○ 実機レビュー (2013年 春モデル、高性能型デスクトップPC)
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パソコンの概要 |
今回扱う「マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-MICRO」は、ゲーミングブランド G-Tune の3つのデスクトップモデルの中では下位の製品になります。
下位と言っても前述したようにコストパフォーマンスが重視されていて、かつ「ゲーミングモデル」なので、「安くて快適にゲームが楽しめる」というパソコンになっています。
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ケースはマウスコンピューターのオリジナルです。
マウスコンピューターは相応に大きなパソコンショップであり、ケースやパーツの自社開発や、市販パーツの独自改良なども行われています。
秋葉原を拠点とするメーカーなので、結構マニアっぽいこだわりの開発をするところで、その辺はこのマシンでも見て取れますね。
CPU は Ivy Bridge と呼ばれる 2012 年型のもので、ビデオカード(グラフィック機能)も GeForce GTX 650 や 660 という 2012 年発売のものが使われています。
2013 年の最新パーツではないのですが、最新の CPU やビデオカードを使っても性能はそれほど大きく上がらず、その一方で価格は跳ね上がるため、このモデルでは費用対効果の高いパーツが優先されています。
なお、これら Ivy Bridge や GeForce GTX 650/660 はいわゆる「定番のパーツ」であり、主流の製品です。
安いパソコンにはマイナーな(安定性に問題のある)パーツが使われている事もありますが、G-Tune に関してはそういうことはありません。
Windows は 7 と 8 の両方を選べ、使用するパーツも選択可能です。
CPU は Core i5 や Core i7 などの上位のものに変更可能で、SSD や HDD の追加、地デジチューナーの追加なども行えます。
ただしビデオカードはこのモデルの場合、GeForce GTX 650 か 660 のみで、それ以上のものを選びたい場合は他のモデルにする必要があります。
「信長の野望 Online」推奨モデルの場合、ゲーム内で利用できる特典と 30 日間のプレイチケットが付加されます。
他にも「モンスターハンターフロンティアG」や「新生 FINAL FANTASY XIV:」、「ファンタシースターオンライン2」などの推奨モデルも用意されています。
(特典の有無はゲームごとに異なります)
OS | Windows 8 64bit |
CPU | Core i3-3240 (Ivy-Bridge、3.4GHz、ターボブーストなし、2コア/4スレッド) |
メモリ | DDR3 PC-12800 (1600MHz) 8GB |
HDD | HDD 500 GB (東芝製 SATA600 7200rpm) |
グラフィックカード | GeForce GTX 650、VRAM 1GB |
電源ユニット | 500W 電源 |
マザーボード | B75 チップセット |
構成価格 | 73,080 円 (2013年8月10日現在。 税込み、送料込み、モニタ別) |
ほぼ NEXTGEAR-MICRO im520 の最小構成と同じですが、推奨モデルであるためかメモリが 8GB になっています。(最小構成はメモリ 4GB)
信長の野望 Online の推奨モデルは3種類用意されていて、最新の上位 CPU + 高級新型ビデオカードの構成もあるのですが、今回は「コストパフォーマンス重視のパソコンでどれだけの性能が出るのか」を検証したいので、あえて一番安いモデルにしています。
まあ、もし自分が買うんだったら、安さ重視の構成にするとしても、CPU を Core i5 に上げて、HDD を 1TB(1000GB)、電源も高品質品にしますね。
そうすると価格は約9万円に上がってしまいますが・・・
パソコンの外観 (G-Tune NEXTGEAR-MICRO) |
ここではパソコンの外観と中身をチェックしてみたいと思います。
この G-Tune NEXTGEAR-MICRO は、その外観やケースの構造にも大きな特徴があります。
まず外観の様子は、以下の様になっています。
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前面中央に大きな通気口+ファン。 下部にも小型の通気口+ファン。 上部には DVD ドライブと、カードリーダーが装着されています。 前面 USB は3つで、うち1つが USB 3.0。 |
天井にもファンの付いた通気口が。 側面には巨大なメッシュパネル付きの通気口があります。 もちろん後部にも通気口+ファンが。 徹底的にエアフロー重視のケースですね。 |
前面にある大きなメッシュ(網)は、ポチッと押すと外せるようになっています。 下部のメッシュも簡単に着脱可能。 簡単にホコリを取れるので便利です。 前面に2段のファンってのも珍しいですね。 |
見てのように、あちこちに通気口があります。 「どんだけエアフロー重視なんだよ!」と言いたくなるケースです。
ゲーミングマシンは高性能なパーツを長時間駆動させるため、ケース内に熱がこもりやすく、安定動作のために通気性(エアフロー)が重要になるのですが、これだけ通気口が空いてたら、そりゃもう通気は完璧でしょうね。
しかもケースファンが前面中央部、前面下部、天井、後部の4ヶ所に付いています。
4ヶ所もケースファンがある本体は珍しく、少なくともこのサイズで、この価格のマシンでは他にありません。
前面のメッシュパネルは押すだけで簡単に取り外しでき、そのまま洗うことが出来ます。
メッシュパネルが取り外せるのは最近は珍しくないのですが、このケースはちょっと押すだけですぐ外せるのが凄く便利で、それは使ってみて実感しました。
サイズは高さが 43 cm、幅は 19.6 cm、奥行きは 41.7 cm です。
ゲーミングモデルとしてはやや小型ですが、詳しくは後述しますが、中の広さは十分です。
実用性重視のケースですが、やや曲面になっていて凹凸のあるデザインはなかなか良く、真っ黒な本体ではありますが、無骨な印象はありません。
下位のモデルながら安っぽさは感じず、むしろこれだけエアフロー重視の設計のため、マニア受けするケースだと言えるでしょう。
内部の様子は以下の様になっています。
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ケース内部の全景。 電源ユニットは下部にあります。 CD/DVD ドライブや HDD / SSD 収納部を少なめにして、中のスペースを大きく取りエアフローを確保しています。 |
CPU の上と左には2つものファンが。 熱は上に逃げるので、天井から廃熱できる方が確かに冷却は良くなります。 メモリは2スロット。 PCIe の余りは実質1スロット。 |
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前面ファンはビデオカードに直接送風できる位置に付いています。 風を遮る柱や板もなく、まさに VGA の冷却最優先の配置。 奧の壁に穴が空いていて、そこにコードが通っているのにも注目。 |
HDD 周辺はコードが押し込められ密集気味。 HDD/SSD は前から入れるようになっています。 収納ベイの数は、正直少なめですね。 |
このケースはマザーボードを取り付ける側面の板が二重底のようになっていて、コードをその間に通せるようになっています。
このおかげでコードがすっきりまとまっており、内部のエアフローが確保されています。 これは非常に良い設計ですね。
天井のケースファンは CPU の真上、後部のファンは CPU の横に付いていて、CPU の熱を上と横の二方向から逃がすようになっています。
「意地でもビデオカード側に熱は流さねぇ」みたいな執念(?)を感じます。
加えて前面中央部のファンはビデオカードの真横に位置していて、ビデオカードに直接風を送れるようになっており、さらにその周囲は大きく開けられていて、冷却を最優先しているのが伺えます。
前面下部にはもう1つファンがあるのですが、これは HDD ベイ(HDD の収納場所)の真横に付いていて、つまり中央のファンは完全に「ビデオカード中心」になっています。
5インチベイ(CD/DVD ドライブの収納場所)は2つしかなく、下部の HDD ベイも2段しかないため、拡張性は劣りますが、これらも中央部を大きく開け、ビデオカードへの送風を優先しているためだと思われ、本当に「ゲーミングマシン」の名に相応しい設計になっています。
この内部を見て改めて、G-Tune が単なる「ゲーム用のパーツを集めたマシン」ではなく、「ゲームのための設計を行っているマシン」だと実感しましたね。
ただ PCI Express の空きスロットが2つ(ビデオカード直下を除くと1つ)しかないので、拡張カードをたくさん使いたい方は、もっと大きいマシンにする必要があります。
やや難点なのは、HDD ベイのすぐ横に電源ユニットがあり、内蔵 HDD の着脱がし辛そうなこと。
HDD は付属されている専用の固定具を使って装着しますが、電源ユニットが邪魔で後ろから入れられないので、前面ファンを外して前から入れます。
そうそう着脱するものではありませんが、交換時にはやや手間がかかるかも。
なお、パソコンの外観に関する話ではないのですが・・・
今回の試用機が Windows 8 搭載機であったためか、「Windows 8 の取扱説明書」のようなファイルが用意されていました。
紙のマニュアルではなく PDF ファイルなのですが、インターフェイスが大幅に変わって解りにくくなった Win 8 の使い方が、すごく丁寧に説明されています。
おそらく問い合わせが多いため、マウスコンピューターで独自に用意したものだと思われます。
Win 8 に不安を持っている方も多いと思うので、嬉しい配慮ですね。
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Windows 8 の PDF マニュアル。 他のパソコンで見たことがないので、マウスコンピューターのオリジナルだと思われます。 かなり基本的なところから説明してくれているので、これがあれば初心者の方でも安心ですね。 |
性能の検証 (Core i3-3240、GeForce GTX 650) |
ここからはベンチマークソフト(性能測定ソフト)を使った、性能の検証結果を報告します。
今回の検証機の CPU は Core i3-3240。 2012 年型の廉価モデルです。
価格が安い Core i3 ですが、それでも Ivy Bridge であるため、相応の性能は持ちます。
グラフィックカード(ビデオカード)は GeForce GTX 650。
ランクとしては「中の下」と言ったところですが、価格と性能のバランスが良く、GeForce の中でも人気のモデルですね。
では、このコストパフォーマンス重視の構成で、一体どのぐらいの性能を発揮するのか・・・
まずは性能測定ソフト「PCmark 05」で各パーツの速度を計測した結果です。
今回の検証機(NEXTGEAR-MICRO im520)は一番右で、比較として他のパソコンの結果も並べています。
ツクモ G-GEAR GA7J |
HP Pavilion h8-1080jp |
グッドウィル REGALIA Enforcer-i7k |
マウス G-Tune NEXTGEAR-MICRO im520 |
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時期 | 2010年 夏モデル | 2011年 夏モデル | 2013年 春モデル | 2013年 夏モデル |
価格 | 89,980 円 | 170,000 円 | 174,900 円 | 69,930 円 |
CPU | Core i5 760 (2.8GHz、4コア) |
Core i7-2600 (3.4GHz、4コア) |
Core i7-3770K (3.5GHz、4コア) |
Core i3-3240 (3.4GHz、2コア) |
メモリ | DDR3-1333 4GB | DDR3-1333 12GB | DDR3-1600 16GB | DDR3-1600 8GB |
VGA | GeForce GTS 250 | GeForce GT 550Ti | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 650 |
記録 | HDD | SSD (Intel X25-M) | HDD | HDD |
結果 | ![]() |
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CPU | 9948 | 12727 | 14312 | 10753 |
メモリ | 10593 | 10935 | 14958 | 7700 |
グラフィック | 13891 | 17450 | 35314 | -- |
HDD/SSD | 6313 | 29870 | 9123 | 7156 |
(CINE) | (3.71) | (6.80) | (7.50) | (3.32) |
CPU の速度は、さすがに Core i7 には敵わないのですが、2010 年モデルの Core i5 と同等と言えます。
さすがに上位のものと比べると見劣りしますが、3年前の中間クラスの CPU と同等ですから、使っていて不便を感じるレベルではなさそうです。
ちなみにノートパソコンの CPU と比べると、ノートの最新 Core i7 と同等か、やや上の性能になります。
HDD のスコアは、HDD としては速い方ですが、さすがに一級品ではない模様。
(ちなみに今回の検証機には東芝の DT01ACA050 という製品が使われていました)
グラフィックのスコアは PCmark 05 の測定では正常に計れませんでした。
メモリの速度は、Core i3 であるためかやや遅め。
これが体感速度に影響するかどうかは微妙ですが、まあ Core i3 なりの性能といったところでしょうか。
(ただ不当に低い気もするので、これも正常に計れていない可能性もありますが)
そして最大の注目点は、ゲーミング PC なのですから、グラフィック性能と「最新のゲームがどれだけ動くのか」という点になります。
以下はグラフィック性能の測定ソフト、及び各ゲームのベンチマーク(動作速度測定)の結果です。
今回の検証機は表の一番右で、比較対象として他のパソコンのデータも併記しています。
※3D mark 06 と 3D mark11 は世界標準と言える 3D グラフィック性能の測定ソフトです。 大航海時代 Online は 2D(平面)グラフィックの描画速度もスコアに影響する特徴があります。 モンスターハンターのベンチマークは3種類公開されていますが、1つ目を対象としています。 目安として、モンスターハンターと新生 FF14 は 3500 以上、ドラクエX は 5000 以上で快適です。 |
GeForce GTX 650 の性能は、3年前の同クラスの GeForce GTS 250 よりも上ですが、2年ほど前の1つ上のクラス GeForce GTX 460 よりは下のようです。
つまりクラス通りの性能であり、「新型の GeForce 600 シリーズだから、400 シリーズの上位クラスを上回った」みたいなことにはなりませんでした。
まあ、価格帯通りということですね。
とは言え、決して性能が低い訳ではなく、FFXI やモンスターハンターオンラインでは十分なスコアを出しており、新生 FF14 のベンチマークでも標準画質なら「非常に快適」、最高画質でも「快適」の評価です。
ドラクエオンラインは標準でも最高画質でもあまりスコアに差が出ず、どちらも「とても快適」でした。
つまり、最新のゲームを普通にプレイ出来る性能を持っています。
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※ 2013 年の期待の PC オンラインゲーム「新生 Final Fantasy XIV」と「ドラゴンクエストX」のベンチマーク結果。 どちらも「最高品質」の測定で、「快適」か「とても快適」の結果を出しています。 これだけの性能があれば、ほぼどんな 3D グラフィックのゲームでも問題なく楽しむことが出来るでしょう。 |
このレベルのパソコンが6万とか7万とかの、「やや高めのゲーム機」ぐらいの価格で買える訳で、人気になるのも頷けます。
最新の高性能モデルと比べると見劣りしますが、これより明確に上位の性能のモデルを買おうと思ったら 10 万円は超えるので、だったらこちらで、という人は多いでしょう。
パソコンとして不足している点はなく、普通にオススメできる構成と言えますね。
動作音については、すごく静かでした。
GeForce 600 シリーズは静音性がかなり進んでいて、CPU のファンもあまり音がしなかったため、ベンチマーク中に耳を澄ましても動作音はかなり小さいものでした。
ケースファンが4つもあるので、ファンの音がうるさいのではないか? と思っていたのですが、そういう心配は無用でしたね。
消費電力はアイドル時で 45 W 前後。 高負荷のベンチマーク中は 100 W 前後でした。
デスクトップとしては、かなり省電力の PC だと言って良いでしょう。
省電力性能はここ数年で劇的に改善されましたから、5年ほどの前のパソコンと比べると半分ぐらいになっていますね。
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・NEXTGEAR-MICRO シリーズ (G-Tune NEXTGEAR-MICRO 信長の野望 Online 推奨モデル
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