp |
HP Pavilion s5250jp |
ドスパラ Galleria JF |
HP Pavilion HPE 190jp |
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2009年秋モデル | 2009年冬モデル | 2009年冬モデル | 2010年春モデル | ||
CPU | Core2Quad Q9650 (3GHz、4コア) |
Core i5 750 (2.6GHz、4コア) |
Core i5 750 (2.6GHz、4コア) |
Core i7 920 (2.6GHz、4コア) |
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メモリ | DDR3 4GB | DDR3 4GB | DDR3 4GB | DDR3 6GB | |
VGA | GeForce GT 220 | GeForce G 210 | GeForce GT 220 | GeForce GTX 260 | |
構成 | スリムサイズ | スリムサイズ | スリムサイズ | 通常型 | |
ベンチマークソフト 3D mark 06 |
総合 | 6200 | 2600 | 7200 | 14900 |
CPU | 4350 | 4200 | 4200 | 4750 | |
大航海時代 Online |
ノーマル | 2600 | 1700 | 2650 | 2950 |
FFXI (ファイナルファンタジーXI) |
HIGH | 8600 | 7300 | 6700 | 10200 |
モンスターハンター フロンティア |
1280x1024 | 5800 | 1150 | 3650 | 10100 |
ロストプラネット EXTREME CONDITION |
DX10 Snow+Cave |
-- | 19 + 25 | 53+68 | 143+150 |
※3D mark 06 はゲームではありませんが、世界標準と言える 3D グラフィック性能の測定ソフトです。
大航海時代 Online はノーマル測定です。 このソフトは 2D(平面)グラフィックの描画速度などもスコアに影響する特徴があります。
FFXI とモンスターハンターは初期設定のままで測定を行っています。
ロストプラネットは DX10 モードで測定。 ロストプラネットの Snow は霧や風などが、Cave は多数のキャラクターが表示されます。
目安として、大航海時代 Online は 300 以上で快適、FFXI は 4000 以上で快適、モンスターハンターは 3500 以上で快適、ロストプラネットは 60 以上で快適です。
CPU | Core i7 860 |
メモリ | DDR3 4GB |
ビデオカード | GeForce GT 220 |
HDD | 1TB ハードディスクドライブ |
オプティカルドライブ | DVD スーパーマルチドライブ(標準) |
CPU | Core i5 650 |
メモリ | DDR3 4GB |
ビデオカード | GeForce G210 |
HDD | 250GB ハードディスクドライブ |
オプティカルドライブ | DVD スーパーマルチドライブ(標準) |
CPU | Core i5 650 |
メモリ | DDR3 4GB |
ビデオカード | GeForce G210 |
HDD | 1TBハードドライブ |
オプティカルドライブ | ブルーレイ再生/DVDスーパーマルチドライブ |
追加 | 地デジチューナーカード |
・日本HP Pavilion Desktop PC シリーズ ※すでに後継モデルが登場しているため、リンクは HP Pavilion シリーズのトップページに移動します。 ・OS は Windows 7、32bit/64bit 選択可能 ・小型のパソコンですがパーツ自体は一般規格(Micro ATX)です ・カスタムモデル/ダブル地デジモデル等、複数モデルあり ・日本HPのモデルは全て東京生産/国内組み立てです ・モンスターハンター推奨モデルはゲーム内アイテム付属 ・ダブル地デジモデルは BS/CS 対応に変更可能 |
※すでに後継モデルが販売されていますが、ケースは同じものが使用されています。
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