2012年の5月末日、東京・秋葉原のマウスコンピューター本社で |
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【 最新 CPU 「Ivy Bridge」 のパフォーマンス 】 その内容は最新のパソコン事情が解るものとなっており、今回はこの4月に発表され、5月から普及し始めたばかりの新型 CPU、俗に「Ivy Bridge」(アイビーブリッジ)と呼ばれているものの説明が行われました。 Ivy Bridge は昨年(2011年)1月に発売された「Sandy Bridge」(サンディブリッジ)と呼ばれる CPU の後継です。 「内部プロセス」と呼ばれる CPU 内部の細かさが 32nm から 22nm へと移行し、同じスペースにさらに多くのトランジスタ(CPU 内部にあるスイッチ)を搭載できるようになり、全体的な性能が向上しているとのことです。 また「3次元トランジスタ」と呼ばれるものが初めて導入され、これによって大幅に消費電力が削減されているそうです。 Intel 社の公称では、同じ処理速度で動かした場合は従来の半分の消費電力になるとのことで、この消費電力の軽減と、それに伴う発熱の軽減により、より小型のパソコンに最適な CPU になった、とのアピールが行われていました。 ここで「小型のパソコンに最適」と言う表現が使われていたのは、Ivy Bridge より上位の CPU である「Sandy Bridge-e」と言うものがあり、性能(処理速度)のみを考えると、そちらの方が高いからだと思われます。 なお CPU の型番としては、Core i シリーズの3桁の型番のものが初期型、Core i 2000 シリーズが Sandy Bridge、Core i 3000 シリーズが Ivy Bridge となりますが、Core i の 3800 以上の型番は Sandy Bridge-e となります。 (詳しくは こちら も参考にして下さい) また、メモリを効率よく使う「メモリーコントローラー」が従来より改善されているそうで、「この点はメディアであまり報じられていないが、当社としては強調したいポイント」だそうです。 Ivy Bridge を使うマザーボード(のチップセット)も、メモリ周りの性能が強化されているとのことです。 また、このチップセットの特徴として「PCI-Express」の最新型 PCIe 3.0 に正式対応し、また「サンダーボルト」と言われる接続端子にも対応したとのことです。 サンダーボルトは USB 端子のようなもので、モニターなども接続できる特徴がありますが、USB 3.0 と比べてそれ以外の利点はないため普及するかどうかは未知数です。 サンダーボルトは Mac に使われているものなので、Mac 用機器との互換があるという点では便利かもしれません。 なお Ivy Bridge の性能ですが、内部には新しい技術が導入されていますが、新機能が盛り込まれている訳ではないため、マイナーチェンジという印象も否めません。 基本的には性能よりも発熱や消費電力の軽減が中心であり、性能は間違いなく向上していますが、Sandy Bridge が登場した時ほどの大きな強化ではない印象です。 よって Sandy Bridge をすでに利用している人が、わざわざ Ivy Bridge に乗りかえる利点は少ないでしょう。 一方、Sandy Bridge 以前の CPU を使っている人にとっては魅力的な CPU と言えます。 また、ノート PC にとっては利点が大きいので、ノートに関しては一斉に Ivy Bridge に切り替わると思われます。
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【 ウルトラブック(Ultra Book)への道 】 続いてマウスコンピューターの開発の「こだわりポイント」や、品質管理の取り組みなどがアピールされましたが、この点については前回の展示説明会と変わりませんでした。 よって前回の展示説明会のレポートを見て頂ければと思います。 個人的に面白かったのは、その後に技術担当の方が説明されていた、ネットブック、ノートブック、ウルトラブックの開発過程のお話。 パソコン開発の苦労が伺える内容となっていました。 まず、2008 年から 2009 年にかけて日本では「ネットブック」が大流行します。 非常に安い、5万円前後の格安簡易型 PC ですね。 マウスコンピューターでは他社と同じもの作ってもアピールし辛いので、「軽さ」と「安さ」を重視して開発したネットブックを売り出したそうですが、イマイチ売れなかったそうです。 そこで 2010 年、当時「CULVノート」と呼ばれた5〜10万円の価格帯の、ネットブックよりやや性能が高い、ノートとネットブックの中間の省電力 PC を発売したそうです。 これはネットブックよりやや重くて高くなりましたが、結構売れたそうです。 そして 2011 年、Sandy Bridge が発売され、それに合わせて「LuvBook L」という軽量モデルを発売したそうですが、開発担当の方曰く「何とも進歩がないモデル」だったそうで、がんばって作った割にはあまり売れなかったそうです。 そしてここまでの経緯を元に、「軽さよりも性能だろう」という結論に達し、ノートパソコンも BTO(パーツ選択型)モデルにシフトしたそうです。 こうして「LuvBook S」というモデルを出したところ、ちょっと重めのモデルでしたがかなり売れたようで、「やっぱり性能重視だ!」と結論に達した所で、Intel 社がウルトラブックの規格を発表。 ウルトラブックはかなり厳しい条件の「薄型軽量ノートパソコン」であり、「性能重視という結論に達したところで軽さかよ!」「1年前に言ってくれよ!」となったそうです(笑 結果どうすれば良いのか悩んだそうですが、いきなり ASUS 社が Core i7 搭載のウルトラブックを発表し、CPU 性能に関しては Core i7 以上のものがないため、高性能を中心にしようとすると同じようなものが出来てしまう。 そのため結局、「やっぱり軽さだ」に考えが戻ったそうで、「最高の軽さを目指そう!」「1Kg を切ろう!」ということを目指して開発がスタート。 その開発はかなり難航したようですが、本体にカーボン素材を使うなどしてようやく条件を満たすモデルが完成し、この度ようやくマウスコンピューター製のウルトラブック「LuvBook X」の発売となったようです。 開発部の方によると、かなりの自信作だそうです。 ただ、これは後日談ですが・・・ 実は NEC も同じことを考えていたようで、NEC が開発しているウルトラブック「Vavie Z」も新素材を自社開発し、1Kg を切る世界最軽量を目指しているそうです。 これが後出しジャンケン的に発売されて世界最軽量の座を取られたら、「LuvBook X」は最大のアピールポイントを無くす訳で、一体どうするマウスコンピューター?
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【 Ivy Bridge 搭載のマウスコンピューター / G-Tune 新モデル 】 展示スペースでは、2012年夏に公開されるマウスコンピューター / G-Tune の新モデルがズラっと展示されていました。 スリムタイプからゲーミングモデル、ノートパソコンから業務用モデルまで一通りのパソコンが一新された模様です。 入って一際目に付いたのがゲーム向け PC ブランド「G-Tune」の中心モデル「NEXTGEAR」の新型。 もう見るからに特徴的なケースに様変わりしていました。 社内では「マジンガーケース」とか「ロビンマスク」とか言われているようで・・・ うん、確かにアレな感じ。
すごく特徴的な見た目ですが、NEXT GEAR は価格と性能のバランスの取れた中間モデルなので、特別高いモデルではありません。 正直、このいかにも「ゲーム用です」みたいなデザインは好き嫌いあると思いますが、このマジンガーだかロビンマスクだかの部分は取り外すことが可能で、外してしまうと普通の四角いパソコンの見た目になります。 普通と言っても前面には青いライトアップも施されており、これはこれで高級感はあります。 NEXT GEAR の隣には最上位モデルの MASTERPIECE 、そして担当の方が「こればっかり売れてしょうがない」と言っておられた「NEXTGEAR-MICRO」が展示されていました。
「NEXTGEAR-MICRO」は 10 万円以下の価格帯を中心とするやや小型のモデルで、小型でありながらゲーミング PC らしい高いグラフィック性能と、いかにも通気性が良さそうでマニア受けしそうな前面&側面がメッシュ構造になっているケースを持つモデルです。 特に Core i5 の上位型と GeForce GTX 550Ti という中間型の性能を持つビデオカードを搭載した、6万円台のコストパフォーマンスに優れたモデルが人気だそうで、確かにこの構成なら現在の最新 3D グラフィックのゲームもプレイ可能です。 それでいてこの価格だと人気になるのも頷けます。 上位の CPU である Core i7-3770K に GeForce GTX 560 や GTX 570 を組み合わせたモデルも 10 万円以下で存在し人気になっているようで、自分が買うならこっちかな。 この価格で去年の最上位(20万円台のPC)クラスの性能になるのですから、時代の進歩は恐ろしく早いです。 最上位型の「MASTERPIECE」はいわゆる Sandy Bridge-e の CPU を搭載するモデルで、価格は 10 万円台後半から 20 万円以上。 本体が大きいため大型のビデオカードや高出力の電源ユニットも搭載可能で、そのぶん高性能な構成にすることが出来ます。 ほぼ真四角のケースですが、赤いラインと大きな通気口が存在する、なかなかオシャレで実用性も高いケースです。 展示されていたものには GeForce GTX 680 という最上位クラスのビデオカードが装着されていたのですが、開発担当の方がこのビデオカードを「久々に良く出来ているビデオカード」と評していたのが印象的でした。 と言うことは技術屋の視点で見ると、昨今のビデオカードは今ひとつなものが多かったのでしょうか? GeForce GTX 680 は高パフォーマンスで消費電力も低く、動作音も静かで、パーツとして非常に良いそうです。 「モノにもよるけど GTX 670 はイマイチ。 670 にするより 680 の方がお勧め」とも言われていました。 なお、やや余談になりますが、「Sandy Bridge-e のパソコンを買うんなら、Ivy Bridge-e が出るのを待った方がいいんじゃないの?」と思われている方もいると思います。 しかし Ivy Bridge-e は 2012 年夏現在、Intel 社の予定から削除されてしまいました。 理由は不明ですが、少なくとも 2012 年中に出ることはないと思われ、巷では Ivy Bridge-e はキャンセルして次の CPU を目指すんじゃないか、という予測が多いようです。 よって当分は最上位 CPU は Sandy Bridge-e がそのまま継続して担う模様です。 ノートパソコンの展示コーナーには、ビデオカード(グラフィックカード)を搭載したノートがズラリ。 本来ノートパソコンはゲームなどには向かないため、ビデオカードが搭載されていないものが多いのですが、逆にマウスコンピューター / G-Tune のモデルにはビデオカード搭載型が多く、これはこのメーカーの大きな特徴と言えます。
展示ノートパソコンにはモバイル用の GeForce GTX 650M や 670M などが搭載されていて、「モンスターハンター フロンティア」のベンチマークが走っていました。 ベンチマーク(MHFベンチマーク・大討伐)のスコアは、GeForce GT 650M 搭載モデル(Luvbook K、15.6 型、7〜10万円)で 6630、GeForce GTX 670M 搭載モデル(NEXTGEAR-NOTE i760 シリーズ、15.6 型、10〜20万円)で 11480 でした。 スコアは 3500 あればプレイ可能なので、十分快適に遊べる範囲と言えます。 まあモンスターハンターフロンティアは今となってはやや「軽い」部類のゲームなので、最新のヘビーな 3D グラフィックのゲームだと難しいかもしれませんが、それでも GeForce GTX 670M はデスクトップ用の GeForce GTX 550Ti に匹敵します。 (近年のビデオカード(グラフィックカード)の性能については こちら も参考にして下さい) また高価格で重量もかなり重いのですが、最上位ノートとして GeForce GTX 675M を搭載したモデルも販売されており、これはキーボードが七色にライトアップされるという「バックライトキーボード」が搭載されていました。 一般用のパソコンとしては、光沢のあるオシャレな外観を持つ「LuvMachines」というモデルが展示されていました。 省スペースのスリムモデルと、小型ながら幅広の通常モデルの2種類があり、どちらも5万円前後の低価格モデルですが、新型 Core i7 を搭載したモデルもあって、ゲームなどをしない方にはスリム型がお勧めできます。 幅広の方はビデオカードも搭載可能。 また、どちらも地デジチューナは搭載する事が出来ます。
前述したウルトラブック「LuvBook X」は、さすがに軽かったですね。 特殊なカーボン製の本体はツヤがあって高級感もあります。 私的には、カーボン素材はちょっと「柔らかさ」があったので耐久性が心配だったことと、裏側に通気口がなかったので若干廃熱が心配な気もしました。 (自分がこれまでに見たウルトラブックはほとんど裏から通気を行っていた) ただ、耐久性については強度試験を行っているそうで、通気も廃熱を考慮した構造にしているので大丈夫、との説明を頂きました。 |
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【 感想 】 |
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