○ 展示会・発表会で担当者の方から聞いたお話
DELL(デル)/ エイリアンウェア

このページでは、各地で開かれている展示会や発表会に参加した際に、DELL(デル)の担当者さまから直接お聞きした話を掲載しています。
普段は解りにくい各メーカーの開発方針や、販売傾向、重視しているポイント、扱っている製品の特徴や今後の予定などをお聞きしています。
ただしそれぞれのお話は、あくまで会場で聞いた担当者さんのセリフであり、その会社の総意という訳ではないのでご了承下さい。
(読みやすいように言葉/単語を一部修正したり、複数の担当者さんのお話をまとめている場合もあります)
お話をさせて頂いた担当者の皆さん、ありがとうございました。
(以下の文章の「担」は担当者様、「私」は筆者である私のセリフです)
アメリカに本社を持つ世界最大級のパソコンメーカー。
HP(ヒューレットパッカード)や Lenovo(レノボ)と世界規模でシェア争いをしている。
コストパフォーマンスを重視した、リーズナブルなパソコンに力を入れている。
コストと価格を抑えるため、生産と組立は主に中国で行われている。
2009 年にアメリカのゲーム用パソコンのメーカー「Alienware」を買収、自社ブランド化し、ゲーム向けの高性能 PC の販売も開始した。
【 2016年 11月 】
私:「まず、デルさんの『パソコンメーカーとしての特徴や傾向』を改めて教えて頂けますでしょうか?」
担:「現在の傾向としては・・・ アプローチが変わりましたね。
もうカスタマイズをメインとはしていません。
コストを下げるために BTO(ユーザーによるパーツ選択)を廃止し、人気のあるゾーンの固定の構成で販売を行っています。
そのため(パーツを)選べなくなったと言われることもあるのですが、そのぶんお安く提供できるようになっており、注文も解りやすくなりました。
ワークステーションなど、一部のモデルはまだ可能ですが」
私:「デルさんは以前からコストパフォーマンス重視でしたが、それは変わっていないでしょうか?」
担:「そこは変わっていません。 うちの特徴はコストパフォーマンス重視ですね」
私:「デルさんが今『力を入れているところ』はなんでしょうか?」
担:「デザインより実用性に力を入れています。
最近はデザインを優先しているパソコンもありますが、お客さんにとって本当に良いものは何なのか?
薄い、軽いだけでハッピーなのか?
軽量化するとベコベコになって耐久性が不安になりますし、それよりも使い勝手を優先していこうと考えています。
洗練した本体や、小さなフレーム(画面の外側の枠)などですね」
私:「具体的に、本体のここが違うというのはありますでしょうか? 小さなフレームというのは・・・?」
担:「例えば、XPS(デルの一般上位モデル)は使い勝手を重視した設計で、今回は初めてシャーシにもこだわっています。
キーボード面にカーボンを使い、周囲を編み目の柄で装飾するなど、高級な仕上がりにもなっています。
また、画面外枠のフレーム幅(ベゼル幅)を狭くして本体のサイズを小さくしているのですが、これは大変でした。
これを作れる工場が見つからず、日本のとある工場だけ可能で、うちで独占契約したのでうちでしか作れません。
この狭いフレームのおかげで、画面は 13 インチですが、本体の大きさは 11 インチサイズのパソコンと変わりません」
私:「ユーザーの方から、よく褒められる点というのは何でしょうか?」
担:「やはりコストパフォーマンス、価格の安さですね。
この点はずっと評価して頂いています」
私:「あまり気付かれていないアピール点というものはあったりしますか?」
担:「顧客満足度を重視しています。
サポートとフィードバックに力を入れていて、ユーザー様に満足して頂けるよう努めています」
私:「デルが『他とはここが違う』という点はどこでしょうか?」
担:「違うと言えば、やはりエイリアンウェアでしょうか。
ハイスペックなゲーミングモデルで、デザインにもこだわっています。
とても好調で、販売台数も年ごとに倍々に伸びています」
私:「最近はエイリアンウェアのモデルも増えているようですが、何か変化はありますか?」
担:「最近は物理的な部分を改良していますね。
例えば、ゲームで酷使するので、キーボードの強度は特別に強化しています。
あと、キーボードの表面がツルツルしていると滑って操作し辛いというご意見があったので、滑らない素材に変えました。
長時間安定して動くチューニングをしているのもエイリアンウェアの特徴ですね」
【 2017年 11月 】
私:「デルさんの最近の傾向のようなものを教えて頂けますでしょうか?」
担:「人気があるのは 13 型のノートで、上位モデルである Inspiron 7000 や、高級モデルの XPS を推しています」
私:「上位モデルですか…
デルさんと言えば安さ、コストパフォーマンスだと思うのですが、ちょっと変わっているのでしょうか?」
担:「もちろんコストパフォーマンスが最優先です。
ただ、それ以外も推していこうと考えており、安くてもハイエンドな、中間層狙いのモデルもアピールしています」
私:「パソコンの特徴や、力を入れている点というのはどこになるでしょうか?」
担:「他社の製品との差別化を考えています。
今のパソコンはどこも同じパーツを使っていますから、スペックにはあまり差が出ないので、プラスアルファの質感を備えるようにしていて、処理性能以外の点でのアピールを行っています。
また、フレームのベゼル(外枠)を細くして、小型の本体でも一回り大きい画面を使えるようにしています」
私:「質感や小さなフレームは去年もお聞きしたのですが、他に何か変化はありますでしょうか?
あと、デルさんは法人向けの印象が強いですが、やはりそちらが優先でしょうか?」
担:「個人向けにも力を入れていますよ。
今年からはカラーも増やしています。今までは黒や白だったのですが、それ以外も用意しようと。
また、マックスオーディオのスピーカーを使って、サウンドも良くしています。
機種ごとにスピーカーの位置が違いますから、それに合わせた細かいチューニングを行っています」
私:「去年は実用性重視というお話を聞きしましたが、それは変わらないでしょうか?」
担:「使っていく上でパフォーマンスを発揮できるのは何なのか、というのを考えて作っていますね。
例えば、長時間使うためには廃熱が大切になります。
材質を変えて何度もテストを行い、一部にカーボンよりマグネシウムを使って冷却効率を高めるといった調整を、コストをかけて行っています」
私:「エイリアンウェア(デルのゲーミングモデル)はどうでしょうか?」
担:「エイリアンウェアは、より『こだわり重視』ですね。
こちらの製品はゲームのためのベストパフォーマンスを追求していて、コスパは当てはまりません。
ただ、エイリアンウェアではない安価なゲーミングモデルも発売開始しました」
私:「Inspiron(デルの一般安価ノート PC)のゲーミングモデルですか…
どのぐらいの価格なんでしょうか?」
担:「GeForce GTX 1060 で 11 万円ぐらいです。Radeon のモデルもあります。
エイリアンウェアほど凝っていませんが、それよりも安く、ゲーミング初心者向けと考えています。
あと、スペックに対するコストパフォーマンスで選ばれている方や、兼用で手軽に使いたい方に向けています」
【 まとめ 】
デルと言えばコストパフォーマンス。 安さで勝負という印象のメーカーですが、そこはずっと変わりません。
一方でフレームの細さや表面の質感、キーボードのタッチ感など、今までデルではあまり気にしていなかった部分もこだわるようになったようです。
聞いてて面白かったのは、同じ外資系メーカーの HP との対比ですね。
HP がデザイン重視、薄さや軽さも重視と言われていたのに対し、デルは「デザインより実用性」「薄い・軽いだけで良いのか?」と、まるで正反対のことを言われていました。
ハッキリした方針の違いがあるのは、ユーザーにとって選びやすいので良いと思います。
デル本体と開発部署が異なるゲーミングモデル「エイリアンウェア」は、アメリカンな重量級 PC が特色でしたが、最近は扱いやすい小型モデルも増えています。
強度や操作性などの細かい点の改良も続けられていて、どんどん洗練されている印象。
もうそれほど「キワモノ」ではなくなって来ましたね。
2017 年からは、デル本体側の開発と思われる新しいゲーミングモデルも登場しています。
○ リンク : DELL(デル 個人向けストア) / エイリアンウェア
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※古いインタビュー記事は こちら をご覧下さい。