○ 展示会・発表会で担当者の方から聞いたお話
マウスコンピューター / G-Tune

このページでは、各地で開かれている展示会や発表会に参加した際に、マウスコンピューターの担当者さまから直接お聞きした話を掲載しています。
普段は解りにくい各メーカーの開発方針や、販売傾向、重視しているポイント、扱っている製品の特徴や今後の予定などをお聞きしています。
ただしそれぞれのお話は、あくまで会場で聞いた担当者さんのセリフであり、その会社の総意という訳ではないのでご了承下さい。
(読みやすいように言葉/単語を一部修正したり、複数の担当者さんのお話をまとめている場合もあります)
お話をさせて頂いた担当者の皆さん、ありがとうございました。
(以下の文章の「担」は担当者様、「私」は筆者である私のセリフです)
ベンチャー企業として発足した、秋葉原のパソコンショップがルーツのメーカー。
当初は大手電気店の下請けとして活動していたため知名度は高くなかったが、ゲーム用パソコンの先駆者的なブランド「G-Tune」を発足するなどして売上を拡大。
現在は知名度も上がり、規模拡大に伴って技術力や信頼性も向上、国内最有力の PC メーカーの1つとなっている。
国内のモニターメーカー「イイヤマ」を吸収し、長野県飯山市の大工場で生産を行っている。
【 2016年 11月 】
私:「まず、マウスコンピューターの『パソコンメーカーとしての特徴や傾向』を教えて頂けますでしょうか?」
担:「当社は秋葉原を本社としており、おかげさまで毎年、右肩上がりの売上げとなっております。
ゲーミングモデル(ゲーム用のパソコン)は『G-Tune』というブランド名で販売しており、以前はこの G-Tune が売上げの中心だったのですが、現在はマウスのモデル(一般モデル)とゲーミングが半々になっていて、一般モデルの割合が伸びてきています。
お値段も3万円から用意しており、買いやすさをアピールしています」
私:「つまり、今は一般モデルに注力しているということでしょうか?」
担:「一般へのアピールを重視している形です。
今年に入ってテレビ CM や電車広告などを行って、一般向けの宣伝を続けてきました。
そのおかげで、今まではややコアなユーザー様にしか知られていなかったのですが、広く認知されるようになり、中心がコアからライトに移行しています。
また、以前はデスクトップが中心でしたが、ノートパソコンが 5~6 割になっています。
ここ最近はクリエイター向けのパソコンにも注力しています」
私:「クリエイター向けというのは、画像や動画の加工に特化したパソコンということでしょうか?」
担:「そうです。写真や動画、3D CG の制作など、クリエイターの業務に特化したモデルですね。
こちらは DAIV(ダイブ)というブランドになります」
私:「クリエイター向けやゲーミングモデルだと相応の価格になりますよね?」
担:「ゲームだと 20~30 万円のモデルもありますね。
しかし G-Tune には 10 万円ぐらいでも高いパフォーマンスを発揮するモデルを用意しており、そのコストパフォーマンスとノウハウは他に負けないと自負しています。
また、クリエイター向けとまでは行かなくても、相応のスペックが欲しいという人もおられます。
そういった方に向けたミドルクラスのモデルも豊富に用意しています」
私:「ここが得意だ、アピールポイントだという点は何になるでしょうか?」
担:「得意と言えば、まずゲーム用モデル。
G-Tune はゲーミングブランドの先駆けで、皆様からご好評頂いています。
また、多くのモデルがスペックに対してやや小型で、デザインも重視しています。
そしてカスタマイズ。『BTO』(受注生産)によって、ユーザー様のご希望のパーツ構成のパソコンを組み立てています」
私:「マウスさんの工場は長野県の飯山市ですよね?」
担:「そうです。飯山工場は国内のパソコン組立工場としては最大級です。
当社は開発・製造・販売・サポートまで、すべて日本で行っています。
ここが外資系のメーカーとは違うところで、安心感を持って頂けると思います」
私:「マウスコンピューターが今『力を入れているところ』はなんでしょうか?」
担:「品質を重視しています。会社全体として品質を高めていこうという取り組みを行っています」
私:「その品質というのは信頼性ということでしょうか?」
担:「そうです。すぐ出荷するのではなく、検査をしっかりやってから出荷する、ということです。
最近、即日発送のパソコンとかありますよね。 でも『早く送るだけで大丈夫なのか?』というのがあって、うちはそれよりもちゃんと検査してから送ろうということにしています。
あと、最近はスマホでもメールやウェブサイトを見ることができます。
ですから PC ならではのゲームや、クリエイティブな作業など、パソコンでしか出来ないことをアピールしていこうと取り組んでいます」
私:「ユーザーの方から、よく褒められる点というのは何でしょうか?」
担:「そうですね・・・ まずは『壊れない』ということでしょうか。 しっかり品質チェックしています。
10 年ぐらい前、マウスコンピューターは電源が弱い、よく壊れると言われたりしたので、今は電源には日本製のコンデンサしか使わないなど、とにかく品質を大切にしています。
さらに耐久テスト、温度テストなどをしっかりやって、信頼のあるパソコンにしています」
私:「あまり気付かれていないアピール点というものはあったりしますか?」
担:「うーん・・・ G-Tune で言うと、例えば中を開けたときに、鉄が見えるとガッカリするとユーザーさんから言われたので、中までしっかり塗装するようにしています。
もちろん冷却とか、そういう点もしっかりやっています」
私:「マウスコンピューターが『他とはここが違う』という点はどこでしょうか?」
担:「動画配信などでアピールを行っているのはうちだけだと思います。
プロゲーマーさんを招待して実況配信したり、ニコニコ動画でアピールしたり。
当社は動画配信用モデルや、3D CG 作成用モデルが人気で、MMD(ミクミクダンス。3D CG 作成ソフト)用の PC なんかも用意しており、よく売れています。
これらをアピールする取り組みを3~4年ほど前からやっていて、こういうのはうちだけですね。
若年層、キッズに向けてもアピールして行こうというのがあります」
私:「どちらかと言うと、ライトユーザー重視の方針なのでしょうか」
担:「スペックで話すのではなく、もっと『新しいやり方のためのコレ』という勧め方をしています。
スペックを読めない人へのアピールをしています」
私:「お話を聞いていると、数年前のマウスコンピューターさんとは考え方が変わっている印象を受けます。
以前のマウスコンピューターさんは、秋葉原発祥ならではの『こだわり PC 開発』をアピールしていて、マニアも納得するモデルを重視していたと思うのですが、今は学生や一般ユーザーを重視する方向に転換している感じでしょうか?」
担:「うーん、そういうこだわりやコスパ、スペックは、『あって当たり前』だと思っています。
もちろんそれらは、今でも重視しています。 でも、知って貰わないと意味がない。
それをどう知って貰うか、どう届けるか、そういう方向になっています」
【 2017年 11月 】
私:「ここ最近のマウスコンピューターの動向はどうでしょうか?」
担:「最近はノートパソコンが元気いいですね。
また、テレビ CM に 乃木坂46 を起用するようになってから、売上げがさらに伸びています。
プロモーションに関しては、プロゲーマーとの取り組みに力を入れていて、彼らの動画で CM を配信するなどしています」
私:「プロゲーマーですか… あまり詳しくないのですが、Youtuber に宣伝してもらうような感じ…?」
担:「宣伝して貰うという訳ではないのですが、ゲーマーとして名が売れている方の動画に CM を入れておくと、ゲーミングモデルに興味のある方に直接見て貰えます。
デトネーションゲーミングというプロゲーマーチームと共に作った提携モデルも、よく売れています。
彼らはゲームの専門家ですし、まずは知って貰うことが重要ですからね」
私:「G-Tune(ゲーミングモデル)は相変わらず強いようですが、それ以外の取り組みはあるでしょうか?」
担:「クリエイターモデルに力を入れています。 カメラ系 PC や、音楽系の PC などですね。
こちらもサウンドクリエイターの方と提携するなどしています。
また、コストパフォーマンスの良い中間クラスのモデルを特にアピールしています」
私:「AMD はどうでしょうか? Ryzen が話題になっていますが…」
担:「うーん、そこまでじゃないですね。
インテルの 10分の1… いや、もっと下でしょうか。
マルチコアの強さが活きる状況が少なく、ゲームでは弱いですし、今一つです。
動画のエンコードには良いのですが、やはり一般モデル、ゲーミングモデルではインテルですね」
【 まとめ 】
コアユーザーが中心のややマニア向けなメーカーから、一般ユーザーにも知られるメジャーな PC メーカーへのステップアップを計っているようですね。
中村獅童さんや 乃木坂46 を起用したテレビ CM で知名度を上げており、CM のキャッチコピーも「実はけっこう売れている」という「一般には知られてないけど、実は大手です」といった内容。
実際にマウスコンピューターは毎年増収増益で、現在は日本最大手のパソコンメーカーの1つと言って間違いありません。
パソコン自体の評価も高く、価格もスペックに対して安め。
技術的なものはすでに完成されているので、ここでもう1段階上を目指そうとしている印象を受けました。
サブカルチャー方面へのアピールも重視している模様。
好調なメーカーの勢いを、依然として感じますね。
○ リンク :マウスコンピューター /
G-Tune 公式サイトへ
※古いインタビュー記事は こちら をご覧下さい。