○ 実機レビュー (2010年 春モデル)
   日本HP(ヒューレットパッカード) Pavilion HPE 190jp

HP Pavilion Desktop PC HPE 190jp日本HP(ヒューレットパッカード)様より、2010年の春モデル「Pavilion Desktop PC HPE 190jp」の貸し出しをして頂きました。
この HPE シリーズは 2010 年春に登場した新ラインナップで、「更なる高性能を追求するため」に作られたものです。
従来の日本HPの最上位モデル「e9000 シリーズ」より、さらに1つ上の位置付けとなります。

日本HPさんのモデル「e9000 シリーズ」は「高性能かつ多機能」というスタイルで作られており、外付けハードディスクを内蔵でき、高性能の割にはやや小さいケースで、様々なアイデアが取り入れられていました。
ただ、そのために内部の構造がやや密集しており、通気やケース内のスペースの問題があって、あまり拡張しやすいパソコンとは言えませんでした。

新しく作られた「HPE」用のケースは、その e9000 のケースをやや簡略化して内部スペースを広げ、通気性も改善し、より高い性能のパーツを使えるようにしたものだと言えます。

この HP の新ラインナップとなる「HPE 190」及び HPE シリーズがどういった性能や特徴を持っているのか?
このページではその辺りを検証したいと思います。

※現在は後継モデルの HPE 290 jp が登場しています。 詳細はこちらで解説しています。


HP Pavilion Desktop PC HPE 190jpまずは今回検証する「HP Pavilion HPE 190jp」のパーツ構成を簡単に説明しましょう。
「HPE 190jp」は HP さんのデスクトップパソコン Pavilion シリーズの最上位モデルとして扱われているため、CPU にはもっとも性能が高い「Core i7 900」シリーズが使用されています。
2010年3月に発売が開始されたばかりの最新型 CPU 「Core i7 980X EE」や「Core i7 930」も使用可能です。

2009年の秋頃に Core i7 の改良型となる Core i7 800 シリーズが登場し、さらに2010年1月に新しい CPU となる「Core i5」の新型と、廉価型 CPU 「Core i3」が発売されました。
しかしこれらはあくまで「中間性能型」と「廉価型(低価格型)」です。
よって最上位モデルである HPE 190 では、これらの CPU は使用できません。

Core i5 などは「e9000 シリーズ」の春モデルで使用可能になっているため、つまり従来の最上位型であった「e9000 シリーズ」は、現在は中間性能型に変わったと言えますね。

e9000 シリーズのケースには、別売りの「パーソナルメディアドライブ」と呼ばれる「内蔵できる外付けハードディスク」を収納するスペースが設けられていましたが、HPE シリーズのケースではこれが取り除かれています
よってパーソナルメディアドライブは収納できなくなりましたが、これにより内部のスペースは広くなり、拡張性(内部パーツの増設のしやすさ)やエアフロー(通気性)が向上しています。

ケースのサイズは e9000 シリーズのものと大差なく、幅が 17cm、高さは 38.5cm、奥行きは 42cm。
これは一般的な「ミドルタワー」と呼ばれるサイズのケースとしては、一回り小さめです。
他社の同クラスのものと比較してやや小型なのは、HP さんのデスクトップパソコンの全般に言える特徴です。

今回お借りした HPE 190jp のパーツ構成は以下の通りです。

OS Windows 7、64bit 版
CPU Core i7 920
メモリ DDR3 6GB
ビデオカード GeForce GTX 260 (VRAM 1.8 GB)
HDD 500GB (製品名 Barracuda 7200.12、ST3500418AS)
マザーボード X58 チップセット
その他 地デジチューナーカード搭載

このパソコンの一般的と思われる構成と言えますね。
テレビが見れる地デジチューナーが搭載されているので、「ダブル地デジモデル」という名称のものになります。
これで価格はだいたい 14 万円。 地デジがなければ 12 万円ほどです。

パーツに詳しい人だと「えぇぇ! VRAM(ビデオメモリ)が 1.8 GBも!?」と思うかもしれませんが、Windows が 7 になって 64bit 版が普及したことで、最近は 1GB 以上の VRAM を搭載したビデオカードが一般に出回るようになりました。
(Windows が 32bit 版だとパソコン本体のメモリと VRAM の合計で 4GB 以下にしないといけなかったので、ここが足かせになっていた)


この辺りのパーツを使えるのは、Windows 7 64bit 版の利点ですね。


実機レビュー












































ASUS EeePC 901-X

まずは性能測定から。 パソコンのベンチマーク(性能測定)ソフトで調査した結果をご報告します。
世界標準のベンチマークソフトと言える「PC Mark 05」で調べた、CPU やメモリの測定結果です。

比較対象として、最近調査した他のパソコンの結果も併記しています。
今回検証している「HP Pavilion HPE 190jp」は一番右です

HP Pavilion s5150jp
2009年 秋モデル
HP Pavilion s5250jp
2009年 冬モデル
ドスパラ Galleria HG
2009年 冬モデル
パソコン工房 GS9
2009年 夏モデル
HP Pavilion HPE 190jp
2010年 春モデル
CPU Core 2 Quad Q9650
(3GHz、コア4つ)
Core i5 750
(2.66GHz、コア4つ)
Core i7 860
(2.8GHz、コア4つ)
Core i7 950
(3.06GHz、コア4つ)
Core i7 920
(2.66GHz、コア4つ)
メモリ DDR3 4GB DDR3 4GB DDR3 4GB DDR3 6GB DDR3 6GB
VGA GeForce GT220 GeForce GT210 GeForce GTS 250 GeForce GTX 295 GeForce GTX 260

CPU の性能(CPU Score)は、今回の検証機に搭載されている Core i7 920 は、他の CPU よりスコア(評価)が低めです・・・
Core i7 950 は上位版、Core i7 860 は改良型なので、これらの CPU に劣っているのは解るのですが、下のグレードであるはずの Core i5 750 や、やや古いタイプの Core 2 Quad Q9650 よりも低いスコアしか出ていません。
これは Core i7 920 が Core i7 の中では初期型で、価格も抑えたタイプだからです。

しかし決して性能が低い訳ではなく、一昔前に主流だった Core 2 Duo と比べると、よほど高い性能があります。
(Core 2 Duo は上記の調査だとスコア 5000〜7000 ぐらいになります)
ただ、HPE 190jp は高性能タイプのパソコンですから、出来るだけ高い性能が欲しい! という人もいるはず。
そういう方は、もっと上の CPU を選ぶ手もありますね。
(詳しくは後述しますが、Core i7 960 という上位の新型 CPU を選択することも可能です)
(さらに 2010年3月、Core i7 920 の後継となる Core i7 930 も登場しました。 この新型 CPU も選択可能になっています)


メモリ(Memory)のスコアは、今回挙げた例の中では Core 2 Quad のパソコン(一番左)だけ遅くなっています。
これは、Core i7 や Core i5 には新型のメモリを効率よく使えるシステムが搭載されているからです。

そしてグラフィック(Graphics)のスコアですが・・・ さすがに HPE 190jp に搭載されている GeForce GTX 260 は、スコアが高めです
GeForce GTS 250(中央のパソコン)との差はそれほど大きくありませんが、GT220 や GT210 といった低価格型(左側の2つ)と比べると、かなり高性能であることが解りますね。
一番スコアが高いのは GeForce GTX 295 が搭載されているパソコンですが、この GTX 295 はそれだけで5万円以上する高級品で、消費電力も高いです・・・
コストパフォーマンスを考えると、GeForce GTS 250 や GTX 260 の方が現実的と言えます。


ただ、グラフィックの性能は専門の測定ソフトや、3D グラフィックを使ったゲームのベンチマーク(動作測定)ソフトを使った方が正確で、実際に使用した時の快適さも解ります。
以下の表はそれらのベンチマークの結果の一覧です。
一番右が今回検証している「Pavilion HPE 190jp」です。

HP Pavilion
s5150jp
HP Pavilion
s5250jp
ドスパラ
Galleria HG
パソコン工房
GS 9
HP Pavilion
HPE 190jp
2009年秋モデル 2009年冬モデル 2009年冬モデル 2009年夏モデル 2010年春モデル
CPU Core2Quad Q9650
(3GHz、4コア)
Core i5 750
(2.6GHz、4コア)
Core i7 860
(2.8GHz、4コア)
Core i7 950
(3.06GHz、4コア)
Core i7 920
(2.6GHz、4コア)
メモリ DDR3 4GB DDR3 4GB DDR3 4GB DDR3 6GB DDR3 6GB
VGA GeForce G 220 GeForce GT 210 GeForce GTS 250 GeForce GTX 295 GeForce GTX 260
構成 スリムサイズ スリムサイズ 通常型 通常型 通常型
ベンチマークソフト
3D mark 06
総合 6200 2600 15900 19250 14900
CPU 4350 4200 5050 5500 4750
ベンチマークソフト
3D mark Vantage
グラフィック -- -- 6650 18550 7580
CPU -- -- 39800 44100 37850
大航海時代
Online
ノーマル 2600 1700 2800 3300 2950
FFXI
(ファイナルファンタジーXI)
HIGH 8600 7300 8700 10250 10200
モンスターハンター
フロンティア
1280x1024 5800 1150 10900 14500 10100
ロストプラネット
EXTREME CONDITION
DX10
Snow+Cave
-- 19 + 25 128 + 143 285 + 165 143 + 150
バイオハザード5 DX10
1280x1024
-- -- -- A:173
B:115
A:115
B:92

※3D mark 06 はゲームではありませんが、世界標準と言える 3D グラフィック性能の測定ソフトです。
3D mark Vantage は最新の測定ソフトですが、測定できないパソコンも多く、スコアの差も大きめに出るので、目安程度にして下さい。

大航海時代 Online はノーマル測定です。 このソフトは 2D(平面)グラフィックの描画速度などもスコアに影響する特徴があります。
FFXI とモンスターハンターは初期設定のままで測定を行っています。
ロストプラネットとバイオハザードは DX10 モードで測定。 ロストプラネットの Snow は霧や風などが、Cave は多数のキャラクターが表示されます。
目安として、大航海時代 Online は 300 以上で快適、FFXI は 4000 以上で快適、モンスターハンターは 3500 以上で快適、ロストプラネットやバイオハザードは 60 以上で快適です。

ファイナルファンタジーXI(FFXI)は、今となっては古いグラフィック技術が使われているゲームであるため、各パソコンでそれほどスコアに差はありません。
しかしモンスターハンターフロンティアやロストプラネットといった近年のグラフィック技術が使われているゲームだと、やはりビデオカードが高価で高性能なほど、ゲームの動作も快適になっているのが解ります。

モンスターハンターは GeForce GTX 260 が搭載された HPE 190jp(一番右)より、中央の GeForce GTS 250 のパソコンの方がスコアが高くなっていますが、これは CPU の性能差が出ているものと思われます。
最新技術が使われたロストプラネットの測定だと、両者の速度は逆転しています。 これは GeForce GTX が最新技術に最適化しているためのようです。

バイオハザード5 ベンチマーク今回は、もっとも最新のグラフィック技術が使われているゲームの1つ「バイオハザード5」の測定も行ってみました。
60 fps 以上が出れば快適なのですが、HPE 190jp は 60 どころか 100 前後の数値が出ています。

もっとも性能の高さが要求されるゲームの1つであるバイオハザード5がこれだけ快適に動かせると言う事は、現在のほぼ全てのゲームやソフトウェアが快適に動かせると言って良いでしょう。

なお、私が普段使っている GeForce GTX 295 のパソコンでバイオハザード5を測定すると、150 前後の数値が出来ました。
しかし 100 前後と 150 前後では、見た目には違いはありませんでした。
人間の目だと 60 fps 以上(秒間 60 コマ以上)になると、もう違いを感じることは出来なくなりますね。

つまり現状、GeForce GTX 260 クラスでほぼどんなゲームでも最適な速度で動かせる事になります。


「HP Pavilion HPE 190jp」のパソコンの外観は、以下のような感じです。

HP Pavilion Desktop PC HPE 190jp
HPE 190jp 外観と内部

黒いケースの正面パネルには光沢処理が施されていて、高級感のあるケースになっています。
また、正面の外側に見える赤い部分が非常に特徴的で目立ちますね。
この部分が黒一色だった e9000 と比べると、やや奇抜なデザインになったと言えるでしょうか?

HP さんはケースのデザインにも力を入れられていますが、こうしたハデな色使いをしてきたのはやや意外です。
でもやや暗めの赤で、それほど派手ではなく、シックなイメージはそのままですね。(なんというか、ドラキュラカラー?)

USB ポート(取り付け部)は上部と下部の2ヶ所にあって、机の上に乗せても下に置いても使いやすいようになっています。
e9000 シリーズのケースにあった「パーソナルメディアドライブ」(外して持ち運びも可能なハードディスク)を内蔵するスペースが廃止されたため、それを入れる開口部がなくなっており、それに伴い「イージーバックアップ」ボタン(パーソナルメディアドライブにデータをバックアップするボタン)もなくなっていますが、「ポケットメディアドライブ」(外して持ち運びも可能な小型のハードディスク)を入れる部分は残されています。
ケースの天井部分に凹みがあって、ここにものを乗せられるようになっているのは従来通りです。

背面部の端子(ポート、差し込み口)の豊富さは特筆すべき点だと思います。
USB ポートが4つ、現在は主にビデオカメラなどで使用する IEEE 1394(i.LINK)端子が1つ、さらに新型の外付け HDD などで使用する eSATA 端子が2つ、スピーカーに繋ぐ光デジタル用の端子が1つあります。
IEEE1394 に加えて eSATA まで2つあるというのはいいですね。 多機能なマザーボードが使われているのが解ります。

内部の様子は以下のようになっています。

Pavilion HP 190jp 内部

前述したように「パーソナルメディアドライブ」を入れるスペースがなくなったので、スッキリした内部になりました。
これなら HDD ドライブやメモリにも手が届きやすく、拡張しやすいですね。
HDD(ハードディスクドライブ)は縦向きに入れるようになっていて、コードの着脱がしやすい形にされています。
(HDD や CD/DVD ドライブなどを取り付ける SATA ポートは、CD/DVD ドライブの近くに2つ、HDD の近くに2つあって、合計で4つまで増設可能なようです)

マザーボードは上下が逆に取り付けられていて、これは e9000 シリーズからの特徴です。(そのため側面の板も通常の左側ではなく、右側が外れます)
このため通常は上にある CPU が下側にあり、前面から取り入れた空気をそのまま CPU 側に流しやすい形にされています。
これはエアフロー(通気性)の確保と同時に、本体を小さくまとめるための工夫のようです。

CPU には非常に大型のヒートシンク(CPU の熱を逃がす板)が付いていますが、HP さんは CPU クーラーを独自に開発していて、より大きな冷却効果を得られるものにしているそうです。 この辺は大手メーカーの利点と言えるでしょうか。

内部が広くなったおかげで、ビデオカードもより大型のものが付けられるようになっています。
スペース的には、GeForce GTX 275 や GTX 285 と言った上位のものも取り付け可能だと思います。
(ただ、これらを使用するには電源を高出力のものに変えないと電力不足になる恐れがあります。 HPE 190jp の電源ユニットは出力が 450W で、GeForce GTX 275 や 285 も使えないことはないけど、避けた方が無難というレベルですね。 残念ながら注文時に電源ユニットを変更することは出来ませんが、一般的な ATX という企画の電源なので、出力が不足した際に(技術があれば)取り替えることは可能です)

欠点は、拡張スロット(PCI-Express スロット)がほとんど使えない事。
PCI Express x1 スロットが1つありますが、これは「ダブル地デジモデル」の場合、地デジチューナーが付きますので空きはありません。
他の PCI Express スロットも、そのすぐ横にビデオカードがあるため、ここに PCI カードを付けてしまうとビデオカードの換気の妨げとなります。
拡張カードの追加は出来ないと考えた方がいいですね。 そのぶん、本体が小さめになっていると言えます。



ここからは日本 HP さんの Pavilion HPE 190jp、及び Pavilion シリーズを購入する時の本体の選び方やパーツの選択のアドバイスをしたいと思います。

HP さんのパソコンは購入時に各パーツを選択することが出来ますが(これを BTO と言います)、どのパーツを選べばよいのか判断するには、相応のパーツに関する知識が必要になるので、パソコンに詳しくない方には難しいでしょう。
そこでここでは、初心者向けの最新パーツの性能解説と、選び方を説明いたします。


OS(Windows)
OS とは「オペレーティングシステム」の略で、一般の人だと Windows の事だと思って構いません
HPE 190jp は Windows 7 の 64bit 版しか選択できませんので、特に悩む事はありませんね。

一応説明すると、Windows には 32bit 版と 64bit 版があって、32bit 版は「昔からあるタイプなのでどんなソフトや周辺機器も安心して使えるが、メモリは最大で約 3 GB まで」、64bit 版は「新しいタイプなのでソフトや周辺機器が動かない可能性があるが、メモリの搭載量に(ほぼ)制限はない」という特徴があります。
他のモデルを買う時はこれを元に 32bit 版か 64bit 版を選択する必要がありますが、今は 64bit 版でも動かないソフトはほとんどないので、今は 64bit 版をオススメします。
ただすでにパソコンを持っていて、色々と周辺機器も持っている人の場合は、64bit 版だとそれらが動かない可能性があるので、32bit 版の方が無難です。

Windows には Home Premium や Professional、Ultimate などの種類がありますが、これらの種類がよく解らないという人は Home Premium で構いません
Windows7 の Professional や Ultimate で使える機能はコンピューターの専門的な、かつビジネス用のものなので、扱うには知識が必要で、一般の方だと必要ありません。


CPU
CPU とはパソコンの頭脳、処理の中心となるパーツです。
Pavilion HPE 190jp で使用できる CPU は、「Core i7 900」シリーズのみです。
(HPE 190jp で使われているマザーボードのチップセット「X58」は、Core i7 900 シリーズ専用です)

2009年3月、新しい Core i7 900 シリーズの CPU として Core i7 980X EECore i7 930 が追加されました。
これらの最新型 CPU も、HPE 190jp なら選択可能になっています。

HPE 190jp BTO CPU

カッコの中に書かれている数字は(クロック数 / L3キャッシュの容量 / QPI )を表していますが・・・
まあ、難しいので初心者の方はあまり気にしなくても構いません。

最近の上位型の CPU の能力を表にすると以下の通りです。
赤字で書いているのが HPE 190jp で選択/使用できる CPU です。
(専門的な解説の部分は、初心者の方はよく解らなければ気にしなくて構いません)

CPU の名前 性能値
(PC mark 05)
価格
(2009年冬現在)
100円あたりの
性能値
(専門的な解説)
Core i5 750
(廉価型)
9400 25000円前後 38 2.66GHzでクアッドコア、2009年9月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.2GHz
最大4スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用
Core i7 920
(Core i7低価格型)
9200 30000円前後 30 2.66GHzでクアッドコア、2008年11月登場
ターボブーストテクノロジーで最大2.93GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは3枚一組で使用
Core i7 930
(改良低価格新型)
30000円前後 2.8GHzでクアッドコア、2010年3月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.06GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは3枚一組で使用
Core i7 860
(改良低価格型)
10100 30000円前後 34 2.8GHzでクアッドコア、2009年9月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.46GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用
Core i7 950
(中間性能型)
10500 60000円前後 17 3.06GHzでクアッドコア、2009年6月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.3GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは3枚一組で使用
Core i7 870
(改良中間型)
10600 60000円前後 18 2.93GHzでクアッドコア、2009年9月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.6GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは2枚一組で使用
Core i7 960
(中間の新型)
60000円前後 3.2GHzでクアッドコア、2009年10月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.46GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは3枚一組で使用
Core i7 975EE
(最上位型)
11300 + 100000円以上 11 + 3.33GHzでクアッドコア、2009年6月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.6GHz
ハイパースレッディングで最大8スレッド処理
L3キャッシュ8MB、メモリは3枚一組で使用
Core i7 980X EE
(最上位新型)
100000円前後 3.33GHzでヘキサコア、2010年3月登場
ターボブーストテクノロジーで最大3.6GHz
ハイパースレッディングで最大12スレッド処理
L3キャッシュ12MB、メモリは3枚一組で使用

見ての通り Core i7 920 は、これら上位型の CPU の中ではやや古めで、性能的にも低めです。
2010年3月に Core i7 920 の後継改良型である Core i7 930 が登場しましたので、価格を抑えたい人は Core i7 920 よりは 930 の方がオススメです

Core i7 930、960、980X EE は一般市場ではつい最近(2010年2月〜3月)販売され始めたばかりです。
(そのため現時点(2010年3月)ではまだ測定値のデータは解らないため、?表記としています)
Core i7 960 は価格はかなり高くなりますが、一般的な CPU としては現在最高のものであり、HPE 190jp を選ぶ人は高性能が欲しい方が多いと思いますから、ここで奮発するのもいいでしょう。

Core i7 975 EE や Core i7 980X EE は「フラグシップモデル」と言われ、メーカーが技術を誇示するために販売している CPU で、非常に価格が高く一般的とは言えません。
よってオススメはしませんが、何かの理由で「とにかく処理能力の高いものが欲しい!」という場合は考えてもいいでしょう。
特に Core i7 980X EE は「コアが6つ(ヘキサコア)」という、かつてない性能を持つ CPU で、コンピューター関係の雑誌や情報サイトでも話題になっています
これが選択できるパソコンはまだ多くないので、お金に余裕があるなら選んでもいいかもしれません・・・


MEMORY
メモリ」 は多いほどパソコンの処理が安定化し、たくさんの大きなソフトウェアを同時に安心して使えるようになります。

メモリは Windows が 32bit 版だと約 3 GB しか認識できません。
しかし Pavilion HPE 190jp は Windows が 64bit 版のみなので、この点は問題にはなりません。

問題は、Core i7 900 シリーズは、メモリを3枚セットで使わなければならないこと。
3枚のメモリにデータを分散して処理する「トリプルチャネル」という技術に対応しているからですが、そのためメモリは3の倍数で購入する必要があります。

HPE 190jp BTO メモリ

HPE 190jp で選べるメモリは上記の通り。 DDR3 というのは今最新型かつ一般的なメモリです。
3x2048 と言うのは、2GB(2048MB)のメモリを3本使います、という意味です。
6x4096 だと 4GB(4096MB)のメモリを6本使っている訳ですね。
1333MHz というのは「メモリーバス」というデータの処理速度を表しますが、全部同じですから気にしなくてもいいでしょう。
3DIMM というのはメモリを3本使ってるという事です。 6DIMM なら6本です。

メモリはたくさんあればあるほど、パソコンの動作は安定します。
ただ、「どのぐらいあればいい」という基準はありません。
今のパソコン(Windows7)だと 2GB〜3GB 以上は欲しいところですが、HPE 190jp は最低でも 6GB なので十分ですね。

せっかくなので多めに搭載するのもいいと思いますが・・・ この辺りはおサイフと相談でしょうか。
一般的には 6GB で問題はありません。


HDD
データを記録するパーツ 「HDD(ハードディスクドライブ)」 は、とりあえず記録容量を見ておけばいいでしょう。
HDD も製品によって読み込みや書き込みの速度に違いがありますが、特に表記がない限り一般的な性能のものを使用してくれます。

(ちなみに今回お借りした実機には「Barracuda 7200.12、型番 ST3500418AS」というものが搭載されていました)
(標準的な性能で、発熱が低く、特に動作音の静かさに定評がある製品のようです)


500GB とか 1TB とか書いてあるのが記録量です。 1000GB は 1TB になります。
どのぐらい必要かは用途によりますが、一般的な使い方なら 500GB〜1TB あれば十分です。
テレビを録画したい、動画などをたくさん入れたい、と言う人だともっとあった方がいいかもしれませんけどね。

HPE 190jp BTO HDD

SATA というのは HDD を取り付ける規格で、今のものは全て SATA だと思って構いません。
7200rpm というのは内部にあるデータを記録する円盤の回転スピードで、10000rpm の高速型も選択できるようです。
スピードを重視したい人は、高くて容量も少なめですが、こちらを選んでもいいかも。
(HP さんの1万回転の HDD は「ラプター」と呼ばれる高速高品質 HDD が使用されています。 詳しくは e9290jp のレビューにて)

RAID というのは HDD を2台使って動作を高速化したり、常にバックアップを取ったりする技術です。
RAID 0 は2台の HDD にデータを分散し処理速度を高速化するもの、RAID 1 は逆に同じデータを2つの HDD に書き込んで常にバックアップするものです。
HDD が2台必要で、デメリットもありますので、使ってみたい方はどんなものか事前に調べておきましょう。

選択項目に「内蔵脱着式ポータブルハードドライブ1」というのもありますが、これは「ポケットメディアドライブ」と呼ばれている HP さんの製品です。
前面パネルから装着/取り外しが可能な HDD で、持ち運んで他のパソコンに USB で接続したり出来るものです。

「外付ポータブルハードドライブ」はポータブルメディアドライブという着脱式の HDD ですが、こちらは HP 190jp には内蔵できませんので注意して下さい。


VGA
3D グラフィックが使われた最新のゲームやソフトウェアを使いたいなら、「VGA(ビデオカード、グラフィックカード)」は必須ですね。

HPE 190jp BTO ビデオカード

最近のビデオカードの能力を表にすると以下の通りです。
赤字で書いているのが HPE 190jp の「グラフィックス」で選択/使用できるビデオカードです。

ビデオカードの名前 性能値
(3D mark 06)
価格
(2010年春現在)
100円あたりの
性能値
Pavilion
対応モデル
GeForce 8600 GT
(2007年の中間型)
5000 (生産終了) -- --
GeForce 9800 GT
(2008年の高性能型)
12500 (生産終了) 83 --
GeForce G 210
(低価格型GeForce)
2600 5000円前後 65 p6320
s5350、s5330
GeForce GT 220
(中間型のGeForce)
6500 8000円前後 65 HPE 190
e9380、e9360
p6320
s5350、s5330
GeForce GT 230
(中間新型のGeForce)
10000円前後
(一般販売なし)
HPE 190
e9380、e9360
p6320
GeForce GT 240
(中間新型のGeForce)
10000 12000円前後
(一般販売なし)
83 --
GeForce GTS 250
(高価格型のGeForce)
15000 18000円前後 88 HPE 190
e9380、e9360
RADEON HD 4350
(低価格型RADEON)
2800 4000円前後
(一般販売なし)
70 s5330
RADEON HD 4670 5500 8000円前後 68 --
RADEON HD 4850
(中間型のRADEON)
12500 15000円前後 83 HPE 190
e9380、e9360
RADEON HD 5750 14000 17000円前後 82 --
RADEON HD 4870 15000 20000円前後 75 --
RADEON HD 4890 16000 30000円前後 53 --
RADEON HD 5850 18000 35000円前後 51 --
RADEON HD 5870 18500 50000円前後 37 --
GeForce GTX 260
(低価格型のGTX)
16000 20000円前後 80 HPE 190
e9380、e9360
GeForce GTX 275
(中間型のGTX)
16500 30000円前後 53 --
GeForce GTX 285
(高価格型のGTX)
17000 40000円前後 42 --
GeForce GTX 295
(2枚組高性能型)
19000 50000円前後 38 --
RADEON HD 4870 X2 19500 50000円前後 39 --
RADEON HD 5970 20500 90000円前後 23 --

「100円あたりの性能値」は性能値を価格で割ったもので、コストパフォーマンスの目安として表記しています。

HP 190jp には関係ありませんが・・・ RADEON シリーズは GeForce シリーズを作っているところとは別の会社のビデオカードです。
コストパフォーマンスの良い製品が多いのですが、2D(平面)グラフィックを多用する場面で速度が劣る傾向があります。
(また、日本のゲームの多くは GeForce を基準として開発されているので、その点でも不利です。 ビデオカードの種類についてはこちらを)

HP 190jp で使用可能な「GeForce GT 230」は、実は詳細がまだよく解りません・・・
(新型だと思うのですが、情報がほとんどありません・・・ 一般販売もされていません)
名前からして GeForce GT220 と GT240 の中間の性能だと思いますが、いずれにせよ HP 190jp を購入するなら、性能の高い GeForce GTX 260 を選ぶのをオススメします
GTX 260 なら高い性能を持ち、最新技術にも対応しているため、ほとんどのソフトウェアやゲームが快適に動かせるでしょう。
やや価格を抑えたい場合は GeForce GTS 250 でしょうか。 コストパフォーマンスという面ではもっとも優れており、性能も高めです。


その他のパーツ

その他の設定ですが・・・

オプティカルドライブ」は CD や DVD を読み込むためのもので、一般には「光学ドライブ」や CD/DVD ドライブと呼ばれます。
ブルーレイ再生のドライブを選択すれば、ブルーレイディスクの映画なども楽しめますが、この場合ディスプレイ側も、「HDCP」という著作権保護機能に対応している必要がありますのでご注意下さい。

HPモニター」は、ディスプレイ(モニター、テレビ)ですね。
ディスプレイは別に購入してもいいですし、すでにパソコンを持っている方は今使っているものを流用してもいいのですが、「地デジモデル」を選択した方は、ここで合わせてHPモニターを購入するのもいいでしょう。
と言うのも「地デジ放送」を見る場合、ディスプレイ/テレビ側が「HDCP」という著作権保護機能に対応していないと、画質を落とされてしまうからです。
「地デジ」や「ブルーレイ」対応のパソコンを買うなら、HDCP 対応ディスプレイも合わせて必要になります。
「HPモニター」の欄で用意されているディスプレイ(モニター)はすべて HDCP に対応していますし、HP さんのディスプレイは安くて性能がいいので、品質的にも悪くありません。(私も普段使用しています)

ここで買わない場合は、「地デジモデル」や「ブルーレイドライブ」を選んでいる場合、必ずディスプレイの「HDCP対応」をチェックするようにして下さい
接続端子に「HDMI端子」があるものなら、HDCP にも対応していると思っていいでしょう。

サウンド」は、「チップセット内蔵」でも問題ないでしょう。
音楽にこだわる人や作曲などをやっている人でない限り高性能なものは必要なく、マザーボードに標準搭載されているサウンドでも近年は十分良い音が出ます。
また、「地デジモデル」を選んでいる方は、サウンドカードを付けるスペースがないため、この項目は選択できません。


と言う訳で、当方でオススメする構成としては、CPU を Core i7 960 にして、グラフィックは GeForce GTX 260 にしたものでしょうか。

CPU Core i7 960
メモリ DDR3 6GB
ビデオカード GeForce GTX 260 (1.8GB)
HDD 1TBハードドライブ
オプティカルドライブ ブルーレイ再生/DVDスーパーマルチドライブ

HDD は 1TB、オプティカルドライブ(光学ドライブ)はブルーレイの再生が可能なものにしています。
これだと価格は 16 万円・・・ 地デジモデルだと約 18 万円になります。 さすがに高くなりますね。

ただ、HPE-190jp は高性能型ですから、どうせこれを買うならこのぐらいの方がいいかなと思います
もしもっと安く抑えたいなら、中間〜廉価型 CPU が使える e9380jp か、ややクセがあるけどコストパフォーマンスの良い AMD 社の CPU を使える e9360jp を選ぶ方がいいでしょう。

この辺りは、自分の用途や希望、予算などを考えて判断する必要がありますね。



以上、Pavilion HPE 190jp のレビューでした。

以前 HP さんの開発担当者さまにお話しをお伺いした時、「高性能なパソコンを使う人は、多目的な使い方をする」と考えているとお聞きしました。
e9000 シリーズにある「パーソナル・メディア・ドライブ」は、そうした多目的な使い方をする人の事を考えて用意されたもののようです。
しかしそのパーソナルメディアドライブを入れるスペースは、パソコン内部のパーツを追加・交換する際には邪魔になっていました。
HPE 190jp でそれが取り除かれたと言う事は、このモデルは内部パーツの追加や交換を自分で行えるような、やや上級者向けのパソコンという位置づけなのかもしれません。

今の時点(2010年春モデル)では、HPE 190jp が Core i7 900 シリーズ用、e9380 が Core i7 800 シリーズ及び Core i5 用という位置付けで、外観以外だと使える CPU の違いぐらいしか差はありません。
しかし現在最高クラスの高性能 CPU 「Core i7 960」が使えるのは、HP さんのラインナップでは HPE のみです。
さらに2010年3月の新型 CPU 「Core i7 930」や、最新技術の6コア(ヘキサコア)CPU 「Core i7 980X EE」を使えるのも大きな特徴です。

「出来るだけ高い性能が欲しい!」と言う人に特にオススメですね。

(実際の販売価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記リンク先で確認してみて下さい)

HP Pavilion Desktop PC 日本HP Pavilion Desktop PC シリーズ
※すでに後継モデルが登場しているため、リンクは HP Pavilion シリーズのトップページに移動します。

・OS は Windows 7、64bit 版限定
・他社の同クラス PC よりも小さめです
・カスタムモデル/ダブル地デジモデルあり
・日本HPのモデルは全て東京生産/国内組み立てです
・タワーオブアイオン推奨モデルだとビデオカードは GeForce GTS 250 固定
・地デジチューナー、2台目ハードディスクの選択可

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