○ 実機レビュー (2012年 夏モデル、ウルトラブック)
    東芝 Dynabook R632 レビュー

東芝様より、2012年夏モデルの新型ウルトラブック、「Dynabook Satelite R632/W1RF」の貸し出しをして頂きました。

東芝 dynabook R632ご存じのように 2012 年もっとも注目のパソコンは、新型ノートパソコンの規格「ウルトラブック」です。
超薄型で非常に軽量、長時間バッテリーで起動も高速、さらに高性能というユーザーにとっては夢のような、そして開発する方にとっては地獄のような、新世代のノートパソコンです。

ウルトラブックが登場し始めたのは 2011 年からですが、その時点ではまだ数が少なく、日本の通信規格(WiMAXなど)に対応したウルトラブックは東芝の Dynabook R631 のみでした。
ですから 2011 年のウルトラブック市場は、まさに東芝の独壇場と言えました。

しかし 2012 年夏、DELL(デル)、HP(ヒューレットパッカード)、富士通、NEC、ソニー、マウスコンピューター など、各社のウルトラブックが一斉に登場します。
ウルトラブック市場も戦国時代に突入した訳で、そんな中で発売された東芝の新型ウルトラブックは、一体どのようなものなのか・・・
今回のレビューでは比較も交えながら、それを検証していきたいと思います。


先に総論を言ってしまうと、Dynabook R632 の外観や基本機能は従来の R631 と変わっていませんでした
ぶっちゃけ、外側はそのままで、中身のパーツを入れ替えたものと言えます。

しかし 2012 年の春に Ivy Bridge(アイビーブリッジ)と呼ばれる新型 CPU と、それを使用するための新型マザーボードが登場しており、これらが使用されていることで処理速度は従来のもの(R631)よりも向上しています。
そして予想以上だったのは、東芝製の新型 SSD の速さ
「今年の春に発売された東芝の SSD が速い」という話は私も少し聞いていたのですが、今回のテストで本当にその速さを実感しました。
R632 の作業速度の向上は、CPU が新しくなったことより、この新型 SSD を搭載している影響の方が大きい気がします。

以下ではその外観やテストの結果について、詳しく解説していきたいと思います。


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 パソコンの概要

今回検証する東芝 dynabook R632 は昨年発売された国産初のウルトラブック R631 の後継機です。
ウルトラブック」とは CPU の開発を行っている Intel(インテル)社が提唱した新しいノートパソコンの規格で、主に以下のような条件を満たす必要があります。

東芝 dynabook R632
R632 の外観。 色はシルバーです
13.3 インチ、厚さ 16mm、重量 1.12 kg
サイズは R631 と同一です

・Intel 社の高性能 CPU「Core i」シリーズを搭載していること。
・厚さは 13 型以下のものは 18 mm 以下。 14 型以上のものは 21 mm 以下。
軽量で持ち運びやすいこと。(規程はないが目安として 2Kg 以下)
・バッテリー駆動時間は最低でも5時間以上、8時間以上推奨。
起動時間が速いこと。 スリープ状態からは7秒以内に復帰すること。

スマートフォンやタブレット PC の普及に伴い、ノートパソコンにもタブレットや携帯電話のような使い勝手の良さを求めた規格と言えますね。
要するに冒頭でも述べた通り、「薄くて軽くて手軽で高性能」なパソコンです。
(ちなみに当初は「価格が 1000 ドル以下」(日本円で8万円前後)という条件もあったのですが、さすがにそれは厳しかったようで、現在価格については「目標」という形になっています)

ウルトラブックはその条件を見ても解るように、「携帯しやすさ」が重視されています
よってノートパソコンを頻繁に持ち出す機会が多い人に向いています。 用途としてはビジネス向けと言え、ゲームや映像を楽しむような使い方には向きません。
使い勝手の良いパソコンですが、非常に薄いため CD/DVD ドライブは内蔵されておらず、CD/DVD を使いたい場合は外付けのものを利用しなければならない欠点があります。 また、接続端子の数も少なめになります。
ただ、東芝のウルトラブックは機能性はかなり高い方ですね。

dynabook R632 の WEB 販売モデルには、上位の CPU 「Core i7」を搭載した上位型「R632/W1UF」と、中間の CPU 「Core i5」を搭載した廉価型「R632/W1RF」の2種類があります。
この2つはメモリの搭載量も上位型(W1UF)が 8GB、廉価型(W1RF)が 4GB と違いがあります。
もちろんその分、価格は廉価型(W1RF)の方が安いです。

一方、店頭販売モデルは「R632/28FS」という名前になっていて、基本スペックは廉価型の「R632/W1RF」と同じです。
しかしデータ記録容量(SSD のサイズ)が、WEB 販売モデルは 256 GB なのに対し、店頭モデルは 128 GB しかありません。
(さらに店頭販売モデルは SSD が旧型かもしれません。 SSD についての詳細は後述します)
要するに、上位モデルが欲しいなら通販サイト「東芝ダイレクト」で注文しなければなりません。

今回の検証で使っているモデルは Core i5 を搭載した R632/W1RF であり、WEB 販売モデルですが、上位型ではありませんのでご了承下さい。

各モデルの価格と基本スペックは以下の様になっています。

【 Dynabook Satelite R632 (個人向けウルトラブック、13.3 型のワイド液晶モデル) 】
T632/W1UF WEB 販売用モデル。 店頭購入は出来ない。 価格は約 16 万円。
CPU は上位型の Core i7-3667U(2GHz、最大3.2GHz、2コア/4スレッド)。
メモリは 8GB。 データ保存量は 256 GB の SSD。
Microsoft Office 搭載モデルは +2万円。
W1UFS は色がシルバー、W1UFK は色がシャンパンゴールド(光沢のあるアイボリー)。
T632/W1RF WEB 販売用モデル。 店頭購入は出来ない。 価格は約 13 万円。
CPU は中間型の Core i5-3317U(1.7GHz、最大2.6GHz、2コア/4スレッド)。
メモリは 4GB。 データ保存量は 256 GB の SSD。
Microsoft Office 搭載モデルは +2万円、色は W1UF と同じで2種類。 今回の検証機
T632/28F 店頭販売用モデル。 オープン価格だが、およそ 10〜14 万円で販売されている模様。
CPU は中間型の Core i5-3317U(1.7GHz、最大2.6GHz、2コア/4スレッド)。
メモリは 4GB。 データ保存量は 128 GB の SSD。
Microsoft Office は標準搭載。 他と同じで2色。
※実際の価格はキャンペーンなどにより変化しますのでご了承下さい。
※実際の型番には色を表すアルファベットも付いています。 W1UF
K ならゴールド、W1UFS ならシルバーです。

実機レビュー


























 パソコンの外観の詳細と、他のウルトラブックとの比較 (dynabook R632)

ウルトラブックの最大のポイントは、薄さと軽さ。
しかしパソコンは小さいほど機能が減る傾向にあるので、いかに「小ささと機能性を両立しているか」もポイントになりますね。

外観の様子は以下の通りです。

東芝 dynabook R632 外観 東芝 dynabook R632 天板
デザインはかなりシンプルで、全体的に角張った感じ。
単色のシックな見た目で、柄や模様はほとんどありません。
dynabook のロゴがある天板も控えめなデザイン。
あまり派手な模様はあえて廃しているようです。

全体的にシンプルで、シックなデザインと言えますね。
横幅は 31.6 cm、縦幅は 22.7 cm で、A4 サイズより少し大きいぐらいです。 この大きさは R631 とほとんど変わっていません。
A4(一般的な雑誌のサイズ)が入るカバンなら、このパソコンも問題なく入るはずです。
薄さや軽さも少し厚めの雑誌と同じぐらいで、ウルトラブックを持ったことがない方だと「なにこれ!? 薄い!軽い!」と思うはずです。

これだけ薄いと耐久性が心配になりますが、「ハニカムリブ構造」と呼ばれる蜂の巣のような構造とマグネシウム合金によって耐久性が高められており、見た目より丈夫に作られているようです。
東芝のノートパソコンは耐久性や信頼性は高いので、この点は問題はないと思われます。
また、片手でラクに開閉できるようヒンジ(蝶つがい)の硬さが調整されていて、指一本で開けられるようになっています。

本体が薄いためキーボードのキーストローク(キーの深さ)はかなり浅く(1.2mm)、打鍵感はあまり良くありません。 かなり軽い感じのキータッチですね。
この点はウルトラブック共通の難点と言えますが、キーピッチ(キーの幅)は 19mm と大きめで、打ち辛さはありません。
また、少しでもタッチ感を付けようとしているのか、キーを押した時にポチポチとした感触があります。
電源を入れてしばらくの間はキーボードのバックライトが光るので、暗い場所でもキーの位置を確認しやすくなっています。
(キーボードのバックライトや本体のカラーについては、R631 ユーザーの要望に応えたとのことです)

また東芝のモデルの特徴として、タッチパッドの ON/OFF を行える物理的なボタンが付いています
これのおかげでタッチパッドに手が当たって起こる誤作動を防げるようになっており、これは地味に大きなポイントだと思います。

タッチパッドの下部にはマウスの左クリックと右クリックに相当する物理ボタンも付いています。 タッチパッドを直接ポンポンと叩いてもクリックは行えるのですが、やはり物理的なボタンがあった方が使いやすいのは確かですね。
この辺の配慮はもっと注目されても良いと思います

東芝 dynabook R632 キーボード 東芝 dynabook R632 タッチパッド
キーボードの拡大写真。 四角いボタンのようなキーですね。
キーストロークが浅いのはウルトラブックの宿命です・・・
テンキーはありませんが、キーのサイズは大きめで、配列にも違和感はなく、使い勝手は悪くありません。
タッチパッドの拡大写真。 上に付いている小さなボタンが、タッチパッドの ON/OFF ボタン。
これがあるのは地味に嬉しいですね。
下部のボタン部分は光沢のある銀色になっています。

側面や背面から見た様子は以下の通り。
さすがに薄いですが、端子の数はやはり少なめです。

東芝 dynabook R632 右側面
右側面の様子。 USB 端子が1つのみ。
この USB は青い USB 3.0 という新型で、データの高速なやり取りが可能です。
東芝 dynabook R632 左側面
左側面。 イヤホンジャックと、SD カードのスロットがあります。 USB はなし。
東芝 dynabook R632 背面
背面部。 USB が2つと、モニター接続端子(HDMI 端子、15 pin 端子)があります。
有線 LAN(インターネット)のケーブル端子も背面に付いています。

前面部の厚さはなんと 8mm、背面部は 16mm です。
非常に薄いのですが、この薄さのため側面に接続端子を用意できなくなっています。
右側面には USB 端子が1つだけ、左側面も SD カードとイヤホンの端子があるのみです。

主な端子は後ろに用意されており、背面には USB が2つと、モニター接続端子(D-sub 15pin、HDMI 端子)、そして有線 LAN ケーブルの端子が用意されています。

しかし背面にある端子はやや使い辛く、いくらウルトラブックとはいえ側面の端子が USB 1つと SD カードのみというのは、さすがに少ない印象が拭えません
使用時には USB ハブ(USB のタコ足)を用意しておきたいところですね。
もちろん CD/DVD ドライブもないので、ディスクを使う時は外付けのものを用意しておく必要があります。

通気は背面と底面から行うようになっており、CPU の真下にはドーム状の通気口があります。
その部分を塞ぐような使い方は避けるべきなので、布団やカーペットの上に置いて使うのは勧められません。

以下の表は、サイズや重さを(2012年7月現在)発売されている他社の主要なウルトラブックと比較したものです。
それぞれの特徴を知る参考にして頂ければと思います。

東芝 富士通 ソニー NEC デル マウス ユニットコム HP レノボ ドスパラ
dynabook
R632
LIFEBOOK
UH75/HN
VAIO T Lavie G
タイプ Z
XPS 13 LuvBook X Lesance
NB S3431
ENVY-4 IdeaPad
U310
PrimeNote
Altair F-5E
画面サイズ 13.3型 14型 11.6型 13.3型 13.3型 11.6型 14型 14型 13.3型 14型
重さ 1.12Kg 1.44Kg 1.42Kg 875g 1.36kg 985g 1.64kg 1.77kg 1.68kg 1.7kg
厚さ 16mm 16mm 18mm 15mm 18mm 17mm 19mm 20mm 18mm 21mm
横幅 316mm 327mm 297mm 313mm 316mm 298mm 333mm 340mm 333mm 348mm
縦幅 227mm 225mm 215mm 209mm 205mm 194mm 230mm 236mm 225mm 235mm
バッテリー 9時間 9時間 6.5時間 8時間 9時間 5.5時間 5時間 7.5時間 6時間 5.5時間
記録装置 SSD HDD+SSD HDD+SSD SSD SSD SSD HDD+SSD HDD+SSD HDD+SSD HDD+SSD
CPU
(Core i)
i7-3667U
i5-3317U
i7-3667U
i5-3317U
i7-3517U
i5-3317U
i5-2467M
i3-2367M
i7-3517U
i5-3317U
i7-2637M
i5-2467M
i5-2467M i5-2467M i5-3317U i5-3317U i7-3517U
i5-3317U
有線 LAN × × ×
WiMAX × × × × × × × ×
Bluetooth × × ×
価格 (万) 13〜18 13〜20 5〜15 11〜14 9〜13 9〜11 6 7 8 7〜9
備考 性能最高 サイズ小型 ナスネ連携 世界最軽量 バランス型 軽量モデル 通販最安値 一般最安値 かなり安め CD/DVD有

※ CPU の性能は以下を目安にして下さい。
 (Ivy Bridge(2012年型):i7-3667U = 2〜3.2GHz、i7-3517U = 1.9〜3GHz、i5-3317U = 1.7〜2.6GHz)
 (Sandy Bridge(2011年型):i7-2637M = 1.7〜2.8GHz、i5-2467M = 1.6〜2.3GHz、i3-2367M = 1.4GHz)
※有線LAN端子、WiMAX、Bluetooth は別売りの USB アダプタを付ける事で利用可能です。上記の有無は本体に内蔵されているかどうかです。
※重さ、本体サイズ、バッテリー持続時間は全て公称です。


 独自機能の解説/検証 (dynabook R632、東芝 SSD)

東芝のノートパソコンには様々な独自機能が内蔵されています
それは東芝のテレビやビデオと連携する「レグザリンク」や、フル HD 画質ではない映像をフル HD 相当で表示する「レゾリューションプラス」、起動時間を速くする「東芝高速スタート」や省電力機能「エコモード」など、多様なものが存在します。
もちろんセキュリティを強化する「指紋認証」や「顔認証」など、一般的な機能も一通り備わっています。
機能面で言えばウルトラブックの中でも最高クラスと言って良いでしょう。(ウルトラブックは薄型軽量にするため、機能を削っているものが多いのです)

ここではウルトラブックである R632 にとって重要な、「高速スタート」と「エコモード」についてご紹介しておきたいと思います。


● 高速スタートモード

ウルトラブックは「起動が速いこと」もその条件となっています。
よって各社ともウルトラブックには独自の高速化技術を盛り込んでいるのですが、東芝がウルトラブック用に開発したのが、この「東芝高速スタート」です。

BIOS(パソコンの立ち上がり時に作動する基本システム)や、起動に関係するファイルの読み込みなどをチューニングし、起動時間を高速化したもので、この機能によって R631 は 2011 年の段階では、13 型のノートパソコンとしては世界最速の起動時間を誇っていました。
もちろん R632 にもその機能は搭載されています。

パソコンを終了させる時にメニューボタンから「高速スタートモード」を選ぶことで、次回起動を高速化させることができ、公称では「7秒で起動する」と言われています。
以下が実際に計測してみた時の画像です。

東芝 dynabook R632 高速スタート使用 東芝 dynabook R632 高速スタート不使用
「高速スタートモード」 はパソコンの電源を落とす時に使用するもので、使っておくと次回起動が速くなります。
ご覧のように使用するとデスクトップまで約8秒で表示。
おそらく今回も世界最速でしょうね。
こちらは高速スタートモードを使わなかった場合。
それでも約 11 秒でデスクトップが表示されます。
ぶっちゃけ、使わなくても十分速い。
そこいらの PC の高速起動より速いです。

ご覧のように電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで、約8秒前後でした。
ほぼ公称通りといったところでしょうか。
高速スタートモードを使わなくても 11 秒ほどで起動するので、別に高速スタートでなくても十分に「超高速」と言えます。

ちなみに R631 は高速スタートを使って 15 秒、使わずに 18 秒ほどだったので、昨年の世界最速を大幅に更新していることになります。
これはおそらく高速スタートの改良だけでなく、後述する内蔵 SSD の高速化の影響が大きいのだと思いますが、いずれにせよ「めちゃ速い」ですね。

なお、スリープからの起動はほぼ一瞬です。 これは電源を入れるかフタを開いた直後に起動するので、計測とか無理なレベルです。


● エコモード

これは現行の東芝のモデル全てに搭載されている機能で、簡単に言うと「超省電力モード」です。
エコモードにするとピークパワーが落ち、画面もやや暗めになってスリープに入るのも早くなりますが、消費電力が軽減され、バッテリー持続時間も大幅に伸びます。

エコモードを使用すると消費電力のモニターが表示され、その変化をグラフで確認することができます。

東芝 dynabook R632 エコ・ユーティリティ
消費電力を確認できる TOSHIBA eco ユーティリティ。
液晶表示が暗くなりますが、外出中に長時間使う時は eco モードの方がバッテリーがよく持ちます。
eco モードの ON/OFF はキーボードの隅にあるボタンで何時でも切り替え可能です。

いかにも「俺の省電力っぷりを見ろ!」という感じですね。
消費電力はエコモード中はアイドル状態で 10〜11 W前後、そして高負荷をかけても 20 Wを越えなくなります。

エコモードがオフの場合、アイドル中の消費電力は 12〜13 Wほどになり、高負荷をかけると 30 W を越えます。
しかしエコモードがオフでも普通に「超省エネ」と言えるレベルですね。

ウルトラブックは薄く小型に作る必要があり、どうしてもバッテリーは小さくなりますが、それでいて長時間駆動が求められますから、必然的に超省エネ型になります。
この点はウルトラブックを開発しているメーカーはみんな苦労している部分ですが、こうした面はやはり国産メーカーの方が一日の長がある印象です。

他にも東芝のパソコンには、解りやすい内蔵マニュアルや、PC診断ツール、引っ越しツール(データ移行ソフト)、独自のインターフェイスのファイル表示機能などが備わっています。
これらはパソコンに詳しい人だと無理に必要ないものですが、便利なものも多くありますね。
また東芝のパソコンは、一昔前のメーカー製パソコンのように余計な宣伝ソフトがてんこ盛りという事もありません。
初期起動するツールは簡単にオフ出来るようにもなっています。

東芝 dynabook R632 dynabook board 東芝 dynabook R632 bulletin board
パソコンの状態を調べられる dynabook Board。
ここから様々なツールにアクセスすることができます。
パソコンの前に人がいるかどうかを検知してディスプレイを ON/OFF する Active Display 機能も用意されています。
最近使ったファイルを大きく表示する Bulletin Board。
ファイル共有サービス Evernote に対応しており、手軽にファイルの送受信が行えます。
必要ない場合は簡単に OFF にすることも出来ます。
東芝 dynabook R632 引っ越しナビ 東芝 dynabook R632 内蔵マニュアル
「引っ越しナビ」。 以前使っていたパソコンからのデータの移行を簡単に行える便利なシステム。
東芝PCからの移行しか動作保証されていませんが、データ移行は買い換え時の大きな問題なので、あると助かります。
「パソコンで見るマニュアル」。 こうした初心者向けの機能が充実しているのは国産メーカー品の強みです。
PDF ではなく、ちゃんと1つのソフトとして作られているので、利用しやすくて見やすいです。


 性能の検証 (dynabook R632/W1RF、Core i5-3317U、東芝 SSD)

ここからはベンチマークソフト(パソコンの性能測定ソフト)を使った、性能の検証と報告を行っています。

今回検証している Dynabook R632/W1RF は廉価型モデルで、CPU は中間型の Core i5 が搭載されています。
上位型モデルには Core i7 が搭載されているのですが、それよりも基本性能はやや低くなります。
モデルの違いによって性能に差があることを予めご了承下さい

さて、では実際に R632 がどのぐらいの処理能力を持っているのか?
以下は性能測定ソフト「PCmark 05」で各パーツの速度を計測した結果です。

Dynabook Satellite
T571 / W4MD
Dynabook
R631 / W1TD
Dynabook Satellite
R632 / W1RF
タイプ 17インチ大型ノート ウルトラブック ウルトラブック
CPU Core i5 2430M
(2.4〜3GHz、コア2)
Core i7 2677M
(1.8〜2.9GHz、コア2)
Core i5 3317U
(1.7〜2.6GHz、コア2)
メモリ 4GB DDR3 8GB DDR3 4GB
HDD HDD 500 GB SSD 128 GB SSD 256 GB
測定結果 東芝 dynabook T571 東芝 dynabook R631 東芝 dynabook R632
CPU スコア 7161 8260 7844
メモリスコア 7277 9505 9314
グラフィックスコア 3949 4690 5759
HDD/SSD スコア 5128 18589 62655

以前検証した R631 には Core i7 が搭載されていたため、CPU のスコアは R632 の方が低くなっていますが、R632 も上位型(Core i7 搭載モデル)なら R631 より高くなるはずです。

また、今回の検証機に搭載されているのは Core i5 ですが、Ivy Bridge(アイビーブリッジ)と呼ばれる 2012 年の新型です。
R631 に搭載されている昨年型(Sandy Bridge)の Core i7 と比べても、大きな性能差はありませんね。 メモリのスコアも R631 と大差ありません。
新型の CPU は内蔵グラフィック機能が強化されているため、グラフィックのスコアは R632 の方がやや高くなっています。

ちなみに2012年7月現在、最新型 Core i7 の上位のもの(Core i7-3667U)を搭載できるウルトラブックは、東芝の Dynabook R632 と、富士通の LIFEBOOK UH75 のみです。
つまり R632 は、現行のウルトラブックで最高クラスの処理能力を持っている事になります。

そして注目なのは、データの読み書きの速度を示す HDD Score。
このパソコンの場合は SSD の読み書きの速さになるのですが、R631 と比べて圧倒的に速くなっています。
R631 が 18500 なのに対し、R632 はなんと 60000! その差3倍以上!
あまりの速度差にビックリして、測定ミスしたのかと思い、何度も測定し直したぐらいです。 でも何度やっても6万以上のスコアが記録されました。

と言う訳で、HDD や SSD の速度を計る専門のソフト Crystal Diskmark でその速度を詳しくチェックしてみました。
結果は以下の通りです。

R631 搭載 SSD 一般新型 SSD (Micron C400) R632 搭載 SSD
SSD 東芝 dynabook R631 SSD RealSSD Micron C400 SSD 東芝 dynabook R632

ご覧のように R632 に搭載されている SSD(一番右)の速度は、R631(一番左)と比べると圧倒的に速いです。
R632 で使用されている新型のマザーボードは、HDD や SSD を接続する SATA 端子が新しいもの(SATA 3.0、これが新しい方がデータのやり取りが速い)になっていて、その影響も大きいと思われますが、同じ SATA 3.0 の他の SSD(上記の中央、Micron C400)と比べても速いスコアが出ていますね。
(この Micron C400 は結構評判の良い SSD なのですが、R632 の速度はその上を行っています)
(ちなみに HDD だと、新型でも上から 140、70、0.7、1.5 ぐらいの速度にしかなりません)

冒頭でも述べたように、今年の春に発売された東芝の SSD はその速度に定評があります
昨年までの東芝製の SSD は、SSD としては明らかに遅く、耐久性や信頼性重視の設計だと言われていました。
しかし遅い遅いと言われて奮起したのか(?)、今年のものは他の有名 HDD/SSD メーカーのものと比べても、トップを争える速度を持っています。
R632 はその東芝の新型 SSD が搭載されているため、これがかなりの実行速度の向上に繋がっている模様です。

と言う訳で、パソコンの用途別の速度を計測するソフト PCmark7 でもテストを行ってみました。
結果は以下の通りです

  • Lightweight suite
    (画像処理、ワード/エクセル処理、ブラウザタブ切替、画像・音楽転送速度、アプリ起動速度の総計)
    • Dynabook R631 : 2790
    • Dynabook R632 : 4236
  • Productivity suite
    (ワード/エクセル処理、ブラウザ表示速度、クイックスキャン速度、アプリ起動速度の総計)
    • Dynabook R631 : 2476
    • Dynabook R632 : 3417
  • System storage suite
    (スキャン速度、画像と動画の読込/書込、アプリとゲームの起動速度、メディアセンター動作の総計)
    • Dynabook R631 : 3418
    • Dynabook R632 : 5371

各項目で R631 より高くなっていますね。
今回の検証機の CPU は前回調査した R631 より下位なので、この差は新型 SSD の速度差から来ているものだと思われます。

と言う訳で、この SSD の違いの影響により、R632 は R631 よりかなり上の性能を持つという事が解りました
パソコンの性能はカタログスペックや CPU だけに注目しがちですが・・・ 実際に使ってみないと解らないものですね。

※ただし、東芝ダイレクトのウルトラブック選択ページ(こちら)には 【Web直販だけの高速SSD搭載】 という表記があります。
そのため店頭販売モデル(R632/28F)には、この新型 SSD は搭載されていないかもしれません。 ご注意下さい。


なお、このパソコンは 3D グラフィックのゲームが出来るようなグラフィック性能は持っていませんが・・・
一応、新型の CPU は内蔵グラフィック機能も向上しています。
そこで 3D グラフィックのゲームの実行速度を測るテストも行ってみました。 結果は以下の通りです。

R631 / W1TD R632 / W1RF
CPU Core i7 2677M Core i5 3317U
内蔵グラフィック機能 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 4000
3Dmark 06 4047 5383
FFXI ベンチ High 測定 3984 3809
モンスターハンター 2291 3219
モンスターハンター 絆 1904 2408
モンスターハンター 大討伐 1712 2346
大航海時代 Online 最高設定 488 447

数値だけではよく解らないと思いますが・・・ 残念ながら、10 年ぐらい前のゲームである FFXI でも高画質にするとコマ送り状態になってしまいます。
また、古いグラフィック技術が使用されているゲーム(FFXI や大航海時代 Online)だと CPU の性能が大きく影響するため、今回の検証機の CPU が Core i5 であったことから、スコアは R631(Core i7 搭載機)の方が高くなっています。
最近のゲームであるモンスターハンターの計測だとそれなりに動いていて、スコアも R631 より高かったのですが、快適にプレイできるかどうかは微妙なレベルですね。

それにグラフィック機能を酷使していると、冷却ファンが「フォーン」と高速で回り、薄い本体なので熱がキーボード側にダイレクトに伝わってきます。
ちょっと心配になるレベルなので、このパソコンでゲームをやるような事は考えない方が無難でしょう。
もちろん 3D グラフィックを使わない軽いものであれば、CPU のパワーは十分にあるので遊ぶことはできますが。

ゲームに必要な性能に関しては、3Dグラフィックのゲームをやるためのパソコンアドバイス のページも参考にして下さい。

なお動作音についてですが、通常の使用ではほとんど聞こえないレベルです。
グラフィック性能の測定時には大きめのファンの音が鳴り始めましたが、普段の使用でそうなることは滅多にないでしょう。
また、消費電力が 30 W を越えるとファンが高速で回り始めるようなので、消費電力を 20 W までに抑えるエコモードの場合、負荷をかけてもファンの音が大きくなる事はありません。
(その分、ピーク時の処理能力は落ちます)

いずれにせよ、消費電力の低さと SSD のおかげでほとんど動作音は聞こえないので、静音 PC と言っても良いレベルだと言えます。




以上、東芝のウルトラブック 「dynabook R632」のレビューでした。

実は今回、貸し出しのお話を受けた時、嬉しかった反面、ちょっとレビューし辛そうだなぁ、とも思っていました。
なぜなら外見が R631 と全く変わっておらず、機能的にも変化がないため、中身が入れ替わっていてもほとんど R631 と大差ないだろうと思っていたからです。
これでは前と同じレビューしか書けません・・・

しかし実際に使ってみると、明らかに前より速い。
しかもよく調べて見ると他社のウルトラブックより上位の CPU を選択可能で、さらに計測してみると搭載されている SSD がメチャ速い。
つまり処理性能的には、実は2012年最強のウルトラブックだった訳です。 見た目は同じですが、中身は予想以上に違っていました。

2012年は各社の特徴的なウルトラブックが登場し戦国時代と言える状況になっていますが、ウルトラブック最高の性能を持ち、WiMAX や有線 LAN 端子などが一通りそろっていて、薄さや軽さも高水準、さらに起動速度も最速のこのマシンは、価格はやや高めですが、性能や機能を重視して選ぶのであれば今年も「本命」と言って良いでしょう。

(販売価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記リンク先でご確認下さい)

東芝 dynabook R632 ultrabook 東芝 dynabook R632 (Ultrabook)

・Web 販売モデルと一般店頭用モデルは CPU や SSD が異なります。
 (Web 販売モデルの方が上位です)
・当ページの検証は WEB モデルの方で行っていますのでご注意下さい。
・Microsoft Office 搭載モデルと未搭載モデルがあります。
・Web 購入のみ「クーポン番号」による割引が受けられます。



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