パソコンメーカーの比較 と 各社の特徴
パソコンを開発・販売しているメーカーはたくさんありますが、メーカーによって「特徴」や「得手不得手」があります。
これを知らずにパソコンを買ってしまうと、思っていたものとは違うものを購入してしまったり、不必要に高い出費になってしまうことがあります。
このページでは試用した各メーカーのパソコン、及びメーカーの担当者さまからお聞きした話を元に、各パソコンメーカーの特徴を出来るだけ解りやすく比較・解説しています。
後悔のないパソコン選びが出来るよう、メーカー選択の参考にして頂ければと思います。※当ページの内容・文章を流用したブログなどを見かけますが、ここがオリジナルです。
過去に移転したこともありますが、当ページは10年以上前から公開されております。
内容は近年の状況に合わせて更新しています。(最終更新2020年5月)
パソコンメーカー15社の特徴
まずは簡潔に、各メーカーの特徴を「一行で」述べてみたいと思います。
【 パソコンショップ系 】
- マウスコンピューター
デザインと技術力を両立。価格も安めで、ここ10年で急成長したメーカー。ゲームにも強く、G-Tune は有名なゲーム PC のブランド。品質管理にも優れる。 - ドスパラ (Dospara)
高性能なデスクトップパソコンを安く手に入れたいなら定番の1つ。ゲーム向けパソコンのシェアはトップクラス。最新パーツへの対応も早く、発送も速い。 - パソコン工房
全国各地に支店があり、サポート体制に優れる。扱っているモデルが豊富。クリエイター向けや株取引など、特定用途のパソコンに力を入れている。 - TSUKUMO (ツクモ電機)
倒産したかつての定番メーカーがヤマダ電機の支援で復活。規模は縮小したが、性能の割に安く、ドスパラと傾向は似ている。中級者以上向け。
【 海外メーカー系 】
- 日本HP (ヒューレット・パッカード)
デザインを重視した、オシャレな個人向けノートが主力。ビジネスモデルやモニター一体型、スリムデスクトップなども得意で、扱うモデルが幅広い。ゲーミングモデルにも力を入れ始めた。 - DELL (デル)
安さで勝負。デザインや追加機能よりもコストパフォーマンス優先だが、高額モデルは素材や設計にも力を入れている。ゲーミングモデルの「エイリアンウェア」は高価で性能重視。 - Microsoft(マイクロソフト)
Windows の会社。2012年からノートとタブレット兼用の 2in1 モデル「サーフェス」を販売し、急速にシェアを拡大している。学生や若手社会人に人気。 - Lenovo (レノボ)
中国のメーカーで価格が安い。ビジネス用のパソコンが中心で、堅牢さと安定性を重視している。一般モデルは無骨だが近年になってデザインに注力し、個人向けのオシャレな製品も出し始めた。 - ASUS
台湾のメーカーでパソコンパーツの老舗だが、PC本体の直販は2018年から。「とがった製品」が多く、ゲーミングモデルが主力。まだ販売店は少ない。 - Apple(アップル、Mac)
他社のパソコンとは異なる独自規格の製品。一般的な Windows パソコンとは相違点が多く、ソフトウェアや周辺機器は専用品が必要。デザインとブランドに優れるが高価。
【 国内家電メーカー系 】
- NEC
初心者サポートを重視し、パソコン自体も初心者向けに設計されている。マニュアルも丁寧。ノートパソコンが中心だがモニター一体型や小型デスクトップも扱う。軽量ノートの軽さで富士通と争う。 - 富士通
NEC と同じくモニター一体型と軽量ノートを主力とし、毎年「世界最軽量」争いをしている。ビジネスモデルにも注力しており、ユーザーの年齢層が高めで、それに合わせたデザインとサポートを行う。 - Dynabook(シャープ、旧 東芝)
2016年から軽量薄型のビジネスノートを中心とし、重量級ノートは廃止。個人よりも企業向けを重視しているが、最近はまた個人向けのモデルに力を入れ始めた。信頼性とサポートに定評がある。 - Panasonic(パナソニック)
高性能なビジネス向けのノートパソコン「レッツノート」を販売。携帯性やセキュリティ、壊れにくさを重視している。価格はかなり割高で、ビジネス専用に作られている。 - VAIO(ソニー)
2014年から新たに設立された子会社が運営している。企業向けの製品がメインだったが、技術力の高い国産の頑丈な、パナソニックほど高くないノートPCとして、学生にも人気。
基本的に、高性能で安価なパソコンが欲しいなら「パソコンショップ系」が良いでしょう。
「海外メーカー系」も、HP や DELL は個人向けの製品をそろえています。
「国内家電メーカー系」は性能に対して割高ですが、初心者向けでサポートは厚いです。
以下で、各メーカーの特徴をもっと詳しく解説しています。
独自評価は5段階で付けており、× < △ < ○ < ◎ < ★ となっています。
マウスコンピューター
独自評価:個人用途 ★ ビジネス ◎ ノートPC ◎ ゲーミング ★ 価格 ★ カスタマイズ ★ デザイン ◎ サポート ◎
特性:オールマイティ、BTO、ゲーミングモデル、サブカルチャー、リーズナブル
マウス G-Tune
急成長中のメーカーで、日本のパソコン専門メーカーとしては最大手クラスです。
テレビ CM などで広報活動を行っているため知名度も上がり、長野県に大工場を持っていて、すでにパソコンショップ系ではなく大手電機メーカーとして扱われることが多いです。
社名は「マウスコンピューター」ですが、ゲーミングパソコンのブランド名「G-Tune」も知られています。
秋葉原に拠点を置く開発力の高いメーカーで、自社でケース開発を行っており、パーツも独自に改良しています。
特徴のあるマシンが用意されており、「そこらで売られているパーツとは違う。うちのパソコンの方が信頼性がある」という「こだわり開発」がアピールポイントになっています。
性能だけでなくデザインや静音性にも気を配ったモデルが多いです。
BTO(カスタマイズ、ユーザーによるパーツ選択)をいち早く導入したメーカーのひとつ。
ゲーミングモデル(ゲーム向け PC ブランド)の草分け的メーカーでもあり、そのためゲーム PC の開発にも力を入れていて、ノウハウも豊富です。
性能の割に安価なコストパフォーマンスの高いモデルが多く、最新技術も積極的に導入しており、初心者から上級者まで幅広い支持を得ています。
サブカルチャー(動画配信者やクリエイター等)との関係も深く、動画配信用や実況用をうたう製品を早くから用意。
カスタマイズしにくいノートパソコンは、ニーズに合わせた豊富なモデルをそろえています。
近年はサポートも 24 時間体制になりました。
発送は速さよりも品質管理を優先。特に欠点のないおすすめメーカーのひとつです。
ドスパラ(Dospara)
独自評価:個人用途 ◎ ビジネス ○ ノートPC ○ ゲーミング ★ 価格 ★ カスタマイズ ★ デザイン ○ サポート ○
特性:BTO、ゲーミングモデル、リーズナブル、パーツショップ、早期発送
ドスパラ Galleria
「高性能なパソコンを出来るだけ安い価格で手に入れたい」という場合、このドスパラに行き着くことが多いです。
母体がパーツショップであるため独自の仕入れルートを持ち、BTO(カスタマイズ。ユーザーによるパーツ選択)で選べるパーツの幅が広く、最新パーツもいち早く用意されます。
そのためデスクトップパソコンが欲しい、パーツ知識のある方に人気。
一方で、マニュアルの作りが良く、PC ショップ系の中では比較的初心者向きでもあります。
ゲーム向けのパソコン開発に力が入れられており、多くのゲームメーカーと提携があります。
高いグラフィック性能が要求されるゲーミングパソコンに強く、以前はゲーム用 PC のシェアでトップを維持していました。
近年はゲーミングモデルを扱うメーカーが増えて追い上げられていますが、それでも上位。
汎用で大きめのケースが使われているため扱いやすく、拡張しやすい本体になっています。
最近は特殊ケースや小型ケースも選べるようになり、パーツショップらしく、小型でも相応のカスタマイズが可能。
ノートパソコンもビデオカード搭載型など、性能重視のものが多めです。
近年は発送の速さもウリにしており、即日発送の製品も多く、仕事などで急いでパソコンが必要な人に便利です。
急いでいるからか、初期トラブルの話もチラホラ聞きますが…… 実際のところ、そこまで不良が多いわけではないはず。
大都市の多くに店舗があり、近くにお店があるなら店舗サポートを受けられるのも利点。
自作を応援している、古風なメーカーでもあります。
パソコン工房
独自評価:個人用途 ★ ビジネス ○ ノートPC ○ ゲーミング ◎ 価格 ★ カスタマイズ ◎ デザイン ○ サポート ◎
特性:オールマイティ、BTO、サブカルチャー、リーズナブル、パーツショップ、全国店舗
パソコン工房 アルミPC
大阪の電気街「浪速日本橋」を本社とするパソコンショップで、早くから BTO(ユーザーによるパーツ選択、カスタマイズ)を行っていた会社のひとつです。
全国各地に店舗を持ち、それを活用したサポート体制がウリとなっていて、店舗ネットワークを利用した「パソコン修理業務」も行われています。
近くにお店がある人なら、何かあった時に持ち込みや相談を行える利点があります。
2013年、親会社の「ユニットコム」がマウスコンピューターと業務提携しました。
以後、マウスコンピューターの生産拠点である長野県の飯山工場でパソコン工房の製品も作られるようになり、国内生産であることをアピールしています。
ゲーミングモデルを扱っていた「フェイス」、秋葉原のパソコンショップ「TWO TOP」などを吸収しており、ゲーミングモデルやクリエイターモデルなど多様な製品をそろえています。
一般向けはもちろん、CG や写真加工に特化したクリエイターモデル、「kabuパソ」と題した株取引専用パソコンなどもあります。
株パソの購入者には高齢者が多いため、自宅への設置までサポートしており、これも全国に店舗のあるパソコン工房ならではと言えます。
以前のパソコン工房は、どちらかと言うと信頼性重視でした。
しかし近年は最新パーツへの対応が早く、新技術のパソコンやハイスペックモデルを用意することも増えています。
むしろ新モデルを少量作って売り、売り切れても再生産せず、すぐ次に移行するという傾向が見られます。
近年は動画投稿者やゲーム実況者、プロゲーマーなどと提携し、そのコラボ製品の開発に力を入れていて、動画投稿者向けのノートパソコンなども販売しています。
そのため若いユーザーが増えており、世代を問わず支持されています。
TSUKUMO(ツクモ電機)
独自評価:個人用途 ○ ビジネス △ ノートPC △ ゲーミング ◎ 価格 ◎ カスタマイズ ◎ デザイン ○ サポート ○
特性:BTO、パーツショップ、リーズナブル
ツクモ G-GEAR
秋葉原を拠点とする「ツクモ電機」は、以前はパソコンマニア御用達と言える日本の中心的なパソコン&パーツショップでした。
しかし本社の事業拡大の失敗でパソコン販売は好調だったにも関わらず 2008 年に倒産、業務も縮小されてしまいます。
そのツクモがヤマダ電機の支援で 2009 年から再生開始、2010 年から復活しました。
一時期は BTO(カスタマイズ)に対応していないなど、本格復帰とは言えない状況だったのですが・・・
現在は BTO を再開し、パーツの品ぞろえもかつてと変わらないものを見せています。
マニアからの支持が厚かっただけに、人気はありますね。
ただ、マウスやドスパラ、パソコン工房などと比べると、規模は小さくなっています。
そのためサポートに不安がありますが、ヤマダ電機の子会社となったため、そちらに持ち込めるのは利点でしょう。
PC ショップとしては大手であるため最新パーツの導入が早く、価格も安めで、高性能な構成のパソコンを安く購入できるショップのひとつです。
以前はオプションパーツの種類が少なかったのですが、近年は解消されています。
ケースは大型で拡張性の高いものが使われており、オリジナルケースの開発も行われています。
日本HP(ヒューレット・パッカード)
独自評価:個人用途 ★ ビジネス ◎ ノートPC ◎ ゲーミング ◎ 価格 ◎ カスタマイズ ○ デザイン ★ サポート ○
特性:オールマイティ、BTO、リーズナブル、お洒落、超技術
日本HP デスクトップ
アメリカの大手パソコンメーカー「ヒューレット・パッカード」の日本支社。
DELL(デル)や Lenovo(レノボ)と並び、世界トップクラスのシェアを誇るメーカーです。
大手企業であるため高い開発力を持っており、ケースやパーツは自社設計したものが多く、特徴的な本体構造を持ちます。
企業向けの大型コンピューターや研究用のスーパーコンピューターの技術を応用した、他社では扱えないような最先端技術をいち早く導入することも。
そのため大手の割には、一風変わった特徴的な製品が多いです。
デザインにこだわりがあり、「インテリアとしての設計」が行われています。
特に2015年頃から「ラグジュアリーモバイル」と題し、お洒落で高級感のある、ノートパソコンを時計やバッグのような嗜好品としての考えた製品が作られています。
かつては企業向けが中心だったので、ビジネスモデルにも強いメーカー。
ディスプレイ(モニター)やプリンターなどの周辺機器でも定番で、特にプリンターのシェアは世界トップです。
音響も重視しており、高級ブランドのスピーカーを載せたモデルも多め。
これは、アメリカではテレワーク(電話会議)が一般的なためでもあるようです。
近年、独自のゲーム用 PC ブランド「OMEN」を立ち上げ、2017年から本格的に販売を開始。
高い技術力を活かした、特徴的なプロゲーマーモデルを開発しています。
一方で、「ゲーミング PC の性能を他の用途にも活用して欲しい」というコンセプトで、一般用途や業務使用も考慮した多用途モデル「Pavilion Gaming」を用意、ゲーミングモデルのブランドを二分化しています。
家電メーカーより価格が安く、外資系の企業ですが、日本のものは全て国内組立。
日本でのシェアも右肩上がりで、好調なメーカーのひとつです。
DELL (デル) / ALIENWARE (エイリアンウェア)
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ◎ ノートPC ◎ ゲーミング ◎ 価格 ★ カスタマイズ × デザイン ○ サポート △
特性:オールマイティ、リーズナブル、ゲーミングモデル
DELL Alienware
世界トップクラスのシェアを持つアメリカのパソコンメーカーです。
デルの特徴は、とにかく「安い」こと。
「コストパフォーマンスの良さ」を重視した開発が行われており、3万円台や4万円台のモデルも多く、買いやすいことが最大の魅力です。
もちろん相応の性能も保持しており、費用対効果と顧客満足度を重視しています。
現在は個人向けのノートパソコンにも力を入れていますが、どちらかと言うと企業向けの安価なビジネスモデルを中心としています。
安くても実用性重視で耐久力のある製品が多いですが、価格を安くするためマニュアルは簡素、BTO(カスタマイズ)は多くのモデルで廃止されています。
組立工場が中国なので納期も遅めで、その辺はコスト削減のためと思いましょう。
反面、高価なモデルには独自の素材や技術が使われています。
サポートはプランによって両極端です。
有料プランなら24時間体制の手厚い国内サポートを受けられますが、無料プランだとコールセンターは中国、特別なサポートは特にありません。
一方でゲーミングモデルは、ゲーム用のパソコンを専門に作っていたアメリカの「Alienware(エイリアンウェア)」という会社を買収し、自社ブランドとして販売を行っています。
本家のデルとはまったく性質が異なり、妥協しない高性能とハデな装飾を持ち、高価なモデルが多め。
毎年のようにモデルチェンジし、ゲームプレイに最適な設計を追求しており、その姿勢が支持されてゲーミングモデルの世界シェアではトップとなっています。
ただし、大型で重量級の「アメリカンPC」と言え、コンパクトさも求められる日本では扱い辛いものも多く、たまに小型の製品も出てきますが、すぐに消えたりします。
近年、エイリアンウェアほど「いかにもゲーム用」といった感じではない、価格も抑えた「Dell G」というモデルを販売。
HP と同じく、ゲーミングモデルを二分化させています。
Microsoft(マイクロソフト)
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ○ ノートPC ★ ゲーミング × 価格 △ カスタマイズ × デザイン ◎ サポート ×
特性:2in1特化、軽量、お洒落、マイクロソフト親和性
Microsoft Surface
Windows や Office の開発・販売をしているアメリカのメーカー「マイクロソフト」は 2012年から、自らパソコンも売り出しています。
ノートパソコンとして使え、モニターを外すとタブレットになる「2in1」というスタイルの製品「Surface」(サーフェス)を開発しており、使い勝手の良さで人気に。
一躍 PC メーカーとしても注目されるようになりました。
Windows を作っているメーカーのパソコンですから、最新の Windows や Office との親和性が高く、ソフトのトラブルの少なさも人気の要因です。
持ち運びに便利で、見た目もスマート、専用のペンも使いやすく、大学生や若手社会人に愛用者が多いです。
ただし割高で、2in1 やタブレットとしては高性能ですが、コストパフォーマンスは良いとは言えません。
周辺機器も専用のものが必要で、やはり高価です。
また、ビジネスで使うにはセキュリティや耐久性に不安があり、サポートもマイクロソフト製品全般のサポートに連絡しなければならないため、電話が繋がりにくく、対応も遅いです。
12.3インチの小型のものしかないのも難点でしたが、近年は13インチや15インチの製品も登場。
モニターが分離しない、普通のノートパソコン(Laptop)も発売され、ラインナップが増えています。
多少高くても軽くて扱いやすいパソコンが欲しいという方や、Windows タブレットも使いたいという方におすすめです。
Lenovo(レノボ)
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ◎ ノートPC ○ ゲーミング △ 価格 ★ カスタマイズ △ デザイン △ サポート ○
特性:リーズナブル、キーボード重視、耐久性
Lenovo ThinkPad
レノボ(聯想集団)は中国のメーカーですが、2004 年にアメリカの大手コンピューター企業「IBM」のパソコン事業を買収、コンセプトや特徴は
IBM のものを受け継いでいます。
ビジネス向けの安価な製品でシェアを拡大、最大人口の中国を押さえていることもあり、現在は HP や DELL と並ぶ世界トップクラスの売上げを持つに至っています。
IBM 時代からの特徴は「ビジネス向けに特化し、ビジネスに要求される高い信頼性と安定性を最重要視する」というもの。
よって主力製品は最新技術よりも安定性の高いパーツを使用し、本体も頑丈で壊れにくい設計となっています。
「IBM 時代から使い続けているユーザーが多い」という理由から、キーボードなどのインターフェイス部分は出来るだけ変えず、昔ながらのデザインを維持し続けています。
特にキーボードは評価が高く、その期待を裏切らないようにしているとのこと。
中国製のビジネスモデルなこともあって価格は安く、デスクトップよりノートパソコンがメイン。
デザインは両極端で、一般モデルは無骨そのものですが、近年になってお洒落な個人向け 2in1 ノート「Yoga BOOK」を発表し、変化が見え始めています。
元々レノボは安価なノートPC「ネットブック」などに力を入れていて、小型ノートは得意としています。
2015年、レノボの製品にはスパイウェアが混入されていたり、セキュリティに問題があると、メディアや政府機関が相次いで発表し、評価を落としました。(Superfish 問題、Lenovo Service Engine 問題など)
中国製なので懐疑の目で見られがちですが、その後は悪評の払拭のために様々なセキュリティ対策を打ち出しており、近年は特に騒がれていません。
サポートに関しては、以前は評判が悪かったのですが、傘下にした NEC のコールセンターでレノボのサポートも行うようになってから改善されました。
NEC の米沢工場での製造も開始し、納期も早まっています。
安価で信頼性のあるノートパソコンが欲しいなら、レノボは有力な候補でしょう。
ASUS
独自評価:個人用途 ○ ビジネス △ ノートPC ○ ゲーミング ◎ 価格 ○ カスタマイズ × デザイン △ サポート ×
特性:ゲーミング、パーツメーカー
ASUS ZenBook
パソコンのパーツ開発で知られている台湾のメーカー。
社名は「自由に読んで下さい」と言われていましたが、最近は「エイスース」が公式呼称になっています。
以前から家電量販店にはノートパソコンやタブレットを卸していましたが、近年になってパソコン本体の直販をスタート、2018年に日本にも直営店をオープンしました。
一通りのパソコンを扱っていますが、ノートパソコンとゲーミングモデルが主力。
家電量販店で売られているものは個性の乏しい安価なノート PC が中心ですが、多画面のノートなど、技術力の高さを感じる製品も多く開発しています。
ビデオカードや高性能マザーボードなど、ゲーミングモデルに必要な PC パーツを開発しているためか、ゲーミングモデルに特に力を入れています。
いかにも「ゲーム用」といった感じのハデなデザインのマシンが多く、ビカビカ光ります。
近年はゲーム PC も落ち着いたデザインのものが主流なので、好みは分かれそうですが、開発力は高いでしょう。
パーツメーカーだけあって自社のパーツで組み立てているため、トラブル(パーツの相性問題)の心配が少なく、製造コストも安く抑えられているようです。
ただ、高性能モデルや多機能モデルが多く、あまり安い製品はありません。良くも悪くも技術屋という印象。
また、自社パーツ優先のため、BTO(パーツのカスタマイズ)には対応していません。
一通りのパソコンを扱っていますが、ビジネスモデルのイメージはなく、日本でのサポートも十分ではありません。
しかしちょっと変わったモデルが多いので、自分に合ったものが見つかれば、唯一無二となるかもしれません。
Apple(アップル)
独自評価:個人用途 * ビジネス △ ノートPC * ゲーミング × 価格 × カスタマイズ × デザイン ★ サポート ◎
特性:ブランド、お洒落、iPhone親和性、互換性×
※特殊なパソコンなので一部を評価外(*)としています。性能的には◎ですが、汎用性を考慮すると△です。
カフェの Mac ユーザー
Apple は独自規格のパソコンを作っているメーカーで、一般的な Windows のパソコンとはかなり異なります。
Apple のパソコンは「Mac」(マック)と呼ばれます。
他の Windows のパソコンとは互換性がなく、データのやり取りで困ることがあり、Windows 用のソフトウェアは使えません。
周辺機器も使えないものが多く、対応に注意しなければなりません。
使い方や用語も他のパソコンとは異なるため、Windows から Mac に移ったり、Mac から Windows に移る場合は、その違いを把握することが必要になります。
かつてはサウンドや映像、画像の機能に秀でており、関連の専門ソフトも多く、イラストレーターや写真家などのプロクリエイター御用達のパソコンでした。
しかし2000年以降のハードウェアの急速な進化に追い付けず、今はもうクリエイターも Windows 機を使うことが多くなっており、専用のソフトもほとんどなくなっています。
よって実務面において、Mac である必要性はなくなりました。
作り自体は良いのですが、価格が高く、専用機器も高額で、良くも悪くも高級機です。
Mac の優れている点はデザインで、「アップル」というブランドイメージを好む人も多くいます。
孤高とも言える Mac の特徴を理解して使っている方と、「メールやブログ、ウェブサイトの閲覧ぐらいしかしないから、多機能や汎用性はいらない。とにかくオシャレなものが欲しい」という方には人気です。
特にカフェの窓際でマックを使うのはお洒落とされています。
iPhone との親和性が高いため、iPhone や iPad の普及に伴い、シェアを取り戻しています。
NEC
独自評価:個人用途 ○ ビジネス △ ノートPC ○ ゲーミング × 価格 △ カスタマイズ × デザイン ◎ サポート ★
特性:初心者向け、軽量、サポート重視
NEC LAVIE 一体型
大手の電子機器メーカーにして、かつての国内最大のパソコンメーカー。
しかし現在は中国のレノボの傘下となっており、レノボグループのひとつです。
高性能デスクトップでは新興メーカーや外資系に太刀打ちできなくなったため、現在はノートパソコンとモニター一体型を主力としています。
特に軽量薄型のノートパソコンに注力しており、800g 台のパソコンを世界で初めて開発、以後は富士通と世界最軽量争いを続けています。
近年は軽さだけでなく、素材を改良して耐久性を高め、使い勝手をアピール。
画質とスピーカーにも力が入れられています。
テレビチューナーとデコーダー(映像変換器)を内蔵した、テレビ兼用のモニター一体型パソコンも販売。
日本のニーズに合わせた製品が作られています。
ただ、処理性能に対して価格はかなり割高で、性能ではなく付加価値で勝負しています。
NEC のパソコンは「初心者向け」に特化している傾向があり、マニュアルや初心者用の解説書などが充実しています。
物理的な電源ボタンをわかりやすい場所に配置し、いきなり電源を切っても終了処理をしてくれるといった、設計段階からの配慮も見られます。
最初から様々なソフトが入っている(プリインストールされている)のも特徴で、それはパソコンに慣れた人だと嫌うのですが、NEC は逆に「誰でもすぐにパソコンを活用できる機能」として、初心者へのアピールポイントにしています。
(ウェブ通販ならプリインストールソフトをなしにすることもできます)
サポートもしっかりしており、パソコンに不慣れな方が、初めて使うのに向いているメーカーです。
富士通
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ○ ノートPC ◎ ゲーミング △ 価格 △ カスタマイズ × デザイン ○ サポート ★
特性:高齢者サポート、軽量、キーボード重視
富士通 FMV
富士通は日本のオフィス機器の大手ですが、PC事業は 2018 年、中国のレノボの傘下になっており、NEC と同じレノボグループのひとつです。
ただ、富士通自身は日本で開発した、日本製のパソコンであるとアピールしています。
デスクトップから一体型まで一通り扱っていますが、主力としているのはノートパソコン。
個人向けとビジネス向け、双方に力を入れています。
NEC とノートパソコンの世界最軽量を争っており、グラム単位で重量を削っています。
一方、使い勝手も重視しており、特にキーボードの打ちやすさにこだわっていて、薄い本体でも最大限の深さと、小さめの本体でもできる限りのキーの広さを確保しています。
USB などの拡張端子を維持したまま極限の薄さを実現するため、端子部だけ引っ張り出せるようにするなど、変わった設計を用いることも多いです。
富士通にはマジメなイメージを持つ方が多いと思いますが、意外とユニークな製品を作るメーカーで、VR(仮想現実)ゴーグルや、有機EL画面のノートなどもいち早く開発しています。
NEC と同じく、テレビ兼用のモニター一体型モデルなども用意。
一方で、ユーザーの年齢層が他のメーカーより高く、高齢者向けの補助機能を備えているのも特徴です。
高齢者の使用を考慮した落ち着いたデザインの製品が多く、サポートも厚い、日本らしいメーカーと言えます。
Dynabook (旧 東芝 / シャープ)
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ◎ ノートPC ★ ゲーミング × 価格 △ カスタマイズ × デザイン ◎ サポート ★
特性:軽量、お洒落、耐久性、サポート重視
東芝 dynabook
2018年、東芝のパソコン事業はシャープに買収されました。
シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)の傘下となっているため、ホンハイの孫会社という形になりますが、買収後も大きな変化はなく、今でも「東芝のパソコン」だと思っておけば良いでしょう。
社名は製品名でもある「Dynabook」(ダイナブック)に変更されました。
以前の東芝のノートパソコンは性能と高機能をウリにしており、大型で重量級の製品をそろえていたのですが、2016年から小型のビジネスモデルに開発力を集約。
現在は「モバイルノート」と呼ばれる軽量モデルが中心です。
東芝は2011年、「ウルトラブック」と呼ばれた軽量薄型のノートパソコンを日本で最初に開発し、以後は軽さと薄さ、耐久性と機能の両立を追求しています。
デザインや画質にも注力しており、ハイセンスな高性能品が主力。そのぶん、価格は割高です。
東芝(ダイナブック)は信頼性とサポートの高さも特徴。
長く安定して使える東芝の製品は中古市場でも高値で取引されており、耐久性やセキュリティが高いレベルで備わっていて、ビジネスに向いています。
高画質なモデルが多いため、クリエイター系の利用者も多め。
また、初心者向けのサポートを追加料金なしで長期間利用することができ、高齢者でも安心です。
かつての日本が誇っていた高い品質を今も持ち続けている、安心感のあるメーカーです。
Panasonic(パナソニック)
独自評価:個人用途 △ ビジネス ★ ノートPC ★ ゲーミング × 価格 × カスタマイズ × デザイン ○ サポート ◎
特性:ビジネス特化、セキュリティ重視、耐久性、キーボード防水
Let's note(レッツノート)
日本の最大手家電メーカー。旧 松下電器、ナショナルです。
ビジネス向けのノートパソコン「Let's note」(レッツノート)を販売していて、その特徴は高性能・小型・軽量・丈夫・長時間バッテリー、そして価格がすごく高いこと。
「コスト度外視で品質を追求したノートパソコン」です。
高性能と言っても「ビジネス向けの小型ノートパソコンとしての性能」なので、ゲームが出来たり、映画やテレビを高画質で見られるような性能ではありません。
スピーカーも「音が出れば良い」程度。
ビジネス向けのノートパソコンとしては最高峰で、サイズは大きくても 14 型まで。
かなり軽量で、バッテリーはどのモデルも8時間は持つようになっています。
落としたり水をこぼしても壊れにくい設計になっているなど、パナソニックの技術力が惜しみなく使われています。
「値段は問わないから使い勝手の良さと安心感のあるものが欲しい」という人向けですが、デザインが良くて軽いものが多いため、意外と女性にも人気があります。
パナソニックは工場や過酷な環境での使用を想定した、耐衝撃・防塵・防滴型の「タフブック」なども開発しており、ビジネスシーンを支える製品作りを続けています。
VAIO
独自評価:個人用途 ○ ビジネス ◎ ノートPC ◎ ゲーミング × 価格 △ カスタマイズ × デザイン ◎ サポート ○
特性:軽量、セキュリティ重視、耐久性、キーボード防水
VAIO SX
ソニーのノートパソコンブランドだったのですが、耐久性や信頼性に難があり、高級志向で価格も割高であったため、ビジネス用としても個人向けとしても苦戦。
2014年、子会社に事業が売却されてしまいました。
しかし事業を引き継いだ「VAIO 株式会社」がコンセプトを刷新、耐久性と信頼性を重視したビジネスモデルとして再スタートし、徐々に販売数を拡大。
2018年から個人向けも用意し、大手ブランドとして復活しています。
かなり強度の高い耐久試験・耐衝撃試験を行っており、キーボード防水も備えています。
一方で軽量薄型、使い勝手とデザインの両立を目指しており、元ソニーの技術力の高さを垣間見ることができます。
日本のビジネスシーンに合わせ、古い端子も含む、多めの接続端子を備えているのも特徴。
レッツノート(パナソニック)の対抗馬となるべく、高級ビジネスノートとして開発が行われていたようですが、比較的安いモデルが「レッツノートほど高くない、壊れにくい国産ノート」として学生にも人気に。
結果、幅広い支持を得ています。
最初に述べたように、パソコンは自分の用途に合わせたメーカーを選ぶことが大切です。
「自分はパソコンを使って何がしたいのか?」「買ったパソコンをどのように使うのか?」
それが漠然としている人は、まずそれを考えましょう。
大きさに余裕があるデスクトップの方が、同価格ならノートパソコンより安くて高性能なので、持ち運ぶかどうか、据え置きでも良いかも考慮しましょう。
ノートパソコンの場合、性能と携帯性のどちらを優先するかも大切です。
そしてデザインやサイズなども加味しつつ、自分に必要な特色を備えているメーカーの中から、予算に合ったものをチョイスしましょう。