○ 実機レビュー
   日本HP(ヒューレットパッカード)HP Pavilion m9580

HP Pavilion m9580日本HP(ヒューレット・パッカード)さんから、
2009年の春に発売されたデスクトップパソコン「Pavilion m9580」の実機の貸し出しをして頂きました。

当ページでは、その m9580 の実機レビューを掲載いたします。
外観、機能面、性能面、特徴などを検証しています。


通常モデルの他に、「ファイナルファンタジーXI 推奨モデル」や、
「モンスターハンターフロンティア推奨モデル」などがある、
ゲーム用途も考えられた高性能型のデスクトップパソコンです。
他にダブル地デジモデルなどのテレビ視聴重視型もあり、カスタマイズ(BTO)による発注も可能です。


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HP Pavilion m9580 外観今回送って頂いたのは Pavilion m9580 jp
前面パネルに光沢があり、黒光りしていて高級感がありますね。

高さは最高部で 394mm、奥行きは 422mm で、「ミニタワー」と呼ばれるサイズです。

いくつかモデルがあるのですが、今回貸し出しして頂いたのはオンラインゲーム 「ファイナルファンタジーXI 推奨モデル」 です。
ここでのレビューや検証はこのモデルを使って行っています。

CPU は全モデル Core 2 Quad のクアッドコア
メモリ はオンラインゲーム推奨モデルだとなんと 4G
(通常は 3.12G しか認識しないけど)
グラフィックGeForce 9800 などが搭載されています。
HDD 容量はこの FFXI 推奨モデルだとなんと「1テラ(1000GB)」を超えます! しかも RAID 0
これでも 12 万円台ですからコストパフォーマンスは相当高いですね。

やや性能が押さえられた約8万円のモデルもあり、各種パーツを自分でカスタマイズ(BTO)する事も可能です。
(パソコンの性能の意味が解らない方は上記用語のリンク先を参考にしてみて下さい)

これだけの性能があれば、画像・映像加工ソフトや、3D グラフィックの使われたゲームなど、多くのソフトウェアを快適に動かす事が出来るでしょう。
実際、各種ソフトの起動・終了が速く、パソコンがきびきびと動くので、使っていて気持ちよかったです。

なお、コア(CPU の中心部)が4つある 「クアッドコア」 は、一般には 「それほど活用できない」 と言われていますが、現在は高負荷で定番のソフトウェアは、ほぼクアッドコアを十分に活用できるように対応されています。
(Microsoft の表計算ソフト「エクセル」、Adobe の画像加工ソフト「フォトショップ」や「イラストレーター」など、映像エンコードソフトの「メディアエンコーダー」や TMPEG、H.264 など)


HP Pavilion m9580 キーボード&マウス&受信機付属されているキーボードとマウスは右のもの。
ワイヤレスタイプで、受信機は USB のとても小型のものですね。
すごくコンパクトで邪魔になりません。
受信範囲が1メートルほどなので、あまりパソコンを遠くに置いてしまうと受信できない可能性がありますが、普通に使うぶんには問題ないでしょう。
(画像では前面に付けていますが、普通は後部に付けます)

また、私は普段 Windows XP のパソコンを使っているので、Windows Vista という事で色々と違います。
一番の違いは起動の早さです!

Vista について詳しくない方のために説明しますと・・・
Windows Vista は普通に電源を切っても、完全に切れません。
スリープモード」と言われる状態になり、俗に言う「待機電力の付いている状態」になります。
そしてここからの起動は、わずか数秒ですみます。
完全に安定するまでの時間も十数秒。 電源を入れてすぐ使える訳ですね。

スリープモード中は若干の電力を消費し続けますが、1ヶ月の電気代が20円もいかない程度です。
数日に1度は完全な再起動を行う方がパソコンは安定しますが、逆に定期的な再起動の時以外は、スリープで気軽に使えると言う事になります。
スリープ時に使用中の情報をメモリに保存するためか、メモリの使用量はほぼ常時 1G を越えますが、このパソコン(m9580)なら 2G 以上のメモリが搭載されているので問題ないでしょう。


Windows Vista 用リモコンまた、Windows Vista には Media Center という機能があり、付属のリモコンで電源の ON/OFF と音楽や動画の再生、テレビチューナーが入っていればテレビの視聴などが、離れたところからテレビ間隔で行えます。
(スリープモード、つまり待機電力の付いている状態である必要があります)

パソコンに慣れている人だと Media Center の機能はあまり使わなくなりますが、それでも離れたところ(例えばベッドの上など)から簡単に起動や音楽再生などが出来るのは便利ですね。

なお、OS(Windows)は Windows Vista しか選べません。
これは最近のマイクロソフトの方針ですし、CPU のクアッドコアとビデオカードの GeForce 8000 シリーズ以降の性能を生かすには、XP じゃダメですしね。

実機レビュー














































ASUS EeePC 901-X

ここからは、パソコンの基本性能を見ていきます。

パソコンの性能を数値(スコア・点数)で比較できるソフト「HD BENCH」による測定結果は以下のようになっています。
参考に、他のパソコンのデータも載せておきますので比較対象にしてみて下さい。
(HD BENCH は古いソフトなので、グラフィック関連とハードディスク関連の測定は正確ではありません。 よって下記では CPU と メモリの性能のみ記載しています)
(また、性能を正確に表したものではないので、あくまで目安・比較用と考えて下さい)

Endeavor Pro3300 HDBENCHスコア エプソン製 Endeavor Pro3300
デスクトップパソコン、2005年秋に発売
CPU : Pentium D 830 (3GHz、デュアルコア)
メモリ : 2G (PC2-5300)
マザーボードチップセット : Intel 955X
Qosmio F40W HDBENCHスコア 東芝製 Qosmio F40W
ノートパソコン、2007年秋に発売
CPU : Core 2 Duo T7500  (2.2GHz、デュアルコア)
メモリ : 2G (PC2-5300)
マザーボードチップセット : Intel P965
Pavilion m9580 HDBENCHスコア HP(ヒューレットパッカード)Pavilion m9580 jp
デスクトップパソコン、2009年春に発売
CPU : Core 2 Quad Q9550 (2.83GHz、クアッドコア)
メモリ : 4G (実質 3.12G、PC2-6400)
マザーボードチップセット : Intel G33

やっぱり CPU の性能 は、新型になるほど上がっていますね。
特に m9580 の Core 2 Quad (上位型) の性能のスコアは、他と比べると圧倒的です!

メモリの読み書きの速さも、新型&新技術によって上がっているのが解りますね。


続いて、パソコン性能測定ソフト(ベンチマークソフト)「CrystalMark 2004」による結果です。
こちらも、比較対象として他のパソコンの測定結果と並べて表記します。

Endeavor Pro3300 CrystalMark2004 スコア エプソン製 Endeavor Pro3300
デスクトップパソコン、2005年秋に発売
CPU : Pentium D 830 (3GHz、デュアルコア)
メモリ : 2G (PC2-5300)
マザーボードチップセット : Intel 955X

ビデオカード : RADEON X1950 pro
(こちらで付け替えたもの)
Qosmio F40W CrystalMark2004 スコア 東芝製 Qosmio F40W
ノートパソコン、2007年秋に発売
CPU : Core 2 Duo T7500  (2.2GHz、デュアルコア)
メモリ : 2G (PC2-5300)
マザーボードチップセット : Intel P965

ビデオカード : GeForce 8600M GT
Pavilion m9580 CrystalMark2004 スコア HP(ヒューレットパッカード)Pavilion m9580 jp
デスクトップパソコン、2009年春に発売
CPU : Core 2 Quad Q9550 (2.83GHz、クアッドコア)
メモリ : 4G (実質 3.12G、PC2-6400)
マザーボードチップセット : Intel G33

ビデオカード : GeForce 9800GT
(オンラインゲーム推奨モデル)

CPU と メモリの性能は、HDBENCH で調べたものと同じような比率ですね。
やはり m9580 の Core 2 Quad がかなり高性能です。

ここでの注目は 3D グラフィックの性能です。(上記の画像では 3D と書いています)
3D グラフィックの性能は、立体的なグラフィックが使われたゲームをプレイする時に大きく影響し、ビデオカード(グラフィックカード、VGA)の性能が大きく影響します。
ゲームのプレイも考慮した「ゲーミングPC」にとっては、特に重視すべきポイントです。

見ての通り、やはり m9580 が 32000 を越える非常に高いスコアを出しています!
ビデオカードの「GeForce 9800 GT」は現在最高クラスのものなので、当然と言えば当然ですけどね。

2番目の Qosmio F40W の「GeForce 8600」は中間的な性能のタイプ
これでも十分、オンラインゲームや 3D グラフィックが使われたゲームはプレイ出来るのですが、性能が高いほど快適に綺麗な画面を表示できます。

一番上のパソコンのビデオカード「RADEON X1950」はやや古いタイプで、大抵のゲームはこれでもプレイ可能なのですが、最新の 3D グラフィックが使われたゲームだとプレイ時に動作が重くなるかもしれません。


最後に、ハードディスク(HDD)の性能を測定する「CrystalDiskMark」というソフトで、データの読み込みや書き込みの速さをチェックしてみます。

エプソン製 Endeavor Pro3300
デスクトップパソコン、2005年秋に発売

HDD : SAMSUNG SP2504C
250GB、回転数 7200 rpm
Qosmio F40W CrystalDiskMarkスコア 東芝製 Qosmio F40W
ノートパソコン、2007年秋に発売

HDD : (種類は不明)
160GB、回転数 5400 rpm
Pavilion m9580 CrystalDiskMarkスコア HP(ヒューレットパッカード)Pavilion m9580 jp
デスクトップパソコン、2009年春に発売

HDD : (自社製のため詳細不明)
640GB×2、回転数 7200rpm、RAID 0

まずなんと言っても m9580 の「ファイナルファンタジーXI推奨モデル」は RAID 0 構成が最初から利用可能になっている事。
この検証もそのモデルで行っています。

この 「RAID 0」 は同じ種類の2台のハードディスクを同時に使ってデータを分散して読み書きする技術で、そのため処理速度が大幅に向上します!
2台同時に使うのでハードディスクが壊れる可能性が高くなるデメリットもあり、実際にどのぐらい早くなるのか私も気にしていたのですが・・・ 調査結果は上記の通り。

もう圧倒的な書き込み・読み込み速度です!!

ここで調査しているハードディスクは全て Sirial ATA(SATA)という技術に対応したもので、上の2つが SATA のちょっと古いタイプ(SATA1)だと思われ、m9580 が SATA2 という新型のものなので、その点で性能差があるのですが、にしてもここまで速度が違うのはやはり RAID 0 の効果でしょう。

一番上の Endeavor 3300 と m9580 は速度が2倍ほど違うので、「2台のハードディスクを同時に使って速度を向上させる」という理論からして、納得のいく数値と言えます。
以前パソコンの開発部の方から「性能の高いパソコンで RAID 0 を体験してしまうと、もう元には戻れない」という話を聞いた事があるのですが、それが頷ける結果です。

中間の Qosmio F40W が遅いのは・・・ ノートパソコンだからだと思われます。
ノートパソコンはバッテリーの消費を押さえるために、HDD の動作速度を抑える事があるため、その影響が出ているのではないかと思います。


とにかく性能面に関しては、Pavilion m9580 は現在(2009年春の時点)では、最高クラスのものと言っていいでしょう。


さて、ここまではパソコンの基本性能について見てきた訳ですが・・・
今時のパソコンの性能というのは、使われている「パーツ」で決まります。
つまり同じパーツが使われているなら、他社のパソコンでも基本性能は似たものとなります

そこでここからは、もっと別の視点から見ていきましょう。

まずは前面パネルの内容

m9580 前面パネル

本体下部に USB 2.0 のポートが2つと、マイク&イヤホン、IEEE1394 端子が1つ。
SD カードなどを入れるメディアカードリーダーも標準装備。
まあ、この辺は普通ですね。

特徴的なのがその右側の開口部。 なんとここは拡張 HDD スロットです!
ここに専用の HDD ドライブ(パーソナルメディアドライブ)をガチャっと差し込むと、そのまま容量が増設されるというもので、この HDD ドライブは外付け HDD として持ち出し、他のパソコンとUSB 接続する事も可能になっています。
要するに、「外付け HDD を内蔵してしまおう!」 という事。
日本HPさんは「ゲームも出来るような高性能モデルを使う人は、他にも多目的な使い方をする」と考えているようで、そのためこうした前面からアクセスできる増設スロットが用意されたようです。

さらに前面の中央部にも着脱式の「ポケットメディアドライブ」というのを差し込めるようになっていて、これも USB 接続も可能な外付けの HDDであり、250 GB などの容量があります。
ノートパソコンやネットブックを持っている人だと相性がよさそう。

HP EASY BACKUPこれらの点が、この本体の最大の特徴かなと思います。

また、これらの機能を生かすため、前面パネルに「イージーバックアップ」というボタンが付いていて、これを押すと設定しておいた種類のファイルを自動的にバックアップしてくれる機能が付いています。
これならテレビを録画しまくってる人とか、動画を集めまくりな人とかも、そうとう容量に余裕がありそうだし、バックアップも簡単そうですね。

イージーバックアップはボタンを押すと右のような案内画面が出てウィザード方式で説明してくれるので、迷う事はありません。
なお、スケジュールに沿った自動バックアップも可能になっています。


さて、マニアお待ちかね(?)背面パネル&内部ですが・・・

m9580 後部パネル(I/Oパネル)背面はこんな感じです。
上と左下に排気口があるため、右下に差し込み口が集まっていますね。
マウスとキーボードのポート(差し込み)が最下部にあるため、床に設置するより机の上に設置する方が向いているのかもしれませんが、付属のマウスとキーボードがワイヤレス方式なので、あまり気にしなくていいかもしれません。

拡張スロットはビデオカードを付ける PCI Express x16 スロットが1つ、PCI Express x1 スロットが2つ、普通の PCIスロットが1つ
スロット数は多い方ではありませんね。

また、このパソコンはゲーム推奨モデルだと、サウンドは Sound Blaster (というサウンドカード)の装備が基本です。
(よって PCI Expressx1 は1つコレで埋まります)
Sound Blaster の標準装備が基本ってのは珍しいですが・・・
ゲームをやるなら音楽も高音質で楽しんで欲しいということでしょうか。
ただ映像重視の「ダブル地デジモデル」だと2つの PCI Express x1 スロットが両方とも地デジチューナーで埋まってしまうので、サウンドはオンボードになります。


m9580 側面中身ですが、中を見るためにはまず、やたらデカいネジを外します。
そしてあとは、側面の板をスライドさせるだけ。

ネジを1本外すだけで中にアクセスできるのは、非常に便利です。
まあ最近のケースは、中にアクセスしやすくなっているものが多いですけどね。

なお、側面パネルにはでっかく「MADE IN TOKYO」と書いてます。
最近はコスト低減のために組み立てを中国などで行っているメーカーも多いので、日本国内で作っている事をデカデカとアピールしているようです。
デルさんなんかは全て中国組み立てなので、同じ外資系メーカーとして同様に思われるのを避けたいというのがあるのでしょうか・・・?

確かに国内組み立ての方が安心感はありますね。


そして、こちらが本体の中身。

m9580 ケース内部右下に CPU&CPUファン があり、そのすぐ横にケースファンがあります。
これで放熱を確保しているようです。
CPU が隅っこにあって、その辺りに何かの差し込みなどがないのでこの近辺をコードが通る事がなく、通気を確保しやすい構成にしているのが見て取れますね。

CPU 以外の場所は拡張 HDD スロットなどもあってやや密集しているので、もしグラフィックカードを交換する場合はファンなどの位置に注意する必要があるかもしれません。
でも PCI Express x16 スロットの横側は広く空いているので、かなり横長な VGA(グラフィックカード)も装着できます。
(というか、最初に付いてるカードは横長タイプでした)

強いて難点を言えば、手前に拡張 HDD スロットのケースがあるので、その奥にある内蔵型 HDD ベイ(HDD を置くところ)にアクセスしづらい点でしょうか。
拡張 HDD スロットをネジで取って外す必要があります。

まあこのパソコンの場合、HDD 容量を増やしたいなら内蔵 HDD を交換するのではなく、拡張 HDD を買って追加する形になるでしょうから、あまり問題にならないとは思います。

m9580 天井それと、面白いなぁと思ったのが、ケースの天井

ちょっと凹んでいて、そこにゴムの滑り止めの受け皿が付いてます。
この上に物を置いたり出来るようで、しかもこのゴム、留め具を外したらはがせるのでそのまま水洗いできます。
ケースの上にちょっと物を置くのは良くありますが、ここまで 「さあ置け!」 みたいになってるのは始めてみました。 ^^;
パソコンの中をイジる時も、ネジを置いておけるので便利です。


全体として、とてもよく考えられているケースだという印象です。
単純に「ただ高性能を詰め込みました」ではなく、ケースやシステム自体に様々な拡張性や工夫が見られます。

以前、日本HPさんの開発者の方が「安かろう悪かろうなイメージは絶対に付けたくない」とおっしゃっていました。
そういう意気込みのような物を感じるケース・構成になっていると思います。



以上、Pavilion m9580 のレビューでした。

新型の CPU、Core i7 も登場していますが、Core i7 のパフォーマンスを生かせるような技術環境はまだ整っていませんし、Core i7 の発売後、Core 2 Quad の価格が値下がりしているので、Core 2 Quad のパソコンを買うならチャンスでもあります。

パソコンの購入や買い換えを考えている方は、参考にして下さいね!

(価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記リンク先で確認してみて下さい)

HP Pavilion PC m9580 日本HP Pavilion Desktop PC シリーズ
※すでに後継モデルが登場しているため、リンクは HP Pavilion シリーズのトップページに移動します。

モデルは以下の5種類、カスタマイズ可能
・カスタムモデル(BTO)
・ファイナルファンタジーXI 推奨認定モデル2種
・モンスターハンター フロンティア オンライン推奨モデル
・ダブル地デジモデル

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