○ 展示会・発表会で担当者の方から聞いたお話
   マウスコンピューター / G-Tune のインタビュー(2015 以前)

展示会・発表会インタビュー

マウスコンピューターこのページでは、各地で開かれている展示会や発表会に参加した際に、マウスコンピューターの担当者さまから直接お聞きした話を掲載しています。

普段は解りにくい各メーカーの開発方針や販売傾向、重視しているポイント、扱っている製品の現状や今後の予定などをお聞きしています。

ただしそれぞれのお話はあくまで会場で聞いた担当者さんのセリフなので、その会社の総意という訳ではないのでご了承下さい。
(読みやすいよう言葉/単語などを一部修正したり、複数の担当者さんのお話をまとめている場合もあります)

お話をさせて頂いた担当者の皆さん、ありがとうございました。
(以下の文章の、「担」は担当者様「私」は筆者である私のセリフです)

※このページは過去のインタビューを掲載しています。 最新のお話はこちら になります。

インタビュー パソコンメーカー


・マウスコンピューター / G-Tune
ベンチャー企業として発足した、パソコンショップがルーツのメーカー。
早くから BTO(パーツ選択による受注生産)をしていたが、当初は大手電気店の下請けとして
パソコンを納入することが多かったため、メーカーの知名度は高くなかった。
しかしゲーム向けパソコンの先駆者的なブランド「G-Tune」を発足するなどして販路を拡大、
現在は知名度も上がり、国内最有力の PC メーカーの1つとなっている。
国内のモニターメーカー「イイヤマ」を吸収し、長野県飯山市の大工場で生産を行っている。
マウスコンピューター/G-Tune  マウスコンピューター/G-Tune


マウスコンピューター / G-Tune 展示説明会の模様 2015年3月


【 説明会後、担当者の方にお聞きした話 】 ※説明会の模様は後述

マウスコンピューター G-Tune
G-Tune NEXTGEAR の内部。
使い勝手が良く、ゲーム PC に適した
構造を持っています。
詳しくは こちら で解説しています。
私:「最近、国内では目立った PC ゲームがない印象がありますが、G-Tune(ゲーミングモデル)の売上げが下がったりはしていないのでしょうか?」

担:「そんなことはないですね。 むしろ上がっています。
PSO2 専用モデルがよく売れていて、他にコストパフォーマンスが良い『裏・顔TVicon』モデルが、相変わらず人気です。
あと、MMD 用モデルiconが予想外なほど売れています」


私:「MMD ってニコ動とかで人気のやつですよね? (MMD は初音ミクなどの 3D のキャラクターモデルを使ってアニメーションを作るフリーソフト)
アレの専用モデルって、そんなに売れるんですか? と言うか、何を持って「MMD 専用」なのかと・・・
G-Tune ちゃんのボイスを声優さんに吹き込んで貰ったという話が発表会でありましたが、そっちの方面に詳しくないので、それでそんなに売れるのかも疑問なんですが・・・」


担:「実は私も、どうなんだろうと思ってたんですが・・・ すごく売れています。
声優さんの声はやはり凄いらしく、収録スタジオで聞いた音圧そのままの声をお届けしたいと言うことで、高音質化した「ハイレゾボイス」の提供も始めました。
あと MMD モデルは、ビデオキャプチャーボードを追加できます。 ゲーム機などを接続して録画したり、そのまま生放送で配信したり出来ますね。
キャプチャーボードは上位モデルでも追加可能にしています」


私:「巷では GeForce GTX 970 の VRAM 3.5 GB 問題が話題になっていましたが・・・ それって影響ありましたでしょうか?」
(GTX 970 の設計上の欠陥により、ビデオメモリの使用量が 3.5 GB を超えると性能が低下することが発覚、クレーム騒ぎになった)


担:「私たちも恐かったのですが、特に影響は見られませんね。 それで売上げが落ちたということはありません。
むしろ GeForce GTX 970 は今も一番売れています」


マウスコンピューター G-Tune
噂のスティック型 PC。
マウスパッドの上にあるので
大きさが解りやすいと思います。
※画像はクリックで拡大します
私:「あれってアップデートで解決したりするんですかね?」

担:「いや、ハード的な問題なので、アップデートでは解決しないと思われます。(※でも後日、ドライバの対応アップデートが行われました)
しかしそれが問題になる状況は限られていて、かなり高負荷な状態でソフトを動かさないと症状は起こりません。
一般的な使い方では無視して良いレベルですし、この問題自体、あまり知られていないと思います。
騒ぎになったのは気分的な問題と、NVIDIA(開発メーカー)の発表が遅れたためだと思いますよ」


私:「M.2 の SSD(PCI Express に接続できる SSD)などは、選べるようになっているのでしょうか?」

担:「主にノートでしか使っていません。 デスクトップの一部モデルで選択可能ですが、利用されている方は少ないですね」

私:「AMD さんのモデルはどうなんでしょうか? 前の発表会ではそちらもプッシュされていたようですが・・・」

担:「Intel さんや GeForce の方が人気なので、特別推している訳ではありませんが、もちろん AMD のモデルiconもありますよ。
Fluid Motion(AMD の上位 CPU「A10」に内蔵されている動画が滑らかになる技術。特にアニメで影響がある)のデモを流しているので、ぜひご覧下さい」


私:「(二分割され、一方が普通、もう一方が独自技術で滑らかになった動画を見ながら)うーん、あまり違いはないような・・・?
キャラクターが近影の時はあまり変わりませんね」


マウスコンピューター G-Tune
ラブライブで AMD CPU の独自機能
動画再生補間機能を実演中。
まあ、静止画じゃ解りませんが・・・
担:「解りやすいシーンと解りにくいシーンがあります。 動きの激しい場面や、画面がスクロールしている時は、はっきりと違いが出ます」

私:「あぁ、ホントだ。 画面がスクロールしている時の背景は明らかに違いますね。 すごく滑らかになってる。
これはコマの間を補間しているんですよね?」


担:「そうです。 アニメは普通 24 FPS ですが、それを 60 FPS で動かしているので、大きく動くシーンほど差が出ます。
滑らかになり過ぎるとアニメっぽさが失われるので、その辺は違和感が出ないよう調整されています」


私:「価格も AMD さんの方が安いんですよね? 以前、提携により安く仕入れられるようになったというお話がありましたが・・・」

担:「そうですね。 AMD さんの方がコストパフォーマンスは良いです。
現在、円安でパーツが値上がりし、パソコンの価格が全体的に上がっているのですが、AMD さんは頑張って値引きしてくれていて、価格も抑えられています」




【 展示説明会の要約 】

販売担当:「当社はケースを自社開発しており、他のパーツもこだわりの開発を行っております。 電源ユニットのコンデンサも日本製のみ使用しており、その辺で売られているパーツと同じではありません

販売担当:「以前は Core i7 のモデルがよく売れていましたが、CPU のパワー向上により、最近は Core i5 の方が人気になっています

販売担当:「最近は HDD を搭載したノートの販売台数が下がっています。
一般モデルでよく売れているのは5万円前後の商品ですが、そうした低価格モデルでも SSD が選ばれるようになっています。 今はどの価格帯の製品でも SSD が標準化しています」

販売担当:「日本では 13 インチのノートパソコンが、軽くて扱いやすいと人気です。
当社ではキーピッチ(キーの幅)とキーストローク(キーの深さ)にこだわった製品を開発し、タッチパッドにも物理ボタンを付けるなど、操作感にこだわっています」

マウスコンピューター G-Tune マウスコンピューター G-Tune
今回紹介されていたデスクトップパソコンの1つ。
一般モデルですが GeForce GTX 960 搭載なのが特徴。
※画像はクリックで拡大します。
こちらは最近人気らしい Core i5 の SSD 搭載ノート。
13 インチで、キーやパッドの使い勝手を重視した製品。
確かに新機能より、使い勝手の追求の方が嬉しいのはあります。

開発担当:「スティック型の超小型 PC iconを発売しましたが、おかげさまで大反響でした。 即日売り切れとなり、これでマウスコンピューターを知った方も多いです。
データ容量を 64 GB にした台数限定バージョンも公開しましたが、これも販売開始数分で完売してしまいました」

開発担当:「今はスペックや価格で勝負できる時代ではなくなりつつあります。 よって『専用PC』に注力し、『こんなことが出来る』を追求しています。
例えば、写真家向けの PC や、音楽用の PC など、クリエイター用のモデルを開発しております。
Mac から Windows に移行しているクリエイターの方が多いので、そうした需要を満たすパソコンに力を入れていきたいと考えています」

マウスコンピューター G-Tune マウスコンピューター G-Tune
驚愕のスティック型パソコン。
HDMI 端子にブスッと刺せば、液晶テレビもパソコンに。
これでも無線 LAN と USB 2つ、SD カード搭載。
クリエイター向けパソコンiconの構想。
こうした取り組みは各社で広まっています。
Web サイト製作者向け PC はないんですかね?

ゲーミング PC 担当:「G-Tune iconで現在よく売れているのは、Core i5 と GeForce GTX 960 の、コストパフォーマンス重視の組み合わせです。
Core i5 が人気の傾向はゲーミングモデルにも来ています。 マザーボードは Z97 の人気が高いですね」

ゲーミング PC 担当:「BTO(カスタマイズ)の人気順は、1位は DVD ドライブ2位 SSD の追加、特に Intel の 120 GB が人気です。 3位 HDD の 2TB の追加
やはりゲーミングモデルでも SSD を搭載する方が増えています。
なお、ゲームと言えばネット接続は有線が基本でしたが、最近は 無線 LAN を使っている方も多いです」

ゲーミング PC 担当:「G-Tune の製品には、メモリにオリジナルのヒートシンク(放熱板)を付けられるようにしています。
ゲームユーザーの方は発熱・冷却に注目するので、常々そうしたニーズに応えたいと思っています。
電源も余裕のある 700 W で、80 PLUS 認証が GOLD の高性能品を用意しています」

ゲーミング PC 担当:「ノートは従来より薄いものを用意しました。 ゲーミングノートは厚くて重いものが多いのですが、GeForce GTX 970M 搭載で 2.5 Kg のモデルiconを用意し、ある程度持ち歩けるようにしています。
またデスクトップ用 CPU を搭載したゲーミングノートも作りました。 通常のノートは GeForce のドライバがパソコンの負荷状況をチェックし、自動で内蔵グラフィック機能とビデオカードを使い分ける省電力機能が働くのですが、これがゲームプレイの支障になる場合があります。
デスクトップ用 CPU を載せることで、その機能をワザと働かなくさせ、常にフルパワーを出せるようにしています」

ゲーミング PC 担当:「『G-Tune ちゃん』というキャラクターを作り、ボイスを声優さんに吹き込んで貰ったのですが、これが大きな注目を受けています。
また、MMD(MikuMikuDance。3D モデルを動かすソフトウェア)で有名な方に監修を頼んだ『MMD 用モデル』を公開し、1年での想定販売台数を2ヵ月で達成する人気になっています。
このパソコンもクリエイター向け PC の1つという位置付けです」


【感想】
目立ったモデルチェンジはなかったのですが、「スティック型PC」はマニアの間でかなり話題になっている模様。 「ポケットに入るパソコン」で、もはや SF の世界ですね。
いくつかの PC メーカーの売上げが落ちている中、マウスコンピューターさんは依然として好調なようで、売上げ拡大と技術力向上の好循環が続いている印象です。

一方、目新しい PC パーツがしばらく登場していないためか、特定の分野に特化した「クリエイター PC」など、新分野を模索している動きが見られます。
秋葉原のメーカーであるためか(?)、MMD や声優などのサブカルチャー方面は好発進している模様。
動画配信の時代ですし、PC に求められるものも、だんだん変わってきているのかもしれませんね。

私的には、ユニットコムの店舗(パソコン工房など)で、マウスコンピューターの修理受付を開始したという発表があったのが注目でした。
まだ一部のモデルだけのようですが、ユニットコムとマウスコンピューターは 2013 年頃から提携していて、いよいよ具体的な協業が始まったようです。
全国に店舗があるパソコン工房のサポート体制があれば、マウスの技術力と品質は高いので、ますます盤石な体制になりそうです。

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マウスコンピューター / G-Tune 展示ブースにて 2014年11月


私:「先日 GeForce GTX 900 シリーズが出ましたが、マウスさんの方ではどうでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune
今年の G-Tune 展示ブース
(クリックで拡大します)
担:「やはり凄いですね。 予想はしていましたが、かなりの勢いで搭載モデルが売れています。
テストでも高いスコアを出しており、さらに消費電力も軽減されていて、非常に良いですね」


私:「あの消費電力とスペックだと『もうコレしかないじゃん』という感じですよね。
NEXTGEAR(ミドルクラスのゲーミングモデル)にも GeForce GTX 980 は積めるんですね」


担:「えぇ、NEXTGEAR は GTX 900、GTX 700、Radeon R9 の各種ビデオカードを選べます」

私:「では MASTERPIECE(大型筐体の最上位モデル)は SLI 用という形になっているのでしょうか?」

担:「いえ、オーバークロックモデルという位置付けになっています」

私:「以前お聞きした時には、G-Tune(ゲーミングモデル)は低価格の NEXTGEAR-Micro が一番売れているとのお話でしたが、その辺は変わってないでしょうか?」

担:「やはりコストパフォーマンスの高いものがよく売れますね。
最近特に売れているのが、ゲーム実況で人気の『裏・顔TV』さんとコラボした裏・顔 TV モデルです。
GeForce GTX 760 を搭載したモデルで、元は Core i5 を使っていましたが、それを Core i7-4790 にするキャンペーンをしており、これを 99800 円で売り出しました。
するとコストパフォーマンスが非常に高いので、ものすごく売れています。
本音を言うと、安すぎてこちらの利益が低いので、むしろ売れすぎて困っています・・・(笑
NEXTGEAR なども Core i7-4790 を 4790K に無償アップグレードするキャンペーンをしています」

G-Tune NEXTGEAR の内部
G-Tune NEXTGEAR のケース内。
前面の中央にファンがあり
ビデオカードに直接風が当たるという
ゲームの動作を優先した設計になっている
私:「それはコストパフォーマンスの高さや、お得感をアピールして勝負しようという考えなのでしょうか?」

担:「と言うより、上のモデルをお得にしようという考えですね。
あと、Windows 7 の Home Premium がなくなって、やや価格が高くなっているので、その分をペイしようと考えています」


私:「Windows 7 の Home がなくなったのは、やはり影響あるのでしょうか? それで Windows 8 のシェアが伸びているということはないのかな?」

担:「Windows 7 の Home Premium がなくなった影響はあります。 7 が弱くなっているのは確かですね。
でも、全体としてはまだ 7 と 8 が半々です。 うちでは Windows 7 Pro を推しています」


私:「次期 Windows も発表されましたが、それは 7 と 8 が融合したような感じですよね?」

担:「と言うより、Windows 7 に 8 のメトロ(Windows 8 のメニュー画面)が加わる感じですね。
マイクロソフトも Windows Phone のインターフェイスに統一しようとして失敗したので、もうメトロにはこだわっていないと思います」

私:「前回お聞きした時には、AMD の製品を推したいと言われていました。 そこは今どうなっているのでしょうか?」

担:「AMD もお勧めしていますよ。 特に Kaveri(AMD の新型 CPU コア)になってから、かなり良いです。
24 fps や 30 fps の動画を 60 fps にする機能があり、これと Radeon の組み合わせは映像がかなり綺麗に見えます。 ブルーレイなんかも見違えるほどになりますよ」

私:「うーん、フレームを無理矢理増やして、そんなに変わるもんですか?」

担:「全然変わります。 特にアニメだと凄く変わります。
また、Radeon のマントル(Radeon 専用のグラフィック技術)に対応したアプリも非常に動作が良くなります。
Battlefield 4(というゲーム)がマントルに対応しましたが、Radeon R9 250X(ミドルクラスの VGA)でもすごく滑らかに動きます。
だからつい先日までは、AMD もイチオシでした。 ただ・・・」


マウスコンピューター Luvbook J
一般向けノートで人気の LuvBook J。
これは SSD を搭載したモデル。
早くも 4K ノートが 10 万円台で・・・
私:「GeForce GTX 970 とかが出ましたからね」

担:「そうなんです。 GeForce の 900 シリーズが出ちゃったので、やはり総合的には GeForce に分がありますね。
アニメやマントルなど、Radeon も一部では強いんですけどね」

私:「AMD の『特定の部分では強い』という傾向は、今まで通りということでしょうか。
G-Tune 以外のモデルでは、人気の製品はありますでしょうか?」


担:「59800 円からの安めの 13 インチノート(LuvBook J)が、かなり売れています。
このモデルでは 4K イグゾーディスプレイと Core i7 を搭載した上の製品も作り、こちらは約 10 万円するのですが大変人気で、現在は在庫切れになっています。
この価格の 4K ノートは他にないと思います」



【感想】
久々に出た NVIDIA の新デスクトップ用ビデオカード GeForce GTX 970 と 980 は、やはり素晴らしいようですね。
さらに CPU の無償アップグレードキャンペーンやコストパフォーマンスに優れた特別モデルの発売により、マウスの売上げはかなり伸びている模様。
こうしたお得なキャンペーンが出来るのも、パーツメーカーとの関係が深く、有利な仕入れが出来ているためでしょうか。

AMD の新コア「Kaveri」の動画を滑らかにする技術(Fluid Motion)は、よく知らなかったので帰って調べてみたのですが、確かに「アニメを見るなら Kaveri」と言われるほど評判になっているようです。
昔は「ゲームの GeForce、映像の Radeon」と言われていましたが、今再び「映像の AMD」と呼ばれるようになるのでしょうか?

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マウスコンピューター / G-Tune 展示ブースにて 2014年6月


私:「最近は目立った新パーツなどは登場していませんが、マウスさんの方で新しいマシンなどは作られていますでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune
今年の G-Tune 展示ブース
(クリックで拡大します)
担:「G-Tune(ゲーミングモデル)では先日、「GeForce TITAN Z」を搭載したモデルを他に先駆けて発売しました。
ただ、大きなモデルチェンジはないですね。
もちろん、Z97(新型のマザーボード)や、Haswell Refresh(2014 年型の新 CPU。 ただし新しいのは名前だけとの評判)を使ったマシンは出していますが」


私:「Z97 の PCI-Express M.2(PCI-Express に SSD を装着可能にしたもの)はもう試されているのでしょうか?」

担:「すでに M.2 の SSD を搭載できるモデルも発売していますよ。 PLEXTOR さんの SSD を使っています。
速度はやはり速いですね。 ただし、高いです。 20 万円ぐらいの上位モデルになりますね」

私:「あー、まだ普及するレベルではなさそうかな」

担:「我々としても、新技術アピールと、新しもの好きの方のために販売している、という感じですね。
安くなるには、一般の SSD が普及価格になったのと同じぐらいの時間が必要なのではないでしょうか。
でも間違いなく速度は上がりますよ」


私:「マウスさんの方で、最近なにか特別な変化はありましたでしょうか?」

担:「AMD さんの製品を搭載したモデルを増やしていきます。
AMD さんと提携し、安く仕入れられるようになったので、コストパフォーマンスの高いものをお届けできると思います」

私:「AMD さんは CPU の性能が低めだったり、安定性や対応の問題があることが多く、最近は特にその傾向が強いと思うのですが・・・
その辺は大丈夫なのでしょうか?」


担:「確かにそうだったのですが、今年に入ってからは良くなっていますよ。
うちの開発部でも『AMD いけるじゃん』となってますね。 RADEON もかなり良いパフォーマンスになっていると思います」


私:「今の時点で売れている製品はどんなものがあるでしょうか?
まあ、注目されるような新パーツが出ていないので、前とあまり変わっていないとは思いますが・・・」


担:「今売れているのは G-Tune NEXTGEAR(ミドルクラスのゲーミングモデル)の、CPU に Core i7-4790 を使い、GeForce GTX 770 を搭載したモデルです。
価格は 12万〜13万 ですね」


私:「マザーボードは Z97 なんですか?」

担:「いえ、これは Z87 です。 実はその処分も兼ねています。
だからこそ、スペックに対して安く提供出来ているという・・・」

私:「あー、なるほど、Z97 にしてもその機能を活用できたり、オーバークロックしないとあまり意味ないですもんね。
だから知っている人は、むしろこちらを選ぶということか」


担:「そうですね。 マザーの在庫が無くなったら終了ですが・・・ でも良い構成だと思います。
あと、Haswell Refresh もなかなか良いですよ。 確かに目新しさのない製品ですが、悪い噂もないんです。
普通は新製品が出たら不具合もたくさん出てくるものですが、今回は発売から1ヶ月経ってもそういう話が出てきません。
安心して移行できるという意味で、良い製品と言えますね」

私:「言われてみれば、『人柱』がいらない新製品って久しぶりかもしれませんね。 まあマイナーチェンジのようですが」



【感想】
大きなモデルチェンジはないようですが、依然として販売は好調なようです。 すでに PC 専門メーカーとしてはトップシェアではないでしょうか。
2014 年の前半はインパクトのあるパーツが出てこなかったので、それほど変化はないようですが、PCI-Express M.2 のモデルを早々に発売するなど、新技術への意欲は相変わらず高いです。
今回聞くのを忘れていたのですが、上級者向けのオーバークロック用モデルも新たに発売しています。

後はやはり、「AMD と提携して製品を安く仕入れられるようになった」というのが注目ですね。
AMD 派、RADEON 派の人は、見逃せないところです。

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マウスコンピューター / G-Tune PC 展示会ブースにて 2013年11月


私:「前回お話を聞いてから、まだ4ヶ月ほどしか経っていないのですが・・・ なにか新モデルのようなものは登場しましたでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune
担:「G-Tune(ゲーミングモデル)は RADEON R9 シリーズの搭載機の発売を開始しました。
安くて軽いタッチパネル対応ノート(LavBook C シリーズ)の販売も始めましたが、当社としては Win 8 より Windows 7 推しですね」


私:「RADEON R9 シリーズの評判の方はどうなんでしょうか? まだ登場したばかりだから、これからかな?」

担:「そうですね。 販売開始して間がないので、フィードバックが来るのはこれからですね。
もちろんテストはしていて、相応のスコアは出しており、AMD さんも結構売り込みに来られていました。
ただ、GeForce GTX780 Ti も公開されましたからね・・・
(この展示会が行われた当日に GeForce GTX780 Ti が正式発表されました)」


私:「では今はちょうど過渡期といったところなのでしょうか?」

担:「時期的にも年末商戦の準備をしているタイミングです。 本格化するのは、やはり年末ですね」

私:「では売れているモデルなども今は変わっていないのでしょうか?
あと、水冷モデルの方はどうだったでしょう? CPU 交換しやすい着脱型水冷モデルの開発を行われていたようですが」


担:「売れ筋はやはり G-Tune NEXT GEAR Micro(6万円から買える安価なゲーミングPC)で、それは変わっていません。
水冷はぼちぼちですね。 着脱しやすい水冷クーラーはまだ開発中です。 やはり難しいですね」



【感想】
今回は開催時期が新型ビデオカードの発表直後で、新型 CPU 関連の話題もなく、冬モデルも公開前というタイミングだったため、目立ったお話は聞けませんでした。
売上は相変わらず伸びているようで、やや苦戦する PC メーカーも出てきている昨今、マウスコンピューターは依然好調なようです。

それだけに、無理に新モデルを準備しなくても良い状況ということでしょうか?

○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル)



マウスコンピューター / G-Tune 展示会の会場にて 2013年7月


私:「Haswell(ハスウェル。新型の CPU)や GeForce 700 シリーズ(新型のビデオカード)が登場し、パソコンの買い換えも進むと思われますが、一方でこれらはそんなに大きな性能の上昇ではないという話もあります。 これら新型パーツを搭載したパソコンの売れ行きはどうでしょうか?」

担:「売れ行きはかなり良いですね。 Haswell については性能も向上しているのですが、チップセット(マザーボード)が新しくなったのも大きいと思われます。
G-Tune(ゲーミングモデル)は以前から好調な状態が続いていて、GeForce 700 の影響かどうかは解りませんが、最近はさらに良くなってますね」


私:「巷の雑誌や経済メディアなどでは、『スマホやタブレットに押されてデスクトップパソコンの売上げは悪化し続けている』と言われていますが、その辺はどうでしょうか?」

担:「うーん、どうなんでしょうねー。 少なくとも当社ではそんな感じはありませんね。
私も雑誌などでそういう話を見たりするのですが、うちの感覚としては、そういう雰囲気は全くありません。
むしろ今年に入って G-Tune や一般モデル、業務用モデルも含めて、全体的に好調ですね。


私:「巷で言われているほどの影響はないみたいですね。 売上の傾向とかに変化はありますでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune MASTERPIECE
G-Tune の上位クラスのモデル。
四角い大型の本体で通気性重視。
アベノミクスで業界も活性化 !?
担:「直接影響しているのかどうか解らないのですが、アベノミクス以降、売れ筋のパソコンが高価格帯にシフトしました。
以前は5万円前後の低価格なモデルと、7万円前後の中間価格のモデルがよく売れていたのですが、7万円前後の価格帯の需要が減り、10 万円前後のモデルが売れるようになっています。
中間のモデルを買う人が、1つ上のモデルを選ぶようになった感じですね。
また 15 万円以上の高価格モデルもより多く売れるようになりました」


私:「昨年から今年にかけて、注目のパソコンゲームは減っている印象なのですが、それは G-Tune の売上には関係していますでしょうか?
昨今はレノボなど、意外な会社までゲーミングモデルを出し始めていますが」


担:「あまりそれらの影響はない印象ですね。 G-Tune は継続して売れ続けていて、巷のゲームやパソコン市場にはあまり関係なく、高い需要を持ち続けています。
G-Tune を選ばれる方はパソコンに詳しい方が多く、そうした方は買い換えの周期が早いというのもあると思います。 早い人は1年単位で買い換えておられますからね」


私:「Sandy Bridge(2011年型CPU)が出て2年、そろそろ買い換え時というのもあるのかもしれませんね・・・
先ほど話にあったチップセットについてですが、マウスさんは Z87 を使っているモデルが多いですよね。 Z87 は H87(一般型)と比べて、オーバークロック(ユーザーが独自に CPU 性能を向上させる行為。ただし危険も伴う)しか利点がないように思うのですが、その辺はどうなのでしょうか?」


担:「Z87 は高価格帯の G-Tune モデルで使用していますが、そこは当社がこだわっている部分の1つですね。
ゲーミングモデルを使う人はオーバークロックに興味のある人も多いだろうということで、Z87 を使用しています。
また当社独自のオーバークロック用ソフトウェアも準備していて、まだ開発中ですが、近々発表できると思います。
もちろん売る側としては、オーバークロックはちょっと恐いところでもあるんですけどね(笑」


私:「低価格のモデルはまだ従来のパーツのままでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-MICRO
G-Tune の 59800 円からのモデル。
安価でありながらゲームを快適に遊べる
スペックを持つため、一番人気の機種。
担:「うちで一番売れている 59800 円のモデルは、B75 チップセットで Ivy Bridge の CPU です。 ビデオカードは GeForce GTX 650 です。(2012年モデルのパーツ)
でも Haswell や GeForce 700 シリーズはそこまで大きなパワーアップではないし、これで十分な性能を持ちますからね。
日本で今人気の PC ゲームはモンスターハンターフロンティアで、次いで PSO2 ですが、最上位のスペックが必要なゲームではありませんから、コストパフォーマンス重視の構成でも十分楽しめます」


私:「Haswell に搭載される予定の新型内蔵グラフィック機能 Iris Pro はどうでしょうか?
あれが有用であれば、ノート PC とかタブレットが革新的なことになると思うんですが・・・」


担:「少し前に行われた Intel さんの展示会で披露された Iris Pro 5200 搭載のデモ機はマウスコンピューターのものなのですが、ロークラス VGA ぐらいの性能があります。 GeForce GT 750M と同等ぐらいです。
ですから普及すると大きな影響はありそうですが、搭載機の開発にはもう少し時間がかかります。
今年の秋ぐらいには搭載モデルの発表をしたいと思っているのですが、まだ未定ですね」

私:「なにかマウスコンピューターさんの方で、新しい展開のようなものはありますでしょうか?」

担:「やはり大きいのは、ユニットコム(パソコン工房やフェイス、ツートップやグッドウィルなどの PC ショップを傘下とする大手グループ)さんとの提携ですね」

私:「え? マウスコンピューターってユニットコムの系列になったんですか?」

担:「いや、むしろうちがユニットコムさんを取り込んだというか・・・ ですから先日あった別の展示会では、ユニットコムさんと共同でブースを構えました」

私:「マウスコンピューターってそこまでの規模になってたんだ・・・ それは以前から計画があったのでしょうか?」

担:「上の方は解りませんが、我々にとっては突然の出来事でした。
ある日オフィスの配置替えをすることになって、部屋を半分ほど開け、どうするのかと思っていたら、ユニットコムさんの社員の方がぞろぞろと・・・(笑
先日までライバルだったのに! みたいな」


私:「でもそうすると競合するモデルとかも出てきますよね? 例えばフェイスさんはゲーミングモデルが中心ですから、G-Tune とはかぶると思うんですが」

担:「今のところは、それぞれのショップ間での再編などは行っておらず、従来通りの販売を続けています。
ただ、例えば先日の展示会の時は、同じようなモデルをダブって紹介しても意味がないので、うちは主にマウスコンピューターの一般モデルとイイヤマのディスプレイを展示し、一緒にブースを構えたユニットコムさんはオリジナルモデルやゲーミングモデルなどをそろえる形にしていました。
これからもそういう形での共同展示などは行っていくと思いますが、今後どのような協力をしていくかは模索している段階だと思います」


私:「では将来的に、全国にあるパソコン工房の実店舗でマウスコンピューターのサポートも受けられたりするのでしょうか?」

担:「それらもまだ未定ですが、いずれそうなるかもしれませんね」



【感想】
私は iPhone / iPad のゲームのサイトも運営しているので、「スマホやタブレットに押されてパソコンの売上げがピンチ!」みたいな話をよく聞いていたのですが、マウスコンピューター的には「そんなのどこ吹く風」なようです。
「むしろ今絶好調!」だそうで、勢いを感じますね。 口コミなどでその評判も広まっているようです。

昨今の景気の回復に伴って、パソコンの売れ行きや売れ筋も変化しているようで、企業からの発注も増えているそうです。
アベノミクスや昨今の景気については色々と言われていますが、パソコンには影響があるみたいですね。

個人的に一番驚いたのは、ユニットコムとの業務提携です。 いつの間にか「日本 PC ショップ連合」みたいな大勢力が出来ていたようで・・・
確かに東京・秋葉原の大手であるマウスコンピューターと、大阪・日本橋を本拠とするユニットコムが協力すれば、最強である気はします。
この勢力で外資系に対抗していくのでしょうか?

○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル)



マウスコンピューター / G-Tune 展示ブースにて 2012年11月


私:「Windows 8 が登場しましたが、マウスコンピューターさんの方では対応はどうでしょうか?」

担:「それに合わせたセールなどは行っていますが、まだ様子見と言ったところですね。
Windows 8 は慣れるまで使い辛いですが、動作は早いので、私はそんなに悪くないと思っています。でも必須という訳ではありませんからね」


私:「マウスコンピューターや G-Tune の方で、Windows 8 向けのタブレットやタッチパネル対応パソコンを作る予定はないのでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune 展示PC
G-Tune の 17 インチ大型ノート。
最上位モデルで GeForce GTX680M 搭載
G-Tune なら小型ノートも 650M 搭載で
モンスターハンターぐらいなら動きます。
担:「タッチパネル対応のディスプレイは公開しています。 タブレットの開発はまだ「考えている」という段階ですね。
ゲームにはあまり必要ない機能なので、G-Tune(ゲーミング PC)のタッチパネル対応機種はまだ考えていません」


私:「今年は目立った PC ゲームがなかったように思いますが、G-Tune の方はどうなのでしょうか?
私的には売上も落ちてるんじゃないかと思うのですが・・・」


担:「うーん、思ったほど落ちてはいないです。
G-Tune を選ばれるユーザーの方は、『特定のゲームがやりたいから買う』という理由ではなく、『やりたいゲームが出た時に動くものを買う』という考えで選ばれることが多いので、あまり影響はありませんでしたね」


私:「グラボ(グラフィックカード)は GeForce 600 シリーズが出て、巷の評判も良いようですが、こちらはどうでしょうか?」

担:「良いですね。 売れ行きも GeForce 660 はかなり良いです。
当社で調べた結果でも、GeForce 580 と 660 を比べると、DX9 だとあまり変わらないのですが、DX10 や 11 だと明らかに GeForce 660 の方が上です。 そして何より消費電力が違いますからね」


私:「G-Tune のノートは、展示されているものは GeForce 650M を搭載しているのですね」

担:「はい、この秋に出たモデルです。 やはり G-Tune はゲームが動かせてナンボですから、それなら 650M ぐらいの性能は欲しいですからね。
GeForce 680M を搭載しているものもあり、SSD の RAID なども可能です!」

私:「SSD のレイドって意味あるんですか? もう SSD の速度になったら(速度向上目的の)RAID って意味ないと思ってるんですが・・・」

担:「SSD でも RAID は効果あります。 『あからさまに』速いです」

私:「でもランダムアクセスは遅くなりますよね?」

担:「遅いです。でも読み込みが凄く速くなるので、ランダムアクセスの影響で Windows の起動時間などはあまり変わらないのですが、普段使用する時の速度はかなり速くなりますよ」

私:「SSD なら故障しにくいから RAID の欠点もカバー出来そうですね」

担:「あー、SSD は確かに振動とか物理的な故障には強いんですが、電気的トラブルの可能性は残ります。 よって故障率に関してはあまり変わらない・・・ と言うか SSD の方が高いかも・・・
ただノートは振動とかが起こりやすいので、SSD の方が安心できますね」

私:「マウスコンピューターさんは今はノートが強いんでしょうか?
私的には G-Tune のノートのような、グラボがあるハイスペックノートが作れるメーカーって限られてるので、その点でマウスさんのようなメーカーの需要は高まっている印象なのですが・・・」


担:「いや、まだマウスコンピューターはデスクが強いですね。 ノートは他社に安いものがあるので、多くの方はそちらを選ばれることが多いです。
価格的には、今までは5万円以下のモデルが良くでていたのですが、最近はうちは7万円台にシフトしています。
今うちで良く出ているのは 17 インチでブルーレイ搭載の7万円台のノートです。 このタイプをこの価格で出しているのはうちだけなので、人気がありますね」



【感想】
前回(2012年6月)にお伺いした時からそれほど間が空いていなかったのですが、Windows 8 の発売に合わせてノート PC を新モデルに刷新されていました。
そこでノートについて色々と聞いてみたのですが、まだマウスコンピューターはデスクトップがメインのようですね。
タッチパネルや Windows 8 の普及については慎重な見方のようです。

デスクトップのビデオカード(グラフィックカード)については GeForce 660 が良いようで、5月の展示会でお聞きした時に「670 にするんなら 680 の方が作りが良い」と言われていたので、GeForce 660 と 680 がオススメなようです。

ノート PC の価格帯が5万円台から7万円台にシフトしたのは、HP や DELL が5万円〜7万円の格安ウルトラブックを発売したため、小型ノートのユーザーがそちらに移動したためではないかと思われます。
デスクトップについては NEXTGEAR-MICRO という 10 万円以下のゲーミングモデルが相変わらず人気のようです。

○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル)



2012年6月にお聞きした話(マウスコンピューター/G-Tune)


私:「先日は展示会に招待して頂きありがとうございました。 実機の方は先日見させて頂いたのですが、今のマウスコンピューターさんの注目モデルはやはり『ウルトラブック』(Ultrabook)になりますでしょうか?」

マウスコンピューター G-Tune i300
11.6 インチなのに VGA 搭載で
人気になっているという G-Tune の i300
確かにとても特徴的な機種です
担:「そうですね。でも G-Tune(ゲームPCブランド)ではウルトラブックは作らない方針です。
やはり G-Tune はゲームを楽しめるのを優先したいので、ウルトラブックに求められる軽さや薄さよりも、VGA(ビデオカード)を搭載した性能重視のモデルを作っていきます。
例えばウルトラブックではありませんが、新たに発売した 11.6 インチで VGA を搭載した小型の G-Tune モデルはよく売れていますね」


私:「確かにこの小ささでモンスターハンターのデモとか動いてたら、インパクトありますよね」

担:「11型サイズとしては性能は最強クラスで、珍しいモデルだと思います。
このパソコンもそうですが、全体の方針としては『
解りやすいモデル』を作って行こうというのがあります。
パッと見て、際立った特徴がわかるようなものですね」


私:「特徴的なモデルと言えば、今年も水冷は用意されるのでしょうか?」

担:「もちろん水冷クーラーのモデルもご用意します。 それらを搭載したハイスペックなパソコンにも注目して欲しいです」

私:「マウスさんの場合、中心はやはりそうした高価格モデルになるのでしょうか?
PC 市場全体としては低価格モデルが増えてきている印象ですが・・・」


担:「Web で購入される方は高性能な高価格帯のものを選ばれていますね。 でも店舗販売の方はやはり低価格帯の方が売れます。
他社さんよりは高価格帯のものがよく売れているとは思います」


マウスコンピューター LuvBook X
マウスのウルトラブック Luvbook Xicon
現場で写真を取り忘れたので
上記は資料からの画像です。
マウスは「軽さで勝負」の模様。
私:「マウスさんのウルトラブックについてですが、現時点では世界最軽量(985g)のモデルを発売されましたが、NEC も同じ世界最軽量を目指しているようです。
これが後から出てくるとアピールポイントがなくなりそうなんですが、その点はどうでしょうか?」


担:「うーん、他社さんも軽量化は進めておられると思いますが、とりあえずうちは『1Kg を切る』と言うのが悲願だったので、それが達成できたことには満足しています」

私:「先日 Ivy Bridge(2012年の新型 CPU)が登場しましたが、それに伴って Sandy Bridge(2011年の CPU)が安くなり、それによって一部のモデルが値下がりすると言ったことはないのでしょうか?」

担:「ないですね。(キッパリ)
Sandy Bridge の在庫が増えて Intel さんが価格改定をしてくれればそういうこともあると思いますが、まだ Sandy Bridge を使っているマシンはたくさんあるので在庫が余っていると言うことはありませんし、価格も変わっていません。 ですからうちとしては、今のモデルで Sandy Bridge を使う理由はないですね」


私:「ちょっとマウスさんとは関係ない話題になりますが・・・ CPU と言えば AMD が新たに販売している A8 とかはどうなんでしょうか?
内蔵グラフィックの性能が高いようなので、個人的に注目しているのですが・・・」


担:「うちでもテストはしていますが、明らかに性能不足です。 A8 は CPU としては Core i3 にボロ負けなんですよ。
Pentium や Celeron と同等のクラスです。 グラフィックの機能は GeForce GT520 ぐらいはあって、Pentium や Celeron の内蔵グラフィック機能はまだ旧世代なので、Pentium や Celeron を使うような超低価格なモデルを作るのであれば A8 は良いと思います。 でも今は低価格モデルでも Core i3 ぐらいの性能は欲しいところですから、自作をするような方でないと選ばないでしょうね。
内蔵のグラフィック機能も、ゲームが満足に出来るような性能ではないので、どちらかと言うと動画処理などがメインです」


私:「あぁ、Celeron クラスでしかないんですね・・・ じゃあ AMD を使う理由はマニア以外、今はなさそうですね」

担:「正直言って、今の AMD は飼い殺しのような状態だと思います。
AMD が潰れてしまうと Intel の独占市場になってしまい、独占禁止法などで問題になるので、そのために生かされていると言った感じです。
でも FX(AMD の新型上位 CPU)がコケて、Ivy Bridge-e(Intel の新型上位 CPU になる予定だったもの)が延期されたように、AMD が対抗する CPU を出してくれないと Intel も新しいものを出さないので、このままなのも問題なんですけどね」


【感想】
2012年の PC 市場は「ウルトラブック」が最大の注目なのですが、マウスコンピューターは最軽量モデルを他社に先駆けて開発しました。
マウスコンピューターのウルトラブック(Luvbook X)は 11.6 インチの小型モデルで、1Kg を切る重量と 120 GB の SSD を搭載しているのが特徴です。
価格は9万円で、NEC の最軽量モデルがどの価格帯で出てくるかがポイントになりそうな気がしますね。

マウスコンピューターは元々特徴的なモデルが多かったのですが、今後はさらにその傾向を進めていこうという考えがあるようです。
また、今年はコストパフォーマンスに優れた新型パーツが多く登場したためか、安めで性能バランスの良いモデルがよく売れているそうです。

私的には、マウスコンピューターは 2011 年から 2012 年にかけて一気にメジャーになった気がします。
以前はマイナーな印象がありましたが、もう国内 PC 専門メーカーとしてはドスパラやパソコン工房と並ぶ最大手クラスになったのではないでしょうか。

○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル)



2011年11月にお聞きした話(マウスコンピューター/G-Tune)


私:「最近のマウスコンピューターさんの一押しというか、売れ筋はどんなモデルでしょうか?」

マウスコンピューター LuvBook K
2011年に売れた LuvBook K シリーズ
ハイスペックなノートです
担:「今だと LuvBook K シリーズが売れています。
15インチサイズのノートパソコンですが、ビデオカードに GeForce GT555M を搭載し、CPU も Core i7、十分な性能を持ちますが価格は約8〜9万円に抑えています」


私:「この性能からすると確かに安いですね。 ただ、15 インチのノートパソコンとしては高めのモデルだと思います。 これが売れ筋って事は、やはりユーザーの高性能志向が続いているのでしょうか?」

担:「そうですね。 あと、このモデルは 15 インチでフル HD (フルハイビジョン)のディスプレイを持ちます。
こうしたパソコンは他にないので、競合がなかったというのもあるかもしれません」


私:「デスクトップパソコンの方はどうでしょうか? 新たに X79 チップセットなども公開されましたが・・・」

担:「X79 は当社でも検証中です。 ただ Sandy Bridge-E(新タイプの CPU)は現時点ではあまり大きな性能向上ではなさそうです。 コアも変わりませんからね。
もちろん今後のインテルの調整次第では良くなるかもしれませんが・・・
また、H67 や Z68 (現行のマザーボードのチップセット)でも Ivy Bridge (来年発売予定の CPU)が使えると言われているので、急速な移行はないと思われます」


私:「X79 は PCI-Express 3.0(新型の拡張スロット)への対応や USB 3.0 の内蔵も見送られたようですが・・・」

担:「PCI-Express 3.0 対応は Ivy Bridge の発売に合わせられるのではないかと言われています。
USB 3.0 のチップセット内蔵化(USB 3.0 自体はすでに導入されているが、内蔵されるとより安定して高速に動作する)は今後に期待と言ったところですね。
X79 のウリは4チャンネルのメモリ(4つのメモリをセットで使い動作を高速化する技術)で、大量のメモリを搭載出来るのが魅力ですね」

マウスコンピューター 展示ブース私:「USB 3.0 対応の HDD ってまだ使ったことないんですが、速いんですか?」

担:「速いですね。 USB 3.0 対応の外付け HDD をテストしましたが、確かに速いです」


私:「Z68 (現在発売されている中では最新のチップセット)はどうなんでしょう?
HDD と SSD を併用する事で HDD の速度が向上するというのに興味があるんですが・・・」


担:「うーん、必ずしも速くなる訳ではないですね。 思ったほどではなく、少なくともインテルの公称ぐらい速くなることはないです。
もちろん環境によりますし、まったく効果がない訳ではないんですが、コストに見合っているかどうかは疑問ですね」


私:「じゃあやっぱりまだ P67 (現在主流のチップセット)の方がコスト的には良いのかな?」

担:「SSD を搭載する人はまだそれほど多くありませんし、P67 や H67 の方が良いですね。
(P67 は CPU 内蔵グラフィック機能が使用できないが、そのぶん安く、ビデオカード搭載の PC に向きます。H67 は CPU 内蔵グラフィックを使用できる低価格 PC 向け)
ただ、実はインテルが P67 や H67 をあまり出荷していないので、徐々に Z68 に移行していくかもしれません。
でもそれよりは、X79 や次期チップセットの方に移るかもしれません」


私:「G-Tune のモデルについてお聞きしたいのですが、私的には水冷モデル、特に G-Tune にはここにしかないダブル水冷モデル(CPU とビデオカードの双方が水冷)があって注目していたのですが、これはどうなっていますでしょうか?」

マウスコンピューター 展示ブース担:「現在は扱っていません。 と言っても売れなかった訳ではなく、売れすぎて水冷パーツがなくなったためです。
ダブル水冷モデルはよく売れたのですが、CPU やビデオカードの交換が難しくなるので、拡張性は落ちますね。
また騒音は負荷が高い時は空冷より低いのですが、アイドル時(低負荷時)には逆に大きくなっており、静音性は思ったほどではありませんでした」


私:「それは水冷クーラーの音のためでしょうか?」

担:「と言うより、CPU やビデオカードだけでなくメモリやマザーボードのコンデンサなども発熱します。 そのため結局ケースファンもないとマザーボードが熱でやられてしまうんです。
また水冷クーラーは発熱に応じて動作量を調整すると言う事が出来ないので、常に一定の音が鳴るというのもあります。
出来ればメモリなども水冷にしたいところですが、そうするとまた設計が難しくなってしまいますね」


私:「でも水冷の方が冷えますよね? 熱風も出ないし。 水冷+空冷では厳しいでしょうか?」

担:「水冷の方が温度変化は緩やかになり、安定しますね。 状況に関わらず常に冷えているという感じです。 熱風が少ないのも利点ですね。
でも水冷にするなら、出来れば水冷+空冷ではなく、全てを水で冷やすようにしたいですね」


【感想】
マウスコンピューターさんの売れ筋モデルや市場傾向については、今年5月にお聞きした時とあまり変わっていなかった印象です。
ユーザーの傾向がやや高級志向・性能重視になっており、また全体的にノートPCがメインになっているという感じですね。

上記のインタビューの前にマウスコンピューターの概要説明があったのですが、そこでは「価格の安さ」「国内製造」「24時間体制のサポート」「個人3年/法人5年の長期サポート」などがアピールされていました。

インタビューでは最新パーツについてのお話を色々とお伺いできたのですが、「新型パーツがこれから出始める」という段階であったため、まだ慎重な意見が多かった気がします。
新型パーツを使った新しいモデルの登場は冬、そして本格的な次世代パーツの登場は来年(2012年)の春〜夏になりそうです。



2011年5月にお聞きした話(マウスコンピューター/G-Tune)


私:「最近のマウスコンピューターさん、G-Tune の販売傾向や変化のようなものはありますでしょうか?」

担:「最近の傾向として、売れ線のモデルが下から上に変わって来ていますね。
以前のマウスコンピューターでは5〜6万円のモデルが一番よく売れていたのですが、最近はディスプレイ別で7〜9万円のモデルが一番よく出るようになっています」


製造工程を紹介する PR ムービー
Youtube でも こちら で公開されています
私:「G-Tune も上のモデルに売れ筋がシフトしているのでしょうか?」

担:「そうですね。 以前は安いモデルに注文が集まっていたのですが、ここ最近はマスターピースのような最上位モデルの注文が多くなっています」

私:「ユーザーが高級志向になっているのでしょうか?」

担:「そうかもしれません。マウスコンピューターのノートパソコンも 15 インチのものは5万円前後、17 インチのものは6〜7万円前後が売れ筋だろうと思っていました。
ところが実際に販売してみると 15 インチでは Core i5 搭載の6万円ぐらいのモデル、17 インチでは Core i7 搭載の9万円前後のモデルがよく出ています。 今までより1つ上の構成のモデルですね。」


私:「私としてもこのモデルだと、その構成をオススメしたいですね・・・ ユーザーもパーツの性能が解っている人が増えているのかもしれませんね」

担:「あと、どうせなら Core i7 が欲しいという方も多いのだと思います」

私:「(展示されているノートパソコンを見て)このノートは一般モデルのようですが、ビデオカードが搭載されているのですね」

担:「Luv Book T(マウスコンピューターの一般向けノートの上位型)は GeForce 540M を搭載しています。 最新ゲームには辛いですが、ちょっと前のものなら動かせますね。
G-Tune には1つ上の GeForce 460M を搭載しているものも用意しています」

私:「G-Tune のノートはどうでしょうか? 私的にはゲームはデスクトップの方が良いと思っていますが、今は全体的に市場がノートに傾いているようで・・・」

担:「ゲーミングノート(ゲーム向けノートPC)は売れ行きは良いですね。 特にこの GeForce 460M はかなり高性能で、他のレビューサイトさんや検証サイトさんでも「性能が良すぎる」と言われているほどです。 この辺が口コミで広まっているのかもしれません」

私:「水冷モデルはどうでしょうか? G-Tune さんにしかまだないダブル水冷モデル(CPU も VGA も水冷のモデル。 動作音が大幅に軽減され、HDD も SSD にするとほとんど動作音がなくなる)には個人的に注目しているのですが・・・」

担:「水冷モデルも GeForce 580 搭載のものを用意して、新しくなっています。 ただ売れ行きについては、水冷モデルは東京都の平均気温に関係しているみたいです

マウスコンピューター/G-Tune 展示会場
最上位モデル MASTERPIECE
水冷も可能な大型ケースモデル
私:「平均気温って動作にそんなに影響します?」

担:「私も気のせいだと思うんですけどねー。 でも室温が高い日が続きそうな時は、水冷モデルが売れやすいですね」

私:「新しいマザーボードの Z68 が登場しましたが、あれってどうでしょうか?」

担:「まだ出たばかりでチェックしていないので何とも言えないのですが、明確に動作速度に影響しそうな部分が、HDD と SSD を併用した時に HDD のアクセス速度が改善される点のみです。 しかし SSD を使用するヘビーユーザーはまだ多くありません。
SSD を使わない場合、価格が上がってしまう分のメリットを得られるのかどうか微妙ですね。
今は Z68 より、むしろ価格が下がった X58 の方が人気になっています


私:「ああ、X58 で大容量メモリを搭載する人が多いんですね。 メモリの価格も円高で安くなってそうですし」

担:「メモリ価格については落ち着いて来ていますね。 一時大暴落したんですが、その時に一気に在庫がなくなったのと、メーカーが供給数の調整を行ったので、現在は元の水準に戻りつつありますね」


【感想】
パソコンやメーカーについてと言うより、PC市場の話になってしまいましたが・・・ 売れ筋モデルの価格帯が1ランク上がっている、と言うのは興味深い話です。
これには様々な要因が関係していると思いますが、私的にはPCユーザーの知識が上がり、より良い性能のパソコンを求める人が多くなっているからではないかと思います。
また、マウスコンピューター/G-Tune のパソコンの購入者に上級者の割合が増えているのもあるかもしれません。
ゲームなどが可能な高性能ノートパソコンの需要も増えているようで、パソコンも徐々に最上位性能より、小型化へ向かう流れになりつつあるのかもしれません。

あと、「水冷モデルの売れ行きは東京都の平均気温に関係している」というのはちょっと笑いました。
私はすぐに「室温の影響でパソコンが冷えにくくなるため」かと思ったのですが、逆にパソコンの熱風で部屋が暑くなるのを防止したいからなのかも。
今年(2011年)は節電対策でエアコンを使い辛いので、水冷モデルが売れる年かもしれません?



2010年10月にお聞きした話(マウスコンピューター/G-Tune)


マウスコンピューター/G-Tune 展示会場
展示されているのは G-Tune NEXTGEAR
(レビュー記事は こちら にて)
担:「マウスコンピューターのブースをご覧いただきありがとうございます。
当社を御存じない方も多いと思われますが、当社はベンチャー企業として発足し10年以上 BTO パソコンを開発・販売しているメーカーです。
ゲーム専門パソコンのブランドである G-Tune などを立ち上げており、365 日の無料サポートなども行っております」


私:「今回の展示では ファイナルファンタジー14(FFXIV) のデモが走っていますが・・・
やはり FFXIV の発売の影響は大きいのでしょうか? また、FFXIV 推奨認定に際して気を付けたことはありますか?」


担:「お陰さまで FFXIV の発売は予想以上の売上につながっています。 G-Tune で用意している推奨モデルは非常に良く売れていて、ご好評も頂いています。
FFXIV の認定は、実はけっこう試験が厳しいのです。 スクウェアさんできっちり審査されており、ちょっとでも問題があったり、問題が生じそうだったり、その他何かの条件に合っていないとすぐに突き返されます。
それだけに、認証モデルは信頼性があるパソコンだと考えて良いですよ」

私:「今年の G-Tune のモデルは静音性を重視されていたようにお見受けしますが、その点は気を配られているのでしょうか?」

担:「はい、静音性は特に気にしている点の1つですね。
静音ファンなどの使用によって出来る限り動作音を小さくしています」

私:「G-Tune はデザイン性も非常に高いのですが、ゲーミングモデルの割にはフロントファン(パソコン前面部の送風機)がないなど、冷却面でやや劣る気がするのですが、この点はどうでしょうか?」

マウスコンピューター/G-Tune LITTLE GEAR
やや小型のモデル LITTLE GEAR
吸気は前面のサイドから行う設計
担:「フロントファンの冷却性能に関しては、『あった方が良い(なくても問題ない)』という程度なのですよ。
当社でも実験を繰り返しているのですが、無くても十分な冷却は得られるという結論になりました。
フロントファンによって内部の気流の方向が限定されてしまうというのもあり、何よりフロントファンがあると音がうるさくなります。
静穏性を考えるとフロントファンはない方が良いですね。
ただ、機種によってはフロントファンを付けている場合もあります。 やや小型のモデルの LITTLE GEAR は BTO(パーツ)の構成によって、フロントファンを付ける場合と付けない場合があります」

私:「G-Tune の最上位のモデル(MASTER PIECE)は全く違うケースになっているようで、前面下部がメッシュパネル(穴がたくさん空いているパネル)になっています。
あれは通気性は良さそうですが、デザイン性はあまり重視されていない気がします。 そこは妥協したという事なのでしょうか?」


担:「最上位のモデルは Abee(アビー、有名なパソコンパーツのメーカー)のケースを使っているので、当社でデザインしたものではないです。
アビーのケースは割と日本人ウケ(マニアウケ)するケースで、最上位のモデルを買う人はパソコンの上級者の人が多いので、そうした人に対するアピールというか、サービスといったところですね。 もちろん通気性は非常に良いですよ」

私:「最近のモデルをみて注目したのは、ビデオカードを水冷にしているモデルでした。
あれもやはり静音性を重視しての事でしょうか?」

担:「冷却と静音と性能を追及した、というのはありますね。
ビデオカードの水冷部品自体は市販されているものですが、それを搭載し動作保障のうえで販売するのはけっこう大変で、まだうちしかやっていないと思います。
GeForce GTX 470 や 480(最上位のビデオカード)はリファレンス(標準品)のファンしか取り付けられないので、どうしても静音にするのが難しく、その解決方法の1つだったのはありますね」

私:「私も GeForce GTX 480 の音を聞いて「うわーうるさい」と思いましたから・・・ そこが静音に出来るのは大きいですね。
現在の電源ユニットは市販品の高性能型が使われていますが、今後も電源はこうしたものを使われる予定なのでしょうか?」

担:「今後は自社で設計したものを使用する予定ですが、品質にはこだわっています。
850W 電源を中心にし、すでに 80 PLUS認証(電源ユニットの高品質保証認定)も受けていますね。」

私:「拡張ボードについてですが、G-Tune のモデルにはテレビチューナーカードが付けられるものと付けられないものがありました。
一般のモデルはほぼ付けられますが、ケースが大きい G-Tune で逆に付けられないのは何か問題があるようでしょうか?」

担:「問題というより、『付けたくない』という『ポリシー』ですね。
拡張カードを付けるとどうしてもエアフロー(本体内部の通気性)の障害になり、ビデオカードの冷却には悪影響になります。
絶対に付けられない訳ではないのですが、G-Tune はゲーミングモデルですからゲームのプレイを最優先し、それを阻害する要素は出来る限り排したいというポリシーがあります。 そのためですね」



2009年11月にお聞きした話(マウスコンピューター/G-Tune)


マウスコンピューター/G-Tune iiyama ディスプレイ
iiyama のディスプレイが見えますが
iiyama は2008年に
マウスコンピューターと合併しています。
担:「本日はゲーミング PC ブランド 「G-Tune」 の最新のモデルをご紹介しています」

私:「G-Tune はゲーム向けのパソコンですが、それに関する開発傾向や、設計志向はどのようなものなのでしょうか?」

担:「ゲームが出来る高性能を搭載することはもちろん、G-Tune に関してはデザインにもこだわりたいと考えています。
前面パネルを高級感のある光沢にして、ファンの位置がライトアップされるギミック(しかけ)なども導入しています」


私:「なるほど・・・ ゲーム用 PC はデザインより性能というメーカーが多いので、それは特徴的かもしれませんね」

担:「ケースの設計時に『
デザインと実用性の両立』というものを考えておりまして、安っぽいものにはしたくないと思っていました」

私:「機能面についてはどうでしょうか? ケースはかなり大きめのもののようですね」

担:「ゲーミングモデルですから、大型のビデオカードも搭載できるサイズにしています。
GeForce GTX 295 も十分入りますよ。
(この頃の最大サイズで最高性能の VGA)
RADEON HD 5870 は、ちょっと無理でしたが・・・
(GeForce GTX 295 よりもさらにデカかった新型の VGA)

私:「このケースは HDD が横向きに付いていますね。 これは拡張性を重視しているのでしょうか?」

マウスコンピューター/G-Tune 内部
HDD の設置スペースが横向きに。
前面パネルには光沢処理が。
担:「はい。 このケースは HDD ベイ(ハードディスクの設置スペース)を横向きにしています。
中を広くしてエアフロー(通気性)も確保しており、拡張性も高めています。
また、ファンも静音タイプを使っており、動作音も出来るだけ小さくするよう配慮しています」


私:「パーツの選択についてなのですが・・・ G-Tune を初めとするマウスコンピューターさんのモデルは、注文時に選択可能なパーツの幅がやや狭いように思われます。
これは、初心者向けにマイナーなパーツはワザと外している、というのがあるのでしょうか?」


担:「パーツについては、信頼性のあるものを選択できるようにしています。
不確定なパーツを使うよりは、より安全に、問題の起こらない組み合わせになる事を優先しています。
パソコンの開発をする際に様々なパーツの動作や相性をテストするのですが、そこでふるいに落とされるパーツは結構あるんですよ。
パーツ選択の幅が狭いというのは、その選定基準がやや厳しいためでもあると思いますが、そのぶん信頼性のあるパーツが選ばれていると思います」

私:「なるほど、やはり信頼性重視な訳ですね。 パーツ選択で気になったのは、「電源」が選べないことなのですが・・・
最近は高効率の電源など、新しい基準のものが登場しています。 こうした電源は選べないのでしょうか?」


担:「現在は選べないのですが・・・ 確かに選べるようにしておいた方がいいですね。 それは開発部の方に伝えておきます」

※2010 年以降は選択も可能になっており、電源の出力も増えています。

私:「G-Tune というブランドは、日本で最初の「ゲーミング PC ブランド」だったと思います。
しかし最近は、他のゲームと提携した「推奨パソコン」などは少なくなっているように見受けられます。 この辺りはどうなのでしょうか?」


担:「確かに G-Tune はゲーム用 PC ブランドとして立ち上げ、多くのゲームメーカーさんと提携し、推奨パソコンも多く用意していました。
しかし昨今はゲームも多様化していますから、特定のゲームの推奨パソコンを作っても、あまり売れなくなっています。
そのため当社は特定のゲームに特化するものではなく、多くのゲームに対応できるパソコンを用意する方針にしています。
もちろんいくつかのゲームメーカーさんとの提携は続いていますから、推奨パソコンを用意しない訳ではありませんが、今はどのゲームでも使えることをアピールする形にしていますね」



【感想】
2009 年にお話を聞いた時は「デザインと実用性の両立」と「信頼性重視」がマウスコンピューター / G-Tune の特徴だったように思います。
しかし 2010 年に入ってからはそれらを重視した上で、「静音性」と「最新性能」も重視する開発傾向になっているようです。
基本的には高性能型のパソコンで、デザインと信頼性に対する比重が大きいのが特徴と言えますが、2010 年はよりパソコンを「作り込んでいる」感じを受けました。

G-Tune に関しては「ゲームミングモデルなので、ゲームのプレイを阻害する要素は出来る限り排したい」と答えられていたのが印象的です。
総合して考えると、上級者から初心者、性能重視からデザイン重視まで、幅広い人をターゲットにしていると言えます。

○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル)

※最新のインタビュー記事は こちら をご覧下さい。


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