○ 実機レビュー (2011年 春モデル)
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パソコンの概要と外観 |
Sycom(サイコム)は埼玉県のパソコンメーカーで、一般店舗での販売は行わず、ネット通販のみでパソコンを販売しているメーカーです。
元はメモリを中心とするパソコンパーツの卸売りをしていた会社で、「パーツを扱っていたところがパソコン本体の販売も行うようになった」という点では ドスパラ や ツクモ と似ているのですが、これらが店舗での小売だったのに対し、卸売り(中間流通)であったところがサイコムが他と異なる点です。
そのためか、ドスパラやツクモが店舗なども利用して幅広い販売を行っているのに対し、サイコムは通販のみで(他社と比べると)やや地味な販売を行っています。
「納期の遵守」を重視されている点なども、元卸売りらしいと言えますね。
近年は技術試験や資格の取得をしなければ得られないマイクロソフトの「ゴールドパートナー認定」も取得しており、さらなる技術力の強化を計っているようです。
(このゴールドパートナー認定は大手メーカーならほぼ受けているのですが、サイコムも規模の割には、それに並ぶ認定を受けています)
サイコムのパソコンの特徴は、冒頭でも述べたように「上級者向け」と言えることでしょう。
上級者向けと言っても扱いが難しいという意味ではなく、「パーツの選択肢の幅が非常に広く、詳しい人なら望む形のパソコンを注文できる」、「本体の拡張性が高く、自分で容易にパーツの追加・交換が出来る」という意味です。
よって自作者からも支持されているメーカーですが、これからパソコンの事を知っていきたい初心者の方にも向いています。
ただ、全くの初心者だと、ちょっと発注しづらいメーカーであることも確かですね・・・
今回貸し出して頂いた「G-Master Lance3」は、サイコムのゲームPCシリーズ G-Master の中の、LanCool というブランドのケースを使用しているものです。
サイコムのゲーミングモデルには、上位型や下位型といった区分はありません。 なぜなら性能や価格などは使用するパーツで決まり、サイコムのパソコンは多用なパーツに対応しているため、構成は「ユーザー次第」だからです。
一応基本となる構成は用意されているのですが、マザーボードから選択する事が可能なので、まさに真の意味での BTO (受注生産)と言えます。
2011 年春の時点で用意されているのは、Lian-Li(リアンリー)社のケースを使った「Lance3」(今回取り上げるモデル)、Cooler Master(クーラーマスター)社のケースを使った「BLADE2」、ASUS(アスース)社のケースを使った「Armor」の3つ。
このうち Lance3 と BLADE2 は高さが 50cm 近くもある、かなり大型のものです。
定番の PC パーツメーカーが市販している「マニア向けの大型ケース」であるため、通気性や拡張性は申し分なく、このサイズのケースを使っている点だけ見ても他のメーカーとは一線を画していることが伺えます。
今回お借りした G-Master Lance3 の外観は以下の通りです。
スイッチを入れると淡い青色に輝きます。 ブラックとブルーの色合いが良いですね。 |
側面パネルは透明になっています。 内部も青色にライトアップされます。 |
電源や USB は上部に。 また、大きな通気口が用意されています。 |
前面はすべてメッシュ(網目パネル)になっていて、通気性がかなり重視されているのが解りますね。
前面の下部にはフロントファン(送風機)があり、電源を入れるとこの部分が青く発光します。
控えめな青い光が美しいケースで、このライトアップのおかげで地味な印象は受けません。
最大の特徴はサイドパネルが透明になっていて、常に内部を確認できることでしょう。
ケースの内部も青くライトアップされるので、マザーボードや PC パーツそれ自体がパソコンの「装飾」となります。
これはマニアでなくても「おおっ」と思う点ではないでしょうか。
デザインに優れていると同時に、パーツの動作を気にする方は、いつでも中を確認できる安心感もありますね。
前面がすべてメッシュパネルなので、電源スイッチや USB 端子などは上部に設置されています。
ただ、高さが 50cm ほどある大サイズのケースで、さらに上部に端子があるため、パソコンを机の上や棚の中に置くのには向いていません。
基本的には、床に直接置く事を想定していると考えた方が良いでしょう。
床に置いて使うと考えた場合、スイッチや端子が上部にあるのは便利だと言えます。
天井部分にも大きな通風口があり、その裏側にもケースファンが設置されています。
このケースは天井の通風口の真下に CPU が配置されているので、これで CPU の冷却をより強化している設計のようですね。
そのため、パソコンの上に物を乗せたりしないようにして下さい。
本体の下部にも電源を冷やすための通風口があるので、カーペットの上などに置くのはオススメできません。(画像はカーペットの上ですが・・・)
とにかくあちこちから吸気を行える、冷却を重視した設計であるのが解ると思います。
これなら発熱の大きなパーツを使っても、トラブルが起こる確率を減らすことが出来そうですね。
パソコンの内部構造と拡張性(Sycom G-Master) |
続いて、内部の様子は以下の様になっています。
ケースサイズが大きいため内部は広く、大型ビデオカードも入ります。 マザーボードは上部に取り付けられ、電源ユニットは下部に配置されます。 |
5インチベイは5つ、HDD ベイは4つ使用可能。 配線がしっかりまとめられているのはサイコムの特徴。 |
ケースがかなり大きいだけあって中は広々。
横幅が 290 cm のビデオカード(現在最大サイズ)も搭載出来るため、現在存在する全てのビデオカード(VGA)が利用可能です。
高さもあるので CD/DVD ドライブなどを設置する「5インチベイ」は5つ、HDD を入れる「HDD ベイ」も4つと、かなり多めに用意されています。
CPU ファンも大型のものをラクに装着可能で、さすがにマニア向けのケースだけあって、拡張性は最高クラスと言えますね。
マザーボードはケースの上部に取り付ける形になっていて、拡張カードなどを装着する PCI スロットも全て利用可能です。(ビデオカードに干渉するもの以外)
今回お借りしたパソコンのマザーボード(ASRock P67 Pro3)だと PCI スロットが3つ、PCI-Express x1 スロットも3つありますが、ビデオカードを取り付ける PCI-Express x16 スロットは1つしかないので、複数のビデオカードを装着する事(SLI や CrossFire)は出来ません。
ただ、サイコムはマザーボードも変更可能なので、任意のスロット数のものを選択することも出来ます。
IEEE 1394 や eSATA 端子の有無などもマザーボードにより異なりますが、これも必要な場合はそれが付いたマザーを選択可能です。
外観のところでも述べたように、ファン(送風機)は前部・後部・天井の3ヶ所に装備されていて、通気性は十分。
電源ユニットは下部に置くようになっていて、手前が広く空いているのでコードの着脱が簡単に行えるようになっています。
電源ユニットの下にもメッシュ付きの通気口が空いていて、下部から吸気を行っています。
Sycom(サイコム)のパソコンは「配線がきれい」とよく言われています。
今回お借りしたパソコンもコードはすべて結束され、ケースの側面に丁寧に固定されており、バラバラのまま5インチベイの中に押し込まれているとか、そういう事はありませんでした。
こうした使いやすい綺麗な配線もパソコンの上級者の方からの好評に繋がっているようです。
もちろんコードがまとまっている方が、エアフロー(内部の気流)も良くなりますね。
このパソコンで使われているケース「LanCool Dragon Lord PC-K62 Dark Ice」はパソコンショップなどで市販されているケースなので、メーカーの公式プロモーションムービーが Youtube で公開されています。
ケースの内部の構造については以下のムービーを見るのが解りやすいので、こちらも参考にしてみて下さい。
パソコン全体のサイズは横幅が約 21.5 cm、高さが約 50 cm、奥行きも約 50 cm です。
一般的なパソコンと比べると高さは 5〜10 cm ほど高いのですが、幅と奥行きは標準サイズと言えます。
今回試用したパソコン「Sycom G-Master Lance3」のパーツ構成は以下の様になっていました。
OS | Windows 7 Home Premium 64bit 版 |
CPU | Core i7-2600K (第2世代 Core i 、3.4GHz、4コア) |
CPU ファン | OWLTECH 無双 ver.IV |
メモリ | DDR3 PC-10600 4GB |
ビデオカード | GeForce GTX 460 (VRAM 1GB、Leadtek 製) |
HDD | 640GB HDD (Western Digital WD6400AAKS) |
マザーボード | ASRock P67 Pro3 |
電源 | 850W 電源 (SilverStone SST-ST85F-P、80 PLUS Silver) |
こうしたパーツ名を見ても、パソコンにかなり詳しい方でないと解らないと思いますが・・・
サイコムの注文ページでは「パーツ詳細」という部分をクリックすることで、選択出来るパーツの詳細解説と写真を確認する事が出来ます。
多くのパソコンメーカーでは細かいパーツの型番までは解らない事が多いのですが、サイコムは性能・外観・型番などをほぼ全て確認可能です。
メーカー公式ページなどへのリンクも張られているので、より安心してパーツを選べるというのがありますね。
注意として、サイコムのパソコンは初期設定のままだと OS (Windows)が「なし」になっているのでご注意下さい。
パッケージ版の Windows をすでに持っているとかでない限り、Windows はパソコン1台に1つ必ず必要ですので、忘れずに選択しておきましょう。
(基本的に、今持っている Windows の使い回しが出来るかどうかを調べられない人は、Windows を流用すべきではありません)
なお、今回の構成だと価格は発送料込みで約 14 万円となっています。
※冒頭にも表記しましたが、HDD や SSD などを取り付ける SATA2 スロットの速度が低下してしまう「Sandy Bridge 用のマザーボードの欠陥問題」は、「B3ステップ」と言う修正版が普及し始めたため終息に向かっています。
このパソコンも現在は G-Master Lance3 (B3) となって、この問題が修正されたパーツが使われています。
・Sycom G-Master Lance3 (B3) ※パーツの在庫状況等の影響で販売が一時的に停止される場合があるため、 上記リンクはサイコムのトップページに移動します。 ・サイコムのゲーミングモデルのデスクトップパソコンです ・Lance3 は CPU に Sandy Bridge(第2世代 Core i)を使ったモデルです ・第2世代 Core i のチップセットの欠陥問題は修正されています ・性能や価格は BTO 構成(選択したパーツ)により異なります ・マザーボードが選択可能、OS の初期設定は「なし」になっています |
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