電源ユニット 解説メニュー |
電源ユニットってなに? |
「電源ユニット」とは、家庭や会社のコンセントの電気を、パソコンが使う電気に変換するパーツです。
「電源ボックス」や、「PSU」(パワー・サプライ・ユニット)、単に電源(PC 電源)とも呼ばれます。
名前の通り、電気を送る源となるパーツですね。
昔は電源ユニットは、あまり気にする必要のないパーツでした。
パソコンが使う電気の量はそれほど大きくなく、一般的な電源ユニットで十分に電気を供給(変換)できたからです。
しかしパソコン(パーツ)の性能向上にともない、必要な電気の量はどんどん増え、特に CPU やビデオカード(グラフィックカード)の消費電力は大きくなっていきます。
これにより電源ユニットには大きな出力が求められるようになりました。
電源ユニット(電源ボックス)の出力が足りないと、パソコンが使う電気を供給しきれなくなって、動作が不安定になったり、最悪動かなくなってしまいます。
また出力の増加に伴って負荷が増し、劣化や故障の発生率が上がったため、部品の信頼性や、出力の安定性も注目されるようになっています。
加えて近年、パソコンの消費電力の増大とエコ活動が注目され始めたことで、電源ユニットの「効率」も重視されるようになっています。
効率が良いとロスする電力が減るので、省エネになるからです。
電源ユニットの出力に余裕がないと、パーツの増設や交換の時にも電力が足りるかどうか不安になります。
パソコンの高性能化に伴い、電源ユニットも性能を考慮すべきパーツになっています。
PC 電源 の性能 |
電源ユニットは電気を送るパーツですから「どれだけ送れるか」「どれだけ省エネか」が注目されます。
信頼性(壊れにくさ)もポイントで、実はパソコンの故障原因のトップは電源ユニットの故障です。
そのため大手メーカーのパソコンは、電源の信頼性にはかなり気を配っています。
大きなパーツなので、パソコン本体(ケース)の大きさに合わせたものを使う必要もあります。
冷却用のファン(送風機)が付いていて、駆動音の一因になるため、静音性が注目されることもあります。
総出力(容量) |
電源ユニット(電源ボックス)で最も重要な点は、この総出力です。電源容量とも呼ばれます。
要するに「どれだけ電気を送れるか」ですね。
これは「W(ワット)」という単位で表され、単純にこれが大きいほど多くの電力を供給できます。
500W の電源ユニットなら、そのパソコンの全てのパーツの消費電力の合計が 500W 以内でないと、電力を供給しきれなくなります。
500W 以内であっても、ギリギリだとパーツへの電力供給が不安定になり、動作に悪影響が出る要因になります。
パソコンの消費電力は使用状況によって増減しますから、総出力にはある程度の余裕が必要だと思いましょう。
もし電源ユニットの総出力以上の電気をパソコンが使っている状態(オーバーロード)が続くと・・・
電源ユニットやパソコンが壊れる要因になり、最悪、焦げたり燃えたりする事もあります!
実際には、電源ユニットの中には「ヒューズ」があって、過負荷の時はこれが切れて動かなくなるし、マザーボードにも安全装置が付いていて電力が異常だと電源が勝手に切れるので、そういうことは普通は起こりません。
しかし電源ユニットの総出力が足りないと、パソコンが急に止まる場合があるのは覚えておきましょう。
どれだけ総出力があればいいかは、そのパソコンのパーツ構成によります。
特に消費電力が大きいのは CPU とビデオカード(グラフィックカード)ですが、製品によってかなり違います…
一例としては、以下のようになっています。
CPU | 概要 | TDP |
Core i7 9700K | デスクトップ用 2018、高性能 |
95W |
Core i7 4790K | デスクトップ用 2013、高性能 |
88W |
Core i7 初期型 | デスクトップ用 2008、高性能 |
130W |
Core i5 7600 | デスクトップ用 2017、中間性能 |
65W |
Core i7 7700HQ | ノート用 2016、高性能 |
45W |
Core i3 7100H | ノート用 2017、安価型 |
35W |
Celeron 3955U | ノート用 2018、安価型 |
15W |
ビデオカード | 用途 | 最大電力 |
GeForce RTX 2080 | デスクトップ用 2018、最上位 |
215W |
GeForce GTX 1070 | デスクトップ用 2016、上位 |
150W |
GeForce GTX 1050 | デスクトップ用 2016、一般 |
75W |
GeForce GTX 580 | デスクトップ用 2010、最上位 |
244W |
GeForce GTX 1080 (Note) |
ノート用 2016、最上位 |
150W |
GeForce GTX 1070 (Note) |
ノート用 2016、上位 |
120W |
GeForce GTX 750M | ノート用 2013、一般 |
50W |
GeForce GT 740M | ノート用 2013、一般 |
33W |
安価なタイプより高性能な方が、発熱と消費電力は多くなります。
年代によっても違います。新しいものほど省電力機能が進化していて、消費電力が低くなる傾向にあります。
また、デスクトップ用より、バッテリー持続時間のために省エネが求められるノート用の方が、消費電力は低くなります。
CPU の「TDP」という数値は「どれだけ熱を発するか」の数値であって、正確には消費電力ではありません。
でも実際の最大消費電力は、この TDP より少し多いぐらいだと考えれば目安になるでしょう。
例えば TDP 100W なら、最大消費電力は 130W ぐらいになります。
(あくまで「最大消費電力」であって、普段使用している時の消費電力はもっと低めです)
CPU が 100W、ビデオカードが 150W だとした場合、この2つだけで 250 W が必要になります。
他のパーツの消費電力もありますから、さらに 100W ほど足して、最低でも 350W は出力が必要です。
しかしギリギリだと安全とは言えず、経年劣化もあるため、450~500W が無難なところでしょうか。
一般的に、CPU とビデオカードの最大消費電力を足して、2倍にしたものが電源ユニットの総出力の目安と言われています。
メーカー製のパソコンを買う場合は、そのパソコンのパーツ構成に合わせた電源が備わっているので、それほど気にする必要はありません。
最近は BTO(ビルド トゥ オーダー、受注生産。ユーザーがパーツを選択して購入すること)も一般的ですが、この時も構成に合わせた電源が自動で選択されるのが普通です。
もし余裕が欲しい場合は、出力が大きいものを選ぶと良いでしょう。
とりあえず電源ユニットとしては、総出力(電源容量)が高いものほど高性能と言えます。
変換効率(80PLUS認証) |
最近注目されているのが、この「変換効率」です。
電源ユニットは、正確には「コンセントから来る電気をパソコンの各パーツが使用できる電気に変換するもの」です。
しかしこの変換の際に、電力をある程度「ロス」してしまいます。
変換効率は、どれだけロスせずに電気を変換できるかを表す性能です。
以前の電源ユニットは、変換効率は 70% 以下が普通でした。
これだとコンセントから 100W の電気が来ていても、実際に使えるのは 70W 以下で、30W 以上の電気は無駄になっていたわけです。
しかし省エネとエコの観点から「80PLUS認証」というものが行われ始め、2009 年頃から一般的になりました。
これは「電源ユニットの変換効率が 80% 以上である事のあかし」で、以下の種類があります。
80 PLUS (スタンダード) 変換効率が 80% 以上。 |
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80PLUS BRONZE (ブロンズ) 変換効率が 82% 以上、負荷が 50% の時は 85% 以上。 |
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80PLUS SILVER (シルバー) 変換効率が 85% 以上、負荷が 50% の時は 88% 以上。 |
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80PLUS GOLD (ゴールド) 変換効率が 87% 以上、負荷が 50% の時は 90% 以上。 |
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80PLUS PLATINUM (プラチナ) 変換効率が 90% 以上、負荷が 50% の時は 92% 以上。 2012 年頃から製品化。 |
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80PLUS TITANIUM (チタン) 変換効率が 92% 以上、負荷が 50% の時は 94% 以上。 2015 年頃から製品化。 |
上のものほど電気のロスが少なく、省エネになります。
当初は上位の製品は少なかったのですが、最近(2020年)に市販されている製品はゴールドかブロンズが多いです。
技術の向上により、上位の「プラチナ」と「チタン」も制定されていますが、このクラスの製品は高額です。
80PLUS 認証を受けるには他にも様々な条件を満たす必要があるのですが、とにかくこの認証を受けていれば、高い効率の高品質電源である事がわかります。
上位の条件はかなり厳しく、認証を受けるには手続きも必要になるため、効率が高くても認証を受けていない製品もあるのですが、やはり認証がある方が安心できますね。
変換効率が高いと消費電力を減らせるだけでなく、発熱を抑え、冷却に必要なパワーや騒音を減らし、電源ユニットの負荷も軽減できるメリットがあります。
変換の際にロスした電力は、そのまま「熱」になるからです。
ちなみにパソコンの消費電力が 150W として、変換効率が 10% 改善されると 15W の省エネになります。
電気代は1時間 1000W で 25 円が目安なので、1時間で 0.375 円の節約。
1日5時間パソコンを使うと、年間で約 684 円の節約となります。
もちろんパソコンの消費電力や使用時間が多ければ、さらに節約できる量は大きくなります。
信頼性、コンデンサ |
パソコンの消費電力が上がり、電源ユニットもどんどん高出力になっていったことで・・・
必然的に「信頼性」の問題が生じるようになりました。
高い電力を送ると言う事は、熱も負荷も生じますから、部品が壊れやすくなり寿命も短くなってしまうのです。
もし電源ユニットの内部の部品が劣化すると、出力が徐々に落ちていきます。
出力が大きく低下して電力供給が足りなくなると、パソコンの動作が不安定になり、故障の原因にもなります。
そのため「電源ユニットは消耗品」と言われることもあります。
電源ユニットの信頼性や寿命を事前に計ることは難しいのですが・・・
「コンデンサ(定格コンデンサ、電解コンデンサ)」という部品にどんなものを使っているかが、1つの目安になります。
コンデンサは電気を蓄えたり、流れを安定させたりする部品ですが、他の部品よりも壊れやすく、寿命も短めなので、その品質が電源ユニットの寿命をほぼ決めるからです。
近年の電源ユニットに使われるコンデンサには「85℃コンデンサ」と「105℃コンデンサ」の2種類があり、105℃コンデンサの方が 85℃ より4倍寿命が長く、信頼性も高いと言われています。
そのぶん価格も高いのですが、良いものを選びたいなら「105℃コンデンサ使用」と明記してあるものを使いたいですね。
また、日本製のコンデンサは他国製のコンデンサよりも信頼性が大きく勝ると言われていて、実際にコンデンサのトラブルの大半は他国製のもので発生しているようです。
よって一番良いのは「日本製105℃コンデンサ使用」と明記してある製品となります。
まあ、品質の良いものは、お値段も高くなりますが・・・
一部には「固体コンデンサ」を使っていることをウリにしている製品もあります。
通常のコンデンサの中には電解液という液体が入っているのですが、これが漏れたり蒸発すると故障してしまうので、固体なら壊れにくいというわけです。 個体の方が安定性も高くなります。
ただ、固体コンデンサは価格が高く、製造メーカーに高い技術力も要求されるため、一般の PC 電源での使用例はあまり多くありません。
保証期間が長い製品も、信頼性の高さの目安になります。
3年や5年などの長期保証をうたっている製品なら、安心感がありますね。
サイズ(大きさの規格) |
電源ユニット(電源ボックス)はパソコンのパーツとしては、かなり大きいものです。
そのためパソコンの本体(ケース)のサイズに合ったものを使う必要があります。
電源の大きさは「ATX 電源」と「Micro ATX 電源」の2種類が一般的です。
ATX 電源は普通のサイズのパソコン用で、Micro ATX 電源は小型サイズのパソコン用です。
Micro ATX 電源は「SFX 電源」とも呼ばれます。
さらに「スリムタイプ」や「ブックサイズ」と呼ばれる省スペース型パソコン用の「Flex ATX」や「TFX」といった規格もあります。
ただ、これらの電源はメーカーに直接納入されるもので、単体ではあまり売られていません。
基本的に高出力の電源ユニットは、サイズも大きいのが普通です。
そのため「パソコンが大きい=高出力の電源ユニットが使える=パソコンを高性能に出来る」という図式になります。
電源ユニットのサイズが小さいほど、出力が低めで、価格は高くなります。
小型サイズのパソコンの性能に限界があるのは、高出力の電源を搭載し辛いのも大きな要因です。
電源ユニットを交換する場合、規格が合っていれば問題なくケースの中に収まるはずですが・・・
小型のパソコンだと内部が入り組んでいたり、メーカー独自の設計になっている場合があるので、物理的に収まらない場合もあります。
電源ユニットの寸法は仕様書に必ず明記されているので、いま付いている電源の寸法を測り、大きさを確認しながら選んだ方が良いでしょう。
各系統ごとの最大出力 |
これは電源ユニットの基本的な性能ではあるのですが・・・
難しくなりすぎるし、初心者の方がここまで気にする必要はないので、参考程度と考えて下さい。
電源ユニットが送れる電気の量は「総出力」で表されていますが、パーツごとに使用している電気(電圧)の種類が違っています。
そして電源ユニットには、「総出力は 500W だけど、この系統の電気は 150W までしか送れませんよ」といった制限があったりします。
これが「系統ごとの最大出力」です。
系統(電圧の種類)には +3.3V、+5V、+12V、+5VSB などの種類がありますが、+3.3V と +5V はほぼマザーボードのみが使用し、+5VSB は俗に言う「待機電力」に使うものです。
-12V や -5V というものは、現在はほとんど使用されていません。
よって「+12V が各種のパーツで使われる電気で、他のものはパソコン本体(マザーボード)用」と考えて構いません。
これらは性能表や電源ユニットの本体に、以下のような感じで表記されています。
DC OUTPUT | +3.3V | +5V | +12V1 | +12V2 | +12V3 | -12V | +5VSB | 500W |
22A | 30A | 20A | 20A | 20A | 0.5A | 2.5A | ||
最大電力 | 150W | 432W | 18.5W |
上記の場合、+3.3V と +5V の系統は、両方合わせて最大 150W まで。
+12V の系統は、全部合わせて最大 432W まで出力できることになります。
全部の電気の合計(総出力)は最大 500W ですね。
+12V がたくさんあるのは、パソコンのパーツはほとんど +12V を使い、さらに分けておいた方が安定性が高いためです。
20A と書いてあるのは電流(アンペア)で、電力(W、ワット)は「電流(A、アンペア)× 電圧(V、ボルト)」なので、20A×12V なら最大 240W
であることになります。
つまりこの電源は、1つで 240W 以上使うパーツは使用できないことを意味します。
このように +12V を分けていると使えるパーツに制限ができるので、あえて分けていない電源もあります。
分けているものは「マルチレーン」、分けていないものは「シングルレーン」とも呼ばれ、製品の中にはマルチとシングルを切り替え可能なものも存在します。
なお、電源ユニットの規格として「ATX 12V」や「EPS 12V」と書かれたものがありますが、これは +12V の出力を強化しているタイプのことで、今の電源ユニットはほとんどがこのタイプなので気にしなくて構いません。
電源ユニットのタイプを「ATX/EPS」としているメーカーがありますが、普通のことです。
電源ユニットの性能としては、総出力はもちろん、各系統の最大出力も高い方が、より消費電力が高いパーツを使用でき、高性能だと言えます。
でも、大きな電力を使うパーツ(高性能なビデオカードなど)は複数の電源ケーブルを付けられるようになっていることが多く、各系統ごとの最大出力を気にしなければならないケースは、今はほとんどありません。
昔のパソコンを使っていて、電源ユニットも古いままで、そこに消費電力の高いパーツを付けたいという場合には、注意する必要がありますが・・・
基本的には総出力だけ見ておけばいいでしょう。
電力の安定性 / ノイズ |
電源ユニットは、例えば +12V の電気を送る場合、当然 12 ボルトの電圧で送る訳ですが・・・
常に 12V ピッタリではなく、12.1V~12.3V の範囲で変動しながら送られたりします。
この変動の範囲を「供給電圧の変動」や「電力供給の安定性」と呼びます。
この範囲は狭いほど良く、常に同じ電圧で送れる電源ユニットなら、パソコンやパーツは安定して動きます。
しかし送られる電圧がバラバラだった場合、パソコンやパーツには負担がかかり、それは故障や寿命の低下を招くことになります。
電圧の変動には、電力変換の際に発生する「ノイズ」も影響しています。
そしてこのノイズは、スピーカーの音に雑音を与える要因にもなります。
ノイズを減らすノイズリダクション回路、ノイズを外部に漏らさないシールドなどで対策しているのが普通ですが、どこまでノイズを抑えているかは製品によります。
ただ、こうした電力の安定性やノイズは、専門の装置で計らないとチェックできず、性能表にも普通表記されません。
よって購入時にこれを目安にして製品を選ぶことは困難です。
安定性に配慮した電源ユニットは製品紹介でそれをアピールしていることがあり、それが目安になるぐらいですね。
よってあまり気にする必要はない(気にしたくてもできない)のですが、高くて高品質な製品は、やはり安定性も良い場合が多いと考えていいでしょう。
ケーブル(コード)の種類とプラグイン / 直出し |
電源ユニットからは「電源ケーブル」がたくさん延びています。
このケーブルを各種のパーツに繋げて、電気を送ります。
ケーブルにはたくさんの種類があって、パーツごとに使うもの(差し込めるもの)が異なります。
マザーボードには普通、複数の電源ケーブルを取り付けます。(20/24 ピン+CPU 用の4ピンなど)
ビデオカード(グラフィックカード)も製品によって、使うケーブルの種類や数が違います。
もし取付部の形状が違う場合や、必要なものが足りない時は、差し込みの種類を変える「変換ケーブル」を使わなければなりません。
ケーブルの数が足りない時は、1本のケーブルを2つに分ける「分配ケーブル」というものを使う必要がありますが、双方の使用電力の合計が「各系統ごとの最大出力」を越えないようにする必要があります。
まあ、よほどたくさんのパーツを付けない限り、分配が必要になることはありません。
最近は「プラグイン」タイプのケーブルが付いた電源ユニットも増えてきました。
これはケーブルの着脱が可能なタイプで、「モジュラーケーブル」や「イージープラグ」とも呼ばれます。
これに対し、着脱できないものを近年は「直出し式」と呼びます。
プラグインタイプなら、必要なケーブルの追加が簡単で、必要ないケーブルは取り外せるのでケースの中がスッキリし、通気性も良くなります。
しかし電気が乱れやすい接続部は出来るだけ少ない方が良いので、コストや長期使用での安定性を考えると直出し式の方が良いと言えます。
技術の改良が進み、電気が乱れにくいプラグインが開発されていますが、どちらが良いかは一概には言えません。
その他の性能 |
ここでは、これまでに述べたもの以外の性能についてまとめて解説いたします。
- 静音性
- 電源ユニットは電気を送るパーツですから、相応に熱を持ちます。
そのため「ファン(扇風機)」が付いていて、これで冷却を行っていますが、このファンの音が騒音になります。
静音タイプはそのファンの音を少しでも減らそうとしているタイプで、騒音が少ない「流体軸受け」を採用していたり、負荷が低い時はファンの回転数を抑えているものが多いです。 - 過電流保護機能
- 必要以上に電気が流れたり、何かの影響で電力供給に異常が発生すると、電源ユニットが壊れたり、パソコンのパーツを破損させてしまう場合があります。
特に良くあるのが、近くにカミナリが落ちて「過電流」が発生するパターン。
基本、カミナリが鳴り始めたらパソコンの使用は中断した方が良いです。
でも電源に過電流保護機能があれば、トラブルがあってもパソコンへの被害を抑えられる・・・ 「かも」しれません。
電圧や温度をチェックしたり、負荷を計測するなど、メーカーごとに独自の保護機能を盛り込んでいます。 - 力率(Active PFC 回路)
-
これはコンセントから来る電気をどれだけ使えるかを示す数値で、100W の電気がコンセントから来ていても、力率が 90%、変換効率が 80%
だと、100×0.9×0.8 で実際に使用される電力は 72W になります。
ただ変換効率と違って、力率で使えなかったぶんの電力はコンセントに戻って行くため、力率が低くても消費電力や発熱などに影響はなく、あまり気にする必要はありません。
ただ、力率が悪くて発電所に戻っていく電気が多いと、発電所には負担がかかり「エコ」の点で問題があるそうです。
80PLUS 認証を受けるには力率も良くないといけないので、80PLUS 認証品なら力率も高いです。 -
力率を高めるためには「アクティブPFC(Active PFC)」という回路を搭載しないといけないので、宣伝文句にこれが書かれていたら「力率の改善をしているんだ」と思いましょう。
- ErP Lot 6 2013(ErP 指令)
- ヨーロッパで提唱された省エネ基準で、2010 年に制定されたものと、2013 年に制定されたものがあります。
待機電力の削減目標であり、ErP Lot 6 2010 は待機電力 1.0 W 以下、ErP Lot 6 2013 は 0.5 W 以下でなければなりません。
あまり気にする必要はないと思いますが、若干の省エネ、ノートパソコンならバッテリーの節約になるでしょう。 - RoHS 指令
- これは性能ではなく、2007 年にヨーロッパを中心に提唱された環境保護の決まりです。
有害な物質を含む電気製品の販売をやめようと、特定の材質の使用量を制限した決まりで、対応品なら安心できます。
しかし材質の問題ですし、曖昧な決まりなので、あまり気にする必要はありません。 - その他
- 電源ユニットは相応に大きくて目立つので、装飾用に光るものがあり、そこまでいかなくてもランプの色で消費電力がわかるものがあります。
起動時にファンが逆回転してホコリが取れるというものもありますが、これらはマニア向けの機能ですね。
Windows 10 にはスリープ中でもネット接続を切らない「モダンスタンバイ」という機能があり、スリープからの復帰時に素早くネットを利用できるのですが、これを使うには電源ユニットが対応している必要があります。
電源ユニットの取り付け / 交換 |
参考までに、簡単に電源ユニット(電源ボックス)の取り付けや交換について説明しておきましょう。
電源ユニットは普通、パソコンのケースの背面部にネジ止めされています。
付ける時はケースの中に電源ユニットを置き、後ろからネジで止めます。
外す時はケースの後ろのネジを外せば、手で取り出せます。
電源ユニットの着脱自体はとても簡単です。
パソコンによって上部にある場合と、下部にある場合がありますが、後ろからネジで固定している点は変わりません。
しかし問題は「電源ケーブル」です。
電源ユニットから延びている電源ケーブルを、各パーツやマザーボードに取り付けていかなければなりません。
繋がっていないパーツがあると、当然そのパーツには電気がいかないので動きません。
前述したように各パーツに取り付ける電源ケーブルは、それぞれ形状が異なります。
またマザーボードには通常、複数の電源ケーブルを付ける必要があり、その位置は製品によって異なります。
これらを把握しておく必要があるため、この点が初心者の方にはやや難しいと言えます。
場所と形さえ解っていれば、ただ差し込んでいくだけなのですが・・・
ケーブルの事も含めて考えると、PC パーツとしてはやや交換が難しい部類に入るでしょう。
交換する時は前の電源ユニットのケーブルを外す時に、どの形のものがどこに付いていたのか、
できればマニュアルなども確認しておきたいですね。
付けた後に何かのセットアップなどを行う必要はないので、その点はラクです。
実際にパソコンパーツを交換する時は書籍などを見ながら行うのをお勧めします。
- パソコン工房:電源・UPS:大手のパソコンショップ。品ぞろえ豊富
- Amazon:PC 電源ユニット:最近は Amazon もパーツを扱っています