○ 実機レビュー (2009秋モデル)
   日本HP(ヒューレットパッカード) Pavilion e9160jp

HP Pavilion e9000 シリーズ日本HP(ヒューレット・パッカード)さんから、
2009年の秋モデルとなるデスクトップパソコン「Pavilion e9160 jp」の実機の貸し出しをして頂きました。
当ページでは、その e9160 の実機レビューを掲載いたします。

この e9160 はコストパフォーマンス(費用対性能)に優れたパーツで構成されているエントリーモデルです。
エントリーモデル(ローエンドモデル)とは、低価格なパソコンの事ですね。

※現在は後継の e9360jp が登場していますが、パソコンの性質はほぼ同じです。
Windows が 7 になり、一部のパーツが新しくなっていますが、基本的な特徴やケースは変わりません。


しかしこの e9160 は前述したように、コストパフォーマンスに優れたパーツで作られているため、性能は低いどころか十分に高性能です。
出費を抑えて高い性能のパソコンが欲しい人にオススメで、実際にどのぐらいの性能があるのかを検証しています。

基本的には、高いグラフィック性能を備えた「ゲーム向けモデル」ですが、テレビやDVDなどの視聴も考慮された「地デジ・映像型モデル」でもあります。


HP Pavilion e9160 外観HP Pavilion e9160 jp2009 年の秋モデルです。
e9000 シリーズは 9160、9180、9190 の3種類が用意されており、e9160 はその中で一番、低価格なモデルとなります。

ケースは右の画像のような感じで、「ミニタワー」と呼ばれるサイズ。
ハードディスクを簡単に増設できる工夫がなされていますが、詳しくは後述します。

この e9160 は低価格と高性能の両立のため、「Phenom II X4 810」 という名前の CPU が使われているのが特徴です。
この Phenom II X4 という CPU は、もっとも普及しているインテル社のものではなく、AMD 社という会社の CPU で、ちょっとマニア向けの CPU と言えるのですが・・・
インテル社のものより低価格で、その割に性能が高く、こうした低価格モデルを作るのには向いています。

メモリは 2GB〜8GB が選択可能で、最新型の 「DDR3」 のメモリ。
以前のタイプである DDR2 よりも高速で、昨今は一般化しつつあります。

ハードディスクは初期設定では 320GB ですが、1.5TB(1500GB)などの大容量も選択可能です。
ハードディスクを2つ使って速度を高速化する RAID 0 という設定にして貰うこともできます。
低価格モデルなので一番安い 320GB が初期の設定になっているようですが、これでは正直言って少なめなので、増やしておく方が無難ですね。


同等の旧製品 性能 一般販売
GeForce GT 210 GeForce 9400 低い・安い ない
GeForce GT 220 GeForce 9600 中間 ない
GeForce GT 230 GeForce 9600 GT 中の上 ない
GeForce GTS 250 GeForce 9800 高い あり

グラフィックカード(ビデオカード)は、GeForce GT 220 というものが使われています。
この GeForce GT 200 シリーズは価格の安いコストパフォーマンス重視型ですが、今年の春まで主流だった GeForce 9000 シリーズの後継型であり、決して性能は低くありません。
GeForce GT 220 は性能的には中間型と言えます。
(GeForce 9000 シリーズで言うと GeForce 9600 という製品と同等です)

しかし内部の設計が新型になっているため、旧製品よりも高い性能を持ちます
(当初、「GeForce GT シリーズは GeForce 9000 を改名したもの」と表記していましたが、改名したものは GeForce GTS 250、及び GeForce GT 100 シリーズであり、GeForce GT 200 シリーズは新設計の新型でした。 ここで訂正させて頂きます。 <(_ _)>)

注文時に GeForce GT 230(GeForce 9600 の上位型と同等)、GeForce GTS 250(GeForce 9800 と同じ)も選択可能です。

今年の春までは、GeForce 9000 シリーズが上位クラスの高性能型ビデオカードでした。
しかし 2009 年に入って GeForce GTX という最新型のビデオカードの普及が本格的に始まっており、そのため1つ古い型となった 9000 シリーズは GT や GTS という新型に置き換えられ、これらが価格を下げた低価格モデルとして売られるようになりました。

しかし去年までは、9000 シリーズは上位クラスのビデオカードだったのです。 性能的には十分に高性能です!
その後継型が安価になったのですから、費用対性能で言うと非常にお得だと言えます。


なお、今回 HP 様から送って頂いた実機は、メモリが 4G に増設された構成になっていました。
よって検証は以下で行っています。

CPU Phenom II X4 810 (2.6GHz、4コア)
メモリ 4GB (DDR3-1066)
ハードディスク 320GB (製品名は ST3320813AS)
グラフィック GeForce GT 220 (GeForce 9600 と同クラス)

お値段はこれで 約7万6千円 です。 10万円切ってます!

ハードディスクを 1TB(1000GB) に増設しても 8万3千円 ぐらい。 送料含めても 9万円 いきません。
エントリーモデル(ローエンドモデル)を称するなら、一般的に 10 万円を切ってないといけないので、価格としてはこのぐらいでしょうか。
Windows は Vista のみですが 32bit 版 と 64bit 版を選択可能で、新型の Windows 7 が発売された後の無償アップグレードキャンペーンも行われています。

※ちなみに、テレビも見れる「ダブル地デジモデル」にして、メモリ 4G で HDD 1TB という一般的(だと思う)構成にした場合、10万円を少し超えてしまいます。
今回送って頂いたのは本当は地デジモデルなのですが、通常のモデルと同じように検証しています。

では、この値段のパソコンで、実際の性能はどのぐらい発揮できるのか・・・
この点を見てみたいと思います。

実機レビュー














































ASUS EeePC 901-X

以下のグラフは、パソコンの性能測定ソフト(ベンチマークソフト)「CrystalMark 2004」による結果です。
比較対象として他のパソコンの測定結果と並べて表記します。

東芝製 Qosmio F40W
 2007年秋に発売
・CPU: Core 2 Duo T7500
 (2.2GHz、デュアルコア)
・メモリ: DDR2-667 2GB
・VGA: GeForce 8600M GT
・HDD: 250GB、7200 rpm
※ノートパソコンです
HP製 Pavilion e9160 jp
 2009年秋モデル
・CPU: Phenom II X4 810
 (2.6GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR3-1066 4GB
・VGA: GeForce GT 220
・HDD: 320GB、7200 rpm
※今回のレビューPCです
HP製 Pavilion m9580 jp
 2009年春モデル
・CPU: Core 2 Quad Q9550
 (2.83GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR2-800 4GB
・VGA: GeForce 9800 GT
・HDD: 640GBx2、7200 rpm
※HDD は RAID 0 です
パソコン工房 GS9
 2009年、だいぶカスタマイズ
・CPU: Core i7 950
 (3.06GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR3-1333 6GB
・VGA: GeForce GTX 295
・HDD: 1TBx2、7200 rpm
※VGA はコアが2つのものです
価格 20 万円以上 価格 8万円前後 価格 13万円前後 価格 23万円程
東芝 Qosmio F40W HP Pavilion e9160 jp HP Pavilion e9580 jp パソコン工房 GS9 2009モデル(を元にだいぶ変更)

ご覧の通り、e9160 はコストパフォーマンス重視型だけあって、最高クラスの性能ではない反面、価格の安さの割には全体的に高い点数なのが解ります。

CPU の 「Phenom II X4 810」 は、Phenom II X4 というシリーズの CPU の中では低価格・低性能な部類に入ります。
しかし以前の一般的な CPU である 「Core 2 Duo」 と比べると、大きく勝っているのが解りますね。
さすがに Core 2 Quad や Core i7 という昨今の高性能型に比べると劣りますが、コストパフォーマンス重視の性能ですし、なかなか数値では健闘していると言えます。
(CPU の種類についてはこちらで解説しています)

メモリの速度は、メモリの種類が 「DDR3」 という新型になっている分、高速化しています。
CPU の Phenom II X4 810 は、低価格型ですが新型であり、最新のメモリを使えるのが特徴で、その点が数値にも出ています。

また、DDR3 メモリは今年の春までお値段が高く、低価格のパソコンには使われなかったのですが・・・
昨今、急速に普及したことで、一気に値下がりしました。 DDR3 が使われているのは、それも影響がありそうですね。

ハードディスク(HDD)は昨今の一般的な速度でしょうか。

グラフィック性能は、GeForce GT 220GeForce 9600 というグラフィックカードと同等であるため、春モデルに使われている GeForce 9800 には劣っています。
ただ、これでもゲームをやるには十分な性能と言えます。
GeForce 9600 は、昨年までは高性能モデルの1つとして知られていましたからね。


そして実際に、これでゲームをやると、どのぐらい快適なのか・・・
各種のゲームのベンチマークソフト(速度・快適さの測定ソフト)で、そのスコアを調べてみました。
スコアが高いほど、そのゲームが快適にプレイ出来ます。

各ゲームのベンチマーク測定
(設定はデフォルトです)
HP製 Pavilion e9160
 2009年秋モデル
・CPU: Phenom II X4 810
 (2.6GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR3-1066 4GB
・VGA: GeForce GT 220
・HDD: ふつう
・価格8万円前後
HP製 Pavilion m9690
 2009年夏モデル
・CPU: Core i7 940
 (2.93GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR3-1066 6GB
・VGA: RADEON 4850
・HDD: RAID 0
・価格15万円前後
パソコン工房 GS9
 2009年 カスタマイズ
・CPU: Core i7 950
 (3.06GHz、クアッドコア)
・メモリ: DDR3-1333 6GB
・VGA: GeForce GTX 295
・HDD: ふつう
・価格23万円ほど
大航海時代 Online 2210 2030 3520
FFXI(ファイナルファンタジーXI) LOW 10200 10800 11850
HIGH 8050 -- 10250
モンスターハンター・フロンティア 3500 12200 17550
ベンチマークソフト 3D mark 06 総合 6950 12800 19250
CPU 3450 -- 5500
(信長の野望 Online) (352) -- (420)

※3D mark 06 はゲームではありませんが、最も一般的に使われる測定ソフトなのでリストに含めています。
大航海時代 Online はノーマル、FFXI やモンスターハンターも初期設定のままでの測定を行っています。
目安として、大航海時代 Online は 300 以上で快適、FFXI は 4000 以上で快適、モンスターハンターは 3500 以上で快適です。

信長の野望 Online のベンチソフトはもう古いので、最近の性能を十分に測定できません。 あくまで参考程度にして下さい。

未測定のものもありますが・・・ ご了承下さい。
測定対象の他のパソコンが高性能なものばかりなので、ちょっと比較し辛いと思いますが、とにかく「大航海時代 Online」と「FFXI」の測定結果から、今年の春に発売された15万円クラスの夏モデル「m9690」と比較しても、大きな差がないことが解ると思います。

これで8万円と、ほぼ半額なのですから・・・ 時代は変わったものです。
この半年の間に DDR3 メモリが急に値下がりし、最新で高性能型の CPU と ビデオカード が登場したことで1つ前の型になったビデオカードや中間性能型の CPU の価格が大幅に下落したことが、この結果に繋がっていると言えます。


ただし、1つだけ解せないのが、e9160 のモンスターハンターフロンティアの測定結果。
性能に対して、スコアが異様に低いのです。 この性能なら低くても 5000 以上は出なければおかしいのですが・・・
何かのエラーかと思いましたが、何度やっても 3400〜3500 ぐらいの結果です。

調べてみたところ、どうやらモンスターハンターフロンティアは Phenom II の低価格型との相性が悪いようです
Phenom II X3 というタイプでも、同様に性能は高いはずなのに、スコアが全然上がらないようです。
Phenom II X4 の上位型(型番が 900 番台)なら、この症状は起きない模様です。

Phenom の初期型には欠陥があり、想定された性能を発揮できなかった不具合がありました。
その後、それは改良されたのですが、どうもこの結果を見ると、その時のことを思い出さずにはいられません・・・

モンスターハンターフロンティアはスコアが 3500 以上あれば高画質でも快適に遊べるので、ゲームをやる上で問題はないのですが、モンスターハンターフロンティアに限っては「あまり得意な方ではない」とは言えそうです。

※ CPU はパーツ選択(BTO)で 「Phenom II X4 925」 にも変更可能です。
1万円ほど高くなりますが、おそらくこちらならモンスターハンターフロンティアが苦手という事は無いと思います。
ただし、実際に試した訳ではないので、確証はありませんが・・・


ここからはパソコンの外観とケースについてご紹介します。
パソコンのケースがどうなっているかは、実際の使用感にも繋がってきますからね。

以前レビューした m9580m9690 とほぼ同じケースなので、それらの説明とダブっている部分もありますのでご了承下さい。
ただ、ケースは以前のものと比べると、若干マイナーチェンジされています。

まずは前面パネルの内容

e9000 シリーズ 前面パネル

本体の下部左側のカバー内に USB 2.0 のポートと、マイク&イヤホン 端子が1つ。
USB は、SD カードなどを入れられる「メディアカードリーダー」の部分にも2つ付けられていますので、前面には合計3つあります。

このケースの特徴は、拡張 HDD を入れられるスペースが用意されていること。
右側下部の扉を開けると開口部があり、ここは拡張 HDD スロットとなっています。
ここに専用の HDD ドライブ(パーソナルメディアドライブ)をガチャっと差し込むと、そのまま容量が増設され、この HDD ドライブは外付け HDD として持ち出し、他のパソコンとUSB 接続する事が可能になっています。
要するに、「外付け HDD を内蔵してしまおう!」 という事。

HP EASY BACKUPさらに前面の中央部にも着脱式の「ポケットメディアドライブ」というのを差し込めるようになっていて、これも USB 接続も可能な外付けの HDDであり、250 GB などの容量があります。

日本HPさんは「ゲームも出来るような高性能モデルを使う人は、他にも多目的な使い方をする」と考えておられるそうで、そのためこうした前面からアクセスできる増設スロットが用意されているそうです。

また、これらの機能を生かすため、前面パネルに「イージーバックアップ」というボタンが付いていて、これを押すと設定しておいた種類のファイルを自動的にバックアップしてくれる機能が付いています。
イージーバックアップはボタンを押すと右のような案内画面が出て説明してくれるので、迷う事はありません。

e9160 はエントリーモデル(ローエンドモデル)であり、低価格なパソコンとなっていますが、ケース自体は e9000 シリーズならすべて同じなので、この辺りの機能は高価格型と同様に使える模様です。



パソコン本体の中身の様子ですが・・・

後部にある大きな目立つネジを一本外せば、側面の板を外して中を確認できるようになっています。
ただ他のパソコンと異なるのは、このケースは正面から向かって右側の板が外れるという事。
他の多くのパソコンは左側の板が外れるのですが、逆なので注意して下さい。

e9160 ケース内部なんだか傾いているように見えますが・・・ こういうケースです。^^;
これは本体前面の底に吸気口があるからで、そのため絨毯の上に置くのはオススメできません。

内部には右下に CPU&CPUファン があり、そのすぐ横にケースファンがあります。
これで放熱を確保しているようで、その辺りに何かの差し込みなどがないのでこの近辺をコードが通る事もなく、通気を確保しやすい構成にしているのが見て取れます。

最近のパソコンは、前面ファンから取り込んだ空気を後方へ流す形でエアフロー(気流)を考えている場合が多いのですが、このケースはややサイズが小さいことと、拡張 HDD スロットがあるために、中が密集しています。
よってエアフローを確保できないため、CPU を右下に配置する形にして(マザーボードを通常の逆向きに固定している)、後部のファンの目の前に CPU を置き、これで冷却を確保する方式にしているようです。

この独特なケース形状が、前面から挿入できる 拡張 HDD というシステムを実現しているとも言えますね。

手前には「拡張 HDD スロット」があって、メモリや普通の HDD を入れる場所が、その奥にあります。
よって、普通の HDD やメモリに手を入れるのは難しいです。
メモリはともかく、普通の HDD の着脱を行うには「拡張 HDD スロット」を外す必要があるのですが、簡単には外せないようだったので、この点はやや注意ですね。
「拡張 HDD」があるので、普通の HDD はあまり着脱しないだろうという設計なのでしょうか。

なお、このケースでは普通の HDD は「縦向き」に固定します。(ケーブル接続部が上)
普通は横なので、この点も違います。
とにかく、色々と工夫が凝らされた、一風変わったケースであるのが解ると思います。

なお、このパソコンはケースの天井が少し凹んでいて、受け皿のようになっています。
この上に物を置いたり出来るようで、パソコンの中をイジる時も、ネジなどを置いておけるので便利です。

天井の受け皿

ただ、以前のモデルだとこの受け皿が着脱可能なゴムになっていて、さらにコードの固定部品などもあったのですが・・・
コスト削減のためか、そう言ったものは新ケースでは無くなっていました。(以前のものは m9690 でご紹介しています)

正直、こういう工夫は好きだったので、簡略化されてしまったのはちょっと残念です・・・
まあ、パソコンの上にものを置く人は、あまりいないとは思いますけどね。



以上、Pavilion e9160 のレビューでした。

10万円以下の低価格モデルで、これだけの性能を発揮できるのは、正直意外でした。

データを扱う速度が速い DDR3 メモリの価格が下がり、それを扱える Phenom II X4 にも低価格な新型が登場したので、「じゃあそれを使ってパソコンを組み立てよう、ちょうど GeForce も GT というコストパフォーマンス型が登場したから、それを使おう」 という事で出来た構成ではないかと思います。
パソコンの自作を行っている人が好みそうな構成でもありますね。

(実際の価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記リンク先で確認してみて下さい)

日本HP Pavilion Desktop PC シリーズ
※Pavilion e9160jp はすでに後継モデルが登場しているため、リンクは Pavilion シリーズのトップページに移動します。
(e9160 の後継モデルは e9260 になります)


・OS は 32bit / 64bit の選択が可能
・ミドルサイズデスクトップ、他社の同クラス PC よりも小さめです
・カスタムモデル/ダブル地デジモデル
・e9000 シリーズには廉価型、中間型、高価格型の3タイプがあり
・Phenom II などの AMD モデルあり

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GeForce GT 200 シリーズの仕様について hanachan さんから情報を頂きました。
ありがとうございます。<(_ _)>

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