○ 実機レビュー (2009秋モデル)
   ドスパラ Prime Galleria JF (2009年冬モデル 小型PC)

Dospara Prime Galleria JFドスパラさんより、2009年冬のモデル「Prime Galleria JF」の実機の貸し出しをして頂きました。
当ページでは、その Galleria JF の実機レビューを掲載しています。

このガレリアJFは、通常よりもサイズが小さい「小型のパソコン」です。
横幅が相応にあるので「ブックサイズ」という訳ではありませんが、通常のパソコンの半分ぐらいのサイズしかなく、置き場所に困らないのが最大の利点です。
また、こうした小型のパソコンは性能が低めになりがちですが、「ドスパラ(DOSPARA)」さんは性能の高いゲーミングモデル(ゲーム用途を考慮したパソコン)の売上でトップを走り続けており、拡張性や高性能を特に重視しているメーカーです。
そのため、このパソコンも小型パソコンとは思えない程の拡張性と性能を持ちます。

とは言え、通常サイズのパソコンに比べれば、性能も拡張性も落ちます。
これらがウリのドスパラさんのパソコンで、ケースが小型というのは、考え方によっては「特徴が相反している」とも言えます。

では実際に、どのようなパソコンになっているのか・・・ その点をメインに検証してみたいと思います。



Prime Galleria JFこの「Prime Galleria JF」は、ドスパラさんの小型サイズのパソコンです。
ゲーミングモデル(ゲームも可能なモデル)の最新型の小型タイプは、この「Galleria JF」のみです。(2009年末現在)

このパソコンはその小型のケース(JDコンパクトケース)が最大の特徴なので、まずはそこからご紹介しましょう。

パッと見て思うのは、奥行き幅が小さいこと!
約 30cm、出っ張ってる部分を含めても 32cm ありません。
このクラスの性能のパソコンの中ではもっとも奥行きが小さいのではないでしょうか。
幅や高さもかなり抑えられており、机の上に置いてもあまり邪魔にならない大きさです。

横幅はこのサイズのパソコンとしては広め(14cm)なのですが、これは拡張性を重視しているからのようで、この点については後述します。

前面パネルには USB が4つとイヤホン&マイク、さらに IEEE1394 のコネクタが。
(IEEE1394 は USB のような接続端子の一種で、主にビデオカメラなどで使われています。 詳しくはこちらを )
小さくてもコネクタは十分に用意されていると言えます。 CD/DVD ドライブは小型 PC なので縦向きです。

実機レビュー









































そしてケースの中の様子ですが、小型パソコンならではの工夫が見られるのと同時に、ドスパラさんらしい拡張性の高さが伺えます

まず小型でありながら、PCI スロット(拡張カードを取り付ける部分)のスペースが確保されていて、しかも使いやすい場所にあります。
これなら PCI カード(パソコンの機能拡張カード)の着脱も容易です。 これは小型のパソコンでは珍しいですね。
通常は上にあるはずの電源ユニットも下に設置されており、これで本体の高さを低くしています。

JDコンパクトケース内部

通常、電源ユニットを下に置くと PCI スロットはその裏に隠れてしまいがちなのですが・・・
マザーボードを上の方に固定して、PCI スロットを使えるスペースを確保しているようですね。

また、ハードディスク(HDD)も前面下部の使いやすい位置に設置されており、増設する時も前面部から挿入できるようになっています
ハードディスクのコードを繋げる「シリアル ATA コネクタ」も使いやすい位置にあります。
メモリは上部の CD/DVD ドライブを覆う金具を外さないと着脱できないので、ここはやや不便ですが、この金具の着脱はマニュアルを見ながらやれば特に難しくはありません。
(実際に外してみました)

そして大きな特徴として、このケースは小型でありながら横幅が広めで、ビデオカードや PCI カードを取り付ける場所のスペースも大きく開けられているため、LowProfile(小型用)」ではない通常サイズのビデオカードや拡張カードも取り付けることが出来ます!
これは小型 PC としてはかなり特異で、私も初めて見ました。 間違いなく小型 PC としては、もっとも高い拡張性を持っていると言えます。

上部の CPUCD/DVD ドライブの周囲には、それを覆うように金属のカバーが付いていますが、ここには CPU ファンにホコリが入らないようにするための「防塵フィルター」も付いているのが特徴です。

側面から CPU への吸気を行うパソコンの場合、CPU ファンにホコリが直接行くため、私も CPU ファンがホコリまみれになった事があるのですが・・・
このようなフィルターがあるとホコリを防げるので、とてもありがたいですね。 しかも簡単に外して掃除できるようになっています。

防塵フィルターはあるとホントに嬉しいです。

初期の構成では Prime Galleria JF には SD カードなどを入れる 「カードリーダー」 などがありません。
しかし HDD(ハードディスク)などを取り付ける 「3.5 インチベイ」 が2つあるので、一方にカードリーダーを付けた状態にして貰うことも可能です。
もちろん内蔵 HDD を2台にしても良く、内蔵 HDD を2つ付けられる小型 PC は珍しいと言えます。

側面や前面などにケースファンが見当たらないため、正直言って通気(エアフロー)や冷却については心配な面もあります・・・
ただ、ドスパラさんは通気や冷却についても気を使っているメーカーなので、ここは大丈夫な設計になっている・・・ と思いたいですね。

マニュアルはそのまま本屋で売れるレベルまた、ケースの特徴ではないのですが、特筆しておきたいのが・・・ マニュアル。
全ページカラーで写真や画像も非常に多い、とても詳細で解りやすいマニュアルなのです!

基本操作や Windows の使い方、困った時の FAQ などはもちろん、「内部の作業をする場合」の項目にはケースの扱い方やパーツの付け方、ケーブルやコネクタの意味などがまるで自作マニュアルの如く詳細に写真付きで説明されています。
さすがは母体が「パーツショップ」ですね。 ケースの中身の 「清掃マニュアル」 まであります。

普通に本屋さんで売っているパソコンの本のようで、私が今までに見たパソコンのマニュアルの中では、トップクラスのものと言って間違いありません。



さて、ではこの小型パソコンがどのぐらいの性能を持っているかについてですが・・・
今回検証した Prime Galleria JF の構成は以下のようになっています。

CPU Core i5 750 (2.66 GHz、4コア)
メモリ DDR3-1066 4GB (Windows が 32bit 版であるため実質 3G)
ビデオカード GeForce GT 220
HDD 容量 500 GB、7200 rpm (日立製 HDS721050CLA362)

CPUビデオカード(グラフィックカード)も「最新の廉価型」で、コストパフォーマンスと消費電力に優れたタイプです。

以下の数値は、ベンチマーク(性能測定)ソフトとして世界標準の 「PC mark 05」 で性能を計測した結果です。
一番右が今回検証している 「Galleria JF」、比較対象として他の構成のスリム型パソコンも合わせて掲載しています。

HP Pavilion s5150jp
2009年 秋モデル(スリム)
HP Pavilion s5250jp
2009年 冬モデル(スリム)
ドスパラ Prime Galleria JF
2009年 冬モデル(スリム)
・OS: Windows Vista
・CPU: Core 2 Quad Q9650
・メモリ: DDR3-1066 4GB
・VGA: GeForce GT 220
・OS: Windows 7 32bit
・CPU: Core i5 750
・メモリ: DDR3-1333 4GB
・VGA: GeForce G210
・OS: Windows 7 32bit
・CPU: Core i5 750
・メモリ: DDR3-1066 4GB
・VGA: GeForce GT 220
HP Pavilion s5150jp HP Pavilion s5250jp Prime Galleria JF

CPU のスコアが一番高いのは一番左の「Core 2 Quad Q9650」ですが、「Core i5 750」の方が最新型で、発熱や消費電力が低く、性能を一時的に引き上げる新技術などにも対応しています
また、「メモリーコントローラー」という新型メモリを効率よく使える技術が導入されているため、メモリの数値も Core i5 搭載機の方がかなり高くなっています

グラフィック性能(下から2番目)のスコアは、ビデオカードが GeForce GT 220 のパソコン(左と右)が高いですね。
高いと言っても昨今のレベルとしては中の下クラスなのですが、コストパフォーマンスが良く、消費電力も低く、最新の 3D グラフィックのゲームもプレイ可能なレベルにあります。
それに詳しくは後述しますが、本体が小さくなると「電源」の出力が低くなるため、このぐらいが限界だと言えます。

ビデオカードの性能については以下のページも参考にして頂ければと思います。

ビデオカードのランク付け
2009 年度のCPU&ビデオカードの性能一覧


そして実際にこの構成のパソコンで、3D グラフィックが使われたゲームやソフトウェアを使用した際に、どのぐらい快適なのか・・・
3D グラフィックやゲーム関連のベンチマーク(性能測定)ソフトで調べた結果は以下の通りです。

HP Pavilion
s5150jp
HP Pavilion
s5250jp
ドスパラ
Prime Galleria JF
2009年秋モデル 2009年冬モデル 2009年冬モデル
OS Windows Vista 32bit Windows 7 32bit Windows 7 32bit
CPU Core 2 Quad Q9650
(3GHz)
Core i5 750
(2.6GHz)
Core i5 750
(2.6GHz)
メモリ DDR3-1066 4GB DDR3-1333 4GB DDR3-1066 4GB
VGA GeForce GT 220 GeForce G 210 GeForce GT 220
構成価格 スリムサイズ スリムサイズ スリムサイズ
ベンチマークソフト
3D mark 06
総合 6200 2600 7200
CPU 4350 4200 4200
大航海時代
Online
ノーマル 2600 1700 2650
FFXI
(ファイナルファンタジーXI)
HIGH 8600 7300 6700
モンスターハンター
フロンティア
1280x1024 5800 1150 3650
ロストプラネット
EXTREME CONDITION
Snow+Cave -- 19 + 25 53 + 68

※3D mark 06 はゲームではありませんが、最も一般的に使われる測定ソフトなのでリストに含めています。
大航海時代 Online はノーマル、FFXI やモンスターハンターも初期設定のままでの測定を行っています。
目安として、大航海時代 Online は 300 以上で快適、FFXI は 4000 以上で快適、モンスターハンターは 3500 以上で快適です。

3D グラフィックの測定ソフトとして世界標準の 「3D mark 06」 の結果は、ほぼパーツの性能通りの数値となっています。
CPU はどれも大差ありませんが、3D 性能の総合結果は上記の構成だと Prime Galleria JF がもっとも高いですね。

ただ、実際のゲームのベンチマーク結果は、やや数値がバラついた結果になりました。
「大航海時代 Online」 の測定結果はほぼ性能通りと言えるのですが、「ファイナルファンタージ XI」と「モンスターハンターフロンティア」は、Galleria JF ではなぜか今ひとつスコアが伸びていません。
パーツの性能から考えると、もっとちょっと高いスコアが出てもいいのですが・・・

理由はよく解りませんが、「測定誤差」と言えるような差でもないため、ソフトウェアやビデオカードのドライバが Windows 7 に十分対応できていないのかもしれません。
ただ、今回測定したゲームはどれも快適にプレイ出来る範囲で、最新の 3D グラフィックのゲームである「ロストプラネット」も普通にプレイできる結果でした。

最新のゲームを最高画質でプレイしたり、オンラインゲームでキャラクターが密集している場所に行くと重たくなると思われますが、最高画質でなければどのゲームも問題なくプレイ出来そうですね。



Galleria JF と Pavilion s5250jpさて、最後にちょっと趣向を変えて・・・ ライバル機との比較検証をしたいと思います。

ドスパラ「Prime Galleria JF」は小型でも拡張性が高く、高い性能を持っているマシンです。
一方、似たマシンとして小型でも性能が高い「HP(ヒューレットパッカード)Pavilion s5250jp」があります。

ゲームも可能な小さめのパソコンが欲しいなら・・・ 使用できるパーツ(つまりパソコンの性能)と価格、メーカーの規模(つまり信頼性)などから考えて、この2つのどちらかが一般的だと思います。
そこでそれぞれにどんな特徴があるのか、比較しながら見てみたいと思います
パソコンやメーカーによって色々と違いがあるというのが、初心者の方にもよく解ると思います。

まずサイズ。
これは HP さんの HP Pavilion s5250jp の方が横幅と高さは小さいです。
しかしドスパラさんの Prime Galleria JF の方が奥行きは約 80mm も小さいですね。
一長一短ですが・・・ どちらも「机の上に置いてもあまり邪魔にならないサイズ」なのは確かです。

Galleria JF と Pavilion s5250jp、サイズ比較

拡張性に関しては両極端です。
ドスパラさんの「Prime Galleria JF」は拡張カード(PCI カード)やビデオカード、内蔵 HDD の増設・交換がしやすく、しかも通常サイズの(LowProfile(小型用)ではない)パーツさえも使用が可能です。
PCI スロット(PCI カード取り付け部)や HDD ベイ(HDD 取り付け部)の数も、Prime Galleria JF の方が多いです。

HP さんの Pavilion s5250jp は内部が密集していて、増設などはお世辞にもやりやすいとは言えません
「ポケットメディアドライブ」という増設 HDD を外から挿入可能ですが、拡張性やパーツの着脱のしやすさで言えば Prime Galleria JF の方がいいですね。

Galleria JF と Pavilion s5250jp、ケース内部

BTO の幅(注文時に選択できるパーツの豊富さ)に関しては、この2つだと意外にも HP さんの Pavilion s5250jp の方が上です。
Pavilion s5250jp は選べる CPU に Core i5 だけでなく上位型の Core i7 も選択可能で、テレビを見るための「地デジチューナー」も付けることが出来ます。 メモリも最大 8G まで搭載可能です。

一方、ドスパラさんの Prime Galleria JF は CPU は「Core i5 750」のみで、メモリは 4G、地デジチューナーなどもありません。
ただ、HDD の挿入スペースが1つ空いていて、そこに内蔵型 HDD を追加することが出来ます。

地デジチューナーに関しては、ドスパラさんのパソコンは拡張性が高く PCI スロットが空いているので、自分で好みの地デジチューナーカードを買って付ければいいのですが、初期の選択にはありませんので「自分で付けられる」という相応の技量が必要になります。
(そんなに難しい訳ではありませんし、自分で付けられる人なら「好みのものを選べる」というメリットもありますが)

Prime Galleria JF のマザーボードは、本当なら CPU も Core i7 が使えるはずなのですが、それでもあまりパーツの選択肢がないのは・・・
やはりこれらを使った場合、通気や冷却に関する不安があるのでしょうか・・・? 正直、エアフロー(通気性)は s5250jp の方がいいと思います。
(Prime Galleria JF はビデオカードのファンと電源の吸気口が PCI スロット側に向いているため、そこに PCI カードを付けたら通気がますます塞がれる心配もあります・・・ まあ、PCI スロットが使えない、というよりはマシなのですが)

また、拡張に関しては「電源ユニット」の出力が小さいのもありそうです。
Prime Galleria JF は 300W の出力なので、あまり消費電力の大きなパーツを付けると電源が心配です。
通常サイズの拡張カードが使えるケース設計であるにも関わらず、パーツの選択肢が少なめなのは、その辺も影響がありそうですね。
もっとも電源に関しては、HP Pavilion s5250jp も 270W しかありません
小型サイズのパソコンの場合、電源は小さくせざるを得ないので、ここは仕方のないところでしょうか。

価格については、同じような構成だとドスパラさんの方が安くなります。
(価格は時期やキャンペーンによっても異なります)
付属品は HP さんの方がマウスやキーボードがやや上でしょうか。
キーボードやマウスは、自分で好みのものを選んで使う人も多いと思いますけどね。

最終的には好みですが、一つ確かなのは、小型のパソコンでゲームも出来る高性能なパソコンが欲しいなら・・・
性能(使われているパーツ)から考えて、Prime Galleria JFHP Pavilion s5250jp のどちらかが選択肢になるでしょう。
(ビデオカードが搭載可能な小型 PC は、そうそうありません)

他の小型パソコンの購入を考えている方も、これらの点を比較して性能や特徴を確認してみて下さい。



以上、ドスパラ Prime Galleria JF のレビューと検証でした。

ドスパラさんのパソコンは、ケースが大きめで拡張性が高く、使えるパーツの幅が広いのが特徴です。
ですから、ケースが小さくて使えるパーツが少なめになる小型パソコンだと、ドスパラさんの優れている点が消されてしまうのではないかと思ったのですが・・・
「小型パソコンで最大限の拡張性を実現している」というところに、「ドスパラらしさ」がありましたね。

今回、この実機の貸し出しをして頂いたのは・・・
私が以前、インタビューや Prime Galleria XF のレビューページで、「ケースが大きくてオーソドックス」と評したからでしょうか?
「ドスパラにはこんな工夫を凝らした、小さなケースもあるんだぞ」 というアピールだったのかもしれません。
(ドスパラの担当者さんにお聞きした、ドスパラの開発思想や設計志向に関するお話しは こちらのインタビューページ をご覧下さい)

ゲームをプレイするような場合には、本体が大きくて高性能なパーツも内蔵できる大型のパソコンの方が良いのですが、「小型でも高性能が欲しい!」とか「机の上に置くから出来るだけ小さいのがいい!」と思われている方は、この Prime Galleria JF も選択肢となるのではないかと思います。

(実際の販売価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記リンク先で確認してみて下さい)

ドスパラ Prime Galleria JF ドスパラ Prime Galleria JF(小型モデル)
(ドスパラ Prime Galleria シリーズ)

※ドスパラさんのパソコンの各モデルは、使用されているパーツの在庫/入庫状況により、販売が一時的に停止/再開される場合があります。 もし Prime Galleria JF のリンクが繋がらない場合、上記の理由により販売停止になっている可能性があります。
ドスパラさんのパソコンの各モデルの詳細が知りたい方は Prime Galleria シリーズ のリンク先をご覧下さい。


・Galleria JF は Core i5 750 + GeForce GT 220 固定のモデルです
・ケースが小型の省スペース PC
・OS は Windows 7、32bit と 64bit を選択可能
・3.5 インチベイに追加 HDD、及びカードリーダーを増設可能
・高速型の HDD の選択も(在庫があれば)可能です

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