○ 実機レビュー (2013年 春モデル、高性能型デスクトップPC)
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パソコンの概要 |
今回扱う「REGALIA Enforcer-i7k」の REGALIA(レガリア)は、グッドウィルのゲーミングパソコンのブランド名です。
ドスパラのゲーミングパソコン GALLERIA(ガレリア)と似ていて、ちょっと紛らわしいのでご注意を。
Enforcer の部分は使用されているケースの名前で、今回のものは台湾の大手メーカー COOLER MASTER(クーラーマスター)製のケースです。
「ゲーマー向けに特化」して開発されたケースのようで、大型のパーツを収納可能な設計になっており、通気性が重視されています。
i7k の部分は上位型の CPU 「Core i7」を使っていることを表しています。
つまり基本構成名が、そのままパソコンの名前になっているようですね。
なお 2013/3 現在、この Enforcer-i7k は「短納期モデル」となっていて、早い発送が可能です。
グッドウィルは自社でパーツの開発や改造は行っていないようなので、パーツは全て市販品が使われています。
しかしショップブランドらしく、品質や評判の良いものを選んで使用しているようで、実機に使われていたパーツや注文ページの製品名などを見ても、ユーザーの評価の高いものや、話題の製品、定番と言える製品が並んでいます。
今回の REGALIA Enforcer-i7k を含む、グッドウィルのゲーミング PC のほとんどは大型ケースなので、スペースにはかなり余裕があり、電源ユニットも大型で高出力なものを選べます。
よって拡張しやすいパソコンになっていて、今後パーツを交換/追加することを考えている PC 中級者以上の方が、カスタマイズのベースとなるパソコンを購入するのにも向いていると言えますね。
今回試用した本体の構成は、以下の様になっていました。OS | Windows 7 Home Premium 64bit |
CPU | Core i7-3770K (Ivy-Bridge、3.5GHz(最大 3.9GHz)、4コア/8スレッド) |
メモリ | DDR3 PC-12800 (1600MHz) 16GB (Corsair 製、VENGEANCE 8GB x2) |
HDD | HDD 2TB (WD Green 2TB SATA3 1TBプラッタ、WD20EZRX) |
グラフィックカード | GeForce GTX 680 (GIGABYTE 製、VGA 2GB、GV-N680OC-2GD) |
電源ユニット | 850W、80PLUS GOLD 認証 (SilverStone 製、STRIDER GOLD Evolution、SST-ST85F-G) |
マザーボード | Z77 チップセット (ASUS 製、P8Z77-V) |
構成価格 | 174,900 円 (2013年3月24日現在。 税込み、マウス/キーボード/モニタ別) |
やはり Core i7 の中でも上位の CPU である Core i7-3770K と、最上位のビデオカード GeForce GTX 680 の組み合わせなので、価格は相応に高くなりますね。
また、良いパーツが使われているため、その点でも値段は高めになっています。
しかし信頼性の高い ASUS のマザーボード、GOLD 認証で高品質な電源ユニット、定番ブランドのメモリ、オーバークロック仕様のビデオカードなど、マニアも納得のパーツで固められているので、値段に見合う性能と信頼性を発揮しそうです。
パソコンに詳しい人ほど、「なかなか良いな」と思うのではないでしょうか。
パソコンの外観 (REGALIA Enforcer-i7k) |
ここではパソコンの外観と中身をチェックしてみたいと思います。
外観の様子は以下の様になっています。
真四角ではなく、前面に凹凸があるデザイン。 電源を入れると下部の通気口が光ります。 |
前面カバーを開いたところ。 全体はつや消しブラックに塗られています。 側面には透明の窓があり、中を確認することができます。 |
ゲーミング PC らしい大型の本体で、高さは 48.4 cm、幅は 22.9 cm、奥行きは 53.3 cm あります。
大型のデスクトップ PC の中でも特に大きい方なので、設置スペースには注意して下さい。
デザインはちょっとメカっぽい感じで、いかにもゲーミング PC らしいフォルムです。 でも派手すぎないスタイルですね。
電源を入れると前面上部と、本体下部の通気口が赤くライトアップされるようになっています。
また、側面にはのぞき窓があり、中の様子を確認することが出来ます。 中が見えるのはパーツ交換時などに安心できるので良いですね。
電源スイッチ、USB 端子、イヤホンジャックなどがすべて本体上部に集中しているのが特徴で、これらのボタンや端子は前方ナナメ上を向いています。
つまり上から押しやすい、刺しやすい設計になっていて、本体は床の上、足元に置くことが想定されています。
天井の前半分には物を置くためのスペースが用意されていて、後ろ半分には通気口があります。
青い端子は USB 3.0、黒い端子は USB 2.0。 端子がナナメ上を向いているのがポイントです。 天井の物置き場は地味に便利そうですね。 |
背面部の様子。 USB 端子が合計6つあります。 モニターケーブルは下部の VGA 側の端子に付ける事。 背面端子はマザーボードによって変わります。 |
机の下に置くのに最適で、机の上に置くのには向かない、かなり特化した設計なのでご注意下さい。
本体が大きい分、前面ファンや通気口などが大きいので、通気性・放熱性はかなり良さそうです。
端子の数はマザーボードの種類によって変わるのですが、今回の検証機の場合は前面上部に USB 2.0 が2つ、USB 3.0 が2つ、合計4つ。
背面部には USB 2.0 が2つ、USB 3.0 が4つ、合計6つ用意されていました。 数としては十分ですね。
ただ、SD カードなどを読み込むカードリーダーや、IEEE1394、eSATA などの特殊な端子は存在しません。
これらを使う機器を使用する場合は、外付けのカードリーダーや増設パーツを付ける必要があります。
以下は内部の様子です。
かなりスペースの広い内部。 通気口も多いのでエアフローはバッチリ。 大型ケースなのでサイズの大きな VGA や電源ユニットも問題なく入ります。 |
大量にある拡張ベイ。 HDD の横、前面下部に吸気ファンがあります。 |
中はかなり広々としています。 コードがとても丁寧に結束されていて、綺麗に固定されているのが印象的でした。
ゴチャゴチャ感はまったくなく、これなら通気性も良いでしょうね。
CD/DVD やブルーレイのドライブなどを装着する5インチベイは4スロット。
5インチベイの側面には最近流行りの、ネジを使わずにドライブを固定できる止め具が付いています。
カードリーダーやフロッピーディスクドライブなどを装着する事が多い 3.5 インチベイは存在しません。
その代わり、内蔵 HDD/SSD ベイは中央部に4スロット、下部に2スロット、合計6スロットもあります。
これだけあれば HDD/SSD は増設し放題ですし、間をあけて取り付けることで通気性を確保しながらの増設もできそうです。
電源ユニットは下部に設置する形になっていて、850 W のかなり大型のものが付けられていました。
80 PLUS GOLD 認証を得ている高性能品で、これだけデカいパーツを普通に付けられるのは大型ケースの利点と言えるでしょう。
この電源ユニットはコードを着脱できるタイプで、中のコードがスッキリしているのはその影響もありそうです。
拡張スロットはグラフィックカード(ビデオカード)に使用されているものと、その直下のもの(通気のために使わない方が良いもの)を除くと、PCI Express 2.0 x1、PCI Express 2.0 x16、PCI Express 3.0 x16、PCI スロットがそれぞれ1つずつ空いています。
本体も大きいし、拡張性は十分と言って良いでしょう。
ただゲーミングパソコンであるためか、グラフィックカード(ビデオカード)の通気性を重視しているようで、そのため注文時に地デジチューナーカードやサウンドカード、その他の増設カードなどを選択することは出来ません。
これらを利用したい場合、後で自分で取り付ける必要があるため、やはりある程度パソコンに詳しい人向けという印象も否めませんね。
性能の検証 (Core i7-3770K、GeForce GTX 680) |
ここからはベンチマークソフト(性能測定ソフト)を使った、性能の検証結果を報告します。
このパソコンは CPU に上位型である Core i7-3770K が使われていて、グラフィックカード(ビデオカード)にもトップクラスの GeForce GTX 680 が使用されています。
2013 年春時点の最上位クラスと言って良い構成なので、つまり今回の検証は「現在のトップクラスの検証」という事になりますね。
以下は性能測定ソフト「PCmark 05」で各パーツの速度を計測した結果です。
今回の検証機(REGALIA Enforcer-i7k)は一番右で、比較として他のデスクトップパソコンの結果も並べています。
ツクモ G-GEAR GA7J |
HP Pavilion h8-1080jp |
HP Pavilion h9-1190jp Phoenix |
GoodWill REGALIA Enforcer-i7k |
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2010年 夏モデル | 2011年 夏モデル | 2012年 春モデル | 2013年 春モデル | |
CPU | Core i5 760 (2.8GHz、4コア) |
Core i7-2600 (3.4GHz、4コア) |
Core i7-3930K (3.2GHz、6コア) |
Core i7-3770K (3.5GHz、4コア) |
メモリ | DDR3-1333 4GB | DDR3-1333 12GB | DDR3-1600 8GB | DDR3-1600 16GB |
VGA | GeForce GTS 250 | GeForce GT 550Ti | GeForce GTX 580 | GeForce GTX 680 |
記録 | HDD | SSD (Intel X25-M) | SSD (Micron C400) | HDD |
結果 | ||||
CPU | 9948 | 12727 | 13025 | 14312 |
メモリ | 10593 | 10935 | 10061 | 14958 |
グラフィック | 13891 | 17450 | 30331 | 35314 |
HDD/SSD | 6313 | 29870 | 47103 | 9123 |
(CINE) | (3.71) | (6.80) | (9.24) | (7.50) |
CPU の速度は、昨年の最上位型/超高価格の6コアモデル Core i7-3930K よりも高いスコアを出しています!
Core i7-3770K は 2012 年に登場した「Ivy Bridge」と呼ばれる新型の CPU で、その処理性能はさすがと言えますね。
ただ、上記の PCmark 05 による測定は4スレッド(4つの処理を同時に行うこと)までしか対応していません。
実際には Core i7-3770K は最大8スレッド、Core i7-3930K は最大12スレッドの処理が可能です。
もっと多くの処理を同時に行う測定ソフト「CINE BENCH」で計った結果では(表の一番下)、Core i7-3930K の方が高いスコアになっています。
実際にはそこまで多くの処理を同時に行うことは滅多にありませんから、双方の結果を半々ぐらいに考えておけば良いでしょう。
いずれにせよ、非常に高い性能を持っていることが解ります。
ちなみに Core i7-3770K は(2013 年春現在)、高性能型の CPU としては最もポピュラーなものです。
価格は高めですが(約3万円)、それに見合った性能を持つ製品であり、性能を追求している人にはベストの選択と言えます。
メモリの速度も非常に高速です。 メモリのスコアが 15000 近いのは初めて見ました。
これは DDR-3 1600MHz のメモリが使われていることはもちろん、評判の良いブランドメモリを使っていることや、最新のマザーボード(のチップセット)「Z77」と、上位の
CPU を使っていることも影響していると思われます。
にしても、昨年モデルの 1.5 倍の速度ってのは凄いですね。
データ記録装置は HDD なので、流石に SSD には劣ります。
HDD には WD(ウェスタン・デジタル)という定番メーカーの製品が使われていて、その性能はかなり高く、HDD で 9000 台のスコアが出ているのは初めて見ました。
ただ、SSD だと3万とか4万とかのスコアになるので、それと比べると見劣りします。
SSD には「価格が高い・容量が少ない」などの欠点もあるのですが、近年の高性能型デスクトップパソコンでデータ記録装置が HDD だと、その部分がボトルネック(足かせ)になってしまうので、これだけの高い性能の PC を買うのであれば、記録装置も SSD にするか、SSD + HDD の混合にするのをオススメしたいですね。
HDD が搭載されていたのはあくまで今回の検証機の話で、実際には注文時に SSD を選択することも可能です。
グッドウィルは冒頭でも述べたようにパーツの選択肢の幅が広く、SSD も豊富に用意されています。
読み込み速度と書き込み速度の目安も書かれているので、それらを参考にして選ぶと良いでしょう。
※2013年3月27日時点の、Enforcer-i7k で選べる SSD。 価格と容量だけでなく、メーカー名、型番、読み込み速度、書き込み速度の案内があるので、選択しやすいのが良いですね。 製品の詳しい情報は、型番を Google などで検索するとチェックできます。 |
そして最大の注目点は、ゲーミング PC なのですから、グラフィック性能と「最新のゲームがどれだけ動くのか」という部分になりますね。
以下はグラフィック性能の測定ソフト、及び各ゲームの動作速度測定(ベンチマーク)の結果です。
今回の検証機のデータは一番右で、比較対象として他のパソコンのデータも併記しています。
※3D mark 06 と 3D mark11 は世界標準と言える 3D グラフィック性能の測定ソフトです。 大航海時代 Online は 2D(平面)グラフィックの描画速度もスコアに影響する特徴があります。 モンスターハンターのベンチマークは3種類公開されていますが、1つ目を対象としています。 FFXIV のベンチマークは 2013/2 に新しいものが公開されましたが、比較対象がないので旧バージョンの測定も併記しています。 目安として、モンスターハンターは 3500 以上、バイオハザード5は 60 以上、FFXIV は 3500 以上で快適です。 |
さすが GeForce 680! 圧倒的な性能です。
モンスターハンターフロンティアの測定で 30000 越えを果たした PC は、私がテストした中では始めてです。
重いと有名な 3Dmark 11 のムービーも非常に滑らかに動いていて、昨年までの高性能 PC より更に1ランク上の性能であるのを実感できます。
高解像度での測定や、2D グラフィックの処理性能なども問題なく、得手不得手が生じているような部分も見られません。
ほぼ全ての計測で最高のスコアを出しているため、もう「全体的に素晴らしいです」以外に言いようがありませんね。
この PC なら近年発売されたゲームは、すべて快適に動くと言って間違いありません。
また、測定していて印象に残ったのは動作音。 すごく静かなのです。
GeForce 600 シリーズは静音性や発熱の軽減などがかなり進んでいると聞いていましたが、それを実感できました。
高負荷のベンチマーク中にパソコン本体に耳を傾けても、ファンの音はあまり聞こえません。
少し離れた場所に本体を置いていると他の音に完全にかき消されてしまうぐらいの動作音で、これは電源ユニットやケースファンの静音性も高いためだと思われます。
HDD がゴリゴリという音を立てるぐらいしか気にならず、静音 PC と言っても良いレベルですね。
左の画像は 3Dmark 11 のテストで1万近いスコアを叩き出した画像。 さすが GeForce GTX 680 ですね。 580 の時は 6500 ぐらいだったので 1.5 倍近いスコアです。 右は最新 3D グラフィックのゲーム「(新)シムシティ」をプレイしているシーン。 こうしたゲームもこの性能ならサクサクです。 |
・グッドウィル REGALIA Enforcer-i7k(パソコン工房) ※2013年9月より、グッドウィルのパソコンは「パソコン工房」で扱われる事となりました。 上記のリンクは「パソコン工房」のウェブサイトに通じています。
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