○ 実機レビュー (2014年 秋モデル、デスクトップPC)
  ドスパラ GALLERIA XF(2014年モデル)レビュー

ドスパラ ガレリア2014年秋モデルの、ドスパラ(Dospara)のデスクトップパソコン「GALLERIA(ガレリア)XF」を試用できる機会があったので、そのレビューをお届けいたします。

ドスパラはゲーミングモデル(ゲーム用途を考慮したパソコン)に注力しているメーカー「サードウェーブ デジノス」(以下 デジノス)のグループ企業であり、販売部門になります。
ドスパラ・デジノスは多くのゲームメーカーと提携し、高いグラフィック性能が要求されるゲームを快適に動かせるパソコンを用意しており、その分野では老舗と言えます。
「GALLERIA(ガレリア)」はそのゲーミングモデルのブランド名です。
もちろん最新のゲームが動かせるほどの性能があれば、他のどんな用途でも快適に使うことが出来るでしょう

今回試用させて頂いた秋モデルの GALLERIA XF は、先日公開されたばかりの最新型ビデオカード「GeForce GTX 970」を搭載しています。
従来よりも一回り高い性能を持ちつつ、消費電力と発熱を大きく軽減させた製品で、それは動作音の低下などにも繋がっています。
CPU も今年公開された最新上位型(Haswell Refresh の Core i7)が使われており、現時点の最高クラスのスペックですね。
それでいて最上位のパーツを使っている訳ではないため、価格は抑えられており、コストパフォーマンスに優れます

GALLERIA XF はドスパラで販売されている製品の中でも、もっとも売れ筋のモデルのようで、実際に私もパーツの構成から考えて一番オススメ出来ます。
以下ではパソコンの詳細を、内部のチェックやパーツの性能検証と共にお伝えいたします。

実機レビュー





















 パソコンの概要

GALLERIA XF は ガレリアシリーズ のラインナップの中では「中の上」ぐらいのモデルになります。
中の上と言っても、パソコン全体から見れば間違いなくハイスペックモデルであり、性能を重視する人を対象にしたパソコンです。

ドスパラ ガレリアXF

ドスパラ・デジノスのパソコンの名前は、モデルチェンジが行われてもあまり変化しません。
そのため同じ GALLERIA XF でも、発売時期によって中身は違うのでご注意下さい。

今回の GALLERIA XF は 2014 年の10月にモデルチェンジしたばかりのもので、前述したように最新のビデオカード「GeForce GTX 970」を搭載しています。
最上位が GTX 980 で、その1つ下。 1つ下と言っても間違いなく上位モデルで、詳しくは後述しますが、性能は相当なものです。
CPU は Core i7-4970 で、上位型 CPU「Core i7」の、一般型の最上位のものになります。

構成としては「買いやすい値段の中で、今一番上の組み合わせ」だと思えば良いでしょう。
これ以上の構成になるとお値段は跳ね上がります。

ドスパラ・デジノスのパソコンの特徴は、オーソドックスな大型のケースを使っているものが多いこと。
小さい方が置き場所に困りませんが、内部のスペースが広いほど通気性は良くなり、熱がこもりにくくなります。
ゲーミングパソコンは高負荷で長時間駆動する場合が多いため通気性が重要で、ドスパラのゲーミングモデルは「ゲームが快適に動くこと」を優先しているため、あえてコンパクトにしていないようです。

また内部が広いほどパーツを追加しやすく、拡張性が高くなり、本体がオーソドックスなこともパーツの交換しやすさに繋がっています。
そのためパソコンの上級者の方にも人気がありますね。

今回試用したマシンの構成は以下の通りです。

【 GALLERIA XF (2014秋)

OS  Windows 8.1 64bit
CPU  Core i7-4790
(Haswell Refresh、3.6GHz〜4GHz、4コア/8スレッド)
メモリ  DDR3-1600(PC3-12800) 8GB
HDD / SSD  2TB HDD(東芝製 DT01ACA200)
グラフィックカード  GeForce GTX 970、VRAM 4GB
マザーボード  H97 チップセット
構成価格  139,980 円
(2014年11月現在。 税別、モニター別売り)

税込みだと 15 万円ほどになる構成です。
Windows 8.1 がインストールされたものと、Windows 7 がインストールされたものがありますが、今回試用したのは 8.1 の方です。
価格は Windows 7 の方が 3000 円ほど高くなります。

CPU の変更やメモリの増設、HDD や SSD の追加なども可能で、このハイスペック構成で記録装置が HDD だとそこがボトルネック(速度の足かせ)になるため、予算に余裕のある方は SSD を追加するのも良いでしょう。
電源ユニットや CPU クーラーの変更など、様々なパーツをカスタマイズ可能で、この選択の広さもドスパラの利点です。


 パソコンの外観と内部 (ガレリア専用 KT ケース)

ガレリアのデスクトップ(タワーモデル)は最上位の GALLERIA ZF 以外、ケースを選択可能です。
通気性重視のゲーミング用ケースや、拡張性重視の大型タワーケースも選択できますが、ここではガレリアの標準ケースで解説を行います。
(他社製のものは市販ケースなので価格は高くなります)

なお、このガレリアの標準ケースは 2013 年にマイナーチェンジし、外観が少し変わっています。

ドスパラ GALLERIA(ガレリア) 外観 ドスパラ GALLERIA(ガレリア) 前面
前面の面取りは「刀」をイメージしているとのこと。
つや消しブラック一色の、シックなデザインですね。
前面 USB は2つで、SD カードリーダー付き。
昨年のマイナーチェンジで下部がメッシュになりました。

正面の角が大きく面取られているのが特徴ですが、あまり目立つ装飾のない、ほぼ真四角で黒一色のシンプルなデザインです。
やや地味ですが、どこに置いても違和感のないデザインですね。
表面にはザラザラのつや消し加工が施されています。

サイズは高さが 45 cm、幅は約 21 cm、奥行きは約 52 cm。 前述したようにやや大きめです。

前面の下部はメッシュ(網目)になっていて、ここが吸気口になっています。
さらにこのケースは側面、天井、底面など、全ての方向に開口部があり、通気を重視した設計になっています。
底には少し高さのあるゴム足が付いており、これには振動を弱める素材が使われているそうです。

底面からの吸気を活用するため、できればカーペットの上には置かない方が良いでしょう。
USB 端子や電源スイッチなどが中央やや下部にあるため、どちらかと言うと床置きではなく、テーブルの上に置くのを想定していると思われます
吸気口が多いのは、冷却が重要になるゲーミングモデルらしいですね。

前面の USB 端子は 3.0(青色で、3.0 対応機器なら高速になる)が2つ。
以前のケースは4つだったので減っていますが、代わりに SD カードリーダーを標準装備しています。

背面には USB 3.0 が4つ、USB 2.0 が2つ。 スピーカー用の端子と、マウスやキーボードを差す PS/2 ポートが2つあります。
ビデオカメラなどで使われる IEEE 1394 や、外付け HDD に使う eSATA などの端子はありませんが、これらは USB 3.0 の普及によってあまり使われなくなっているので、なくなるのも時代の流れでしょうか。

内部の様子は以下のような感じです。

ドスパラ GALLERIA(ガレリア)XF 内部 CPU周辺 ドスパラ GALLERIA(ガレリア)XF 内部 前面側
CPU 周辺。 天井部分にも排気ファンがあるのが特徴。
中が広いため手を入れやすく、メモリの着脱も簡単。
前面部。 HDD ベイはカートリッジ式です。
5インチベイがたくさんあるので、何か付けたいところ。
ドスパラ GALLERIA(ガレリア)XF 内部 全景 ドスパラ GALLERIA(ガレリア)XF マニュアル
内部全景。 VGA に覆い被さっているのが専用ファン。
このファンでビデオカードを効率的に冷やせる模様。
付属のスタートアップガイドはカラーで図が豊富。
マニュアルの解りやすさもドスパラの良い点です。

本体が大きめな分、中も広くなっています。 これだけスペースがあれば通気性は良いでしょう
天井には排気ファンが標準装備されていて、前面のファンから吸気した空気は背面の排気ファンに流れていき、天井の排気ファンによって底面からも空気を吸い上げるエアフロー(気流)になっているようです。
ファンが多いと騒音が心配になりますが、静音ファンが使われているため、動作音は大きくありません
側面にも開口部があり、オプションで追加のファンを付けることも可能です。

また GeForce GTX 970 や GTX 980 などの、上位のビデオカードを搭載するモデルには、ビデオカード専用の冷却ファン「ジェットストリームファン」が装着されています
これは市販もされている追加ファンですが、オプションではなく標準装備であり、これにより高負荷のゲームを長時間プレイしても安定して動作するようです。
こうしたファンが標準で付いているのは、ゲーミングモデルらしいですね。

5インチベイ(CD/DVD ドライブの収納場所)は4つ、3.5 インチベイ(HDD の収納場所)も5段あり、これらに装着するパーツの増設で困ることはなさそうです。
拡張スロットは PCI Express x1 スロットが2つ、PCI Express x4 スロットが1つ、PCI スロットが2つ。
PCI Express x1 スロットは1つがビデオカード直下なので使えませんが、まだ PCI Express 2つと PCI 2つが残っています。
拡張性は高いと言えますね

また、本体とは直接関係ないのですが、ドスパラのパソコンに付いているスタートアップガイドは全ページカラーで解説図も多く、とても解りやすいものになっています
パソコンのお手入れの仕方など、他社のマニュアルにはないような項目まであるので、初心者の方の助けになりますね。


 性能の検証 (Core i7-4790、GeForce GTX 970)

ゲーミングモデルの一番重要な点は、ゲームや高負荷な作業をどれだけ快適に行えるかでしょう。
以下ではベンチマークソフト(性能測定ソフト)を使った検証結果を報告します。

まずは今回の検証機のパーツ構成について。

CPUCore i7-4790。 この夏に登場したばかりの Haswell Refresh(ハスウェル リフレッシュ)と呼ばれる、2014 年型の最新 CPU です。
4コアの CPU で、クロック数は 3.6GHz、最大 4GHz で動作。
Haswell Refresh は以前の Haswell(2013年型)とほとんど変わらないと言われていますが、動作クロックは若干上がっています。

ビデオカード(グラフィックカード、VGA) は10月に発表されたばかりの GeForce GTX 970
下2桁の数字が 50 と 60 はミドルクラス、70 と 80 はハイクラスになります。 つまり 970 は上の下と言えますね。
GeForce 900 シリーズは以前の 700 シリーズより一回り高い性能を持っており、さらに消費電力が大幅に軽減されているのが特徴です。
これにより、騒音や発熱も抑えられています。

メモリは 8GB で、現在主流の「DDR3」の一般的なもの。(DDR3-1600)
データ記録装置は 2TB の HDD が使われていて、かなりの大容量。 今回は東芝の製品が搭載されていました。

では、この構成でどのぐらいの速度が出るのか・・・ 結果は以下の通り。
今回の検証機は一番右で、比較対象として他のパソコンも併記しています。

マウス G-Tune
NEXTGEAR-MICRO
im520
グッドウィル
REGALIA
Enforcer-i7k
ドスパラ
ガレリア XG-A
ドスパラ
GALLERIA XF
時期 2013年 夏モデル 2013年 春モデル 2013年 年末モデル 2014年 秋モデル
価格 69,930 円 174,900 円 179,980 円 139,980 円
CPU Core i3-3240
(3.4GHz、2コア)
Core i7-3770K
(3.5GHz、4コア)
Core i7-4770
(3.4GHz、4コア)
Core i7-4790
(3.6GHz、4コア)
メモリ DDR3-1600 8GB DDR3-1600 16GB DDR3-1600 8GB DDR3-1600 8GB
VGA GeForce GTX 650 GeForce GTX 680 GeForce GTX 780 GeForce GTX 970
記録装置 HDD(東芝製) HDD(WD製) HDD(シーゲイト製) HDD(東芝製)
PCmark05
CPU 測定 4スレッド
(10753) 14312 15084 15006
CINE BENCH 11.5
CPU 測定 最大スレッド
3.32 7.50 8.04 8.29
PCmark05
HDD/SSD 総合測定
7156 9123 7885 10235
PCmark7 Lightweight
軽処理能力総合
2486 2640 3150 3265
PCmark7 Productivity
読込/書込能力総合
1835 2066 2025 2257
グラフィック
3Dmark06
総合 16120 29468 32933 35048
CPU 性能 4274 7314 7725 8318
グラフィック
3Dmark11
通常画質 P2820 P9675 P11754 P12513
高画質 X956 X3495 X4542 X4789
新生 FF XIV ベンチ
最高画質
4951 7830 12637 13944
モンハンオンライン 大討伐
1280x1024
6641 25560 31136 35209
ドラゴンクエストX
最高画質
8107 -- 13625 18780
測定結果一例
消費電力 アイドル時 50W 前後 60W 前後 60〜65W 45〜50W
消費電力 最大 110W 235W 315W 245W

CPU の測定は、昨年のモデル Core i7-4770 と、今回の検証機の Core i7-4790 で誤差程度の違いしか見られませんでした。
Haswell Refresh(2014年型)と Haswell(2013年型)の違いは名前だけ」と巷では言われているのですが、それを裏付ける恰好です。
とは言え、2012年型 Core i7-3770K を搭載したパソコンよりは明らかに上ですし、高性能であることは間違いありません
Core i7-4790 は現行の一般モデルの中では最上位クラスですからね。

ハードディスク(HDD)の測定も、昨年のモデルより良い結果が出ています。
近年の東芝の HDD や SSD は評判が良いのですが、その影響なのかスコアが 10000 を越えました。
このため総合的な速度を測る PCmark7 の測定でも、一回り高いスコアが出ています。
読み書きの速度を高速化したいなら、やはり SSD にすべきなのですが、HDD も徐々に進化しているのが解ります
(ちなみに SSD だとスコアは3万とか6万とかになります。 容量が少なく高額ですが)

そしてゲーミングモデルでもっとも注目すべきグラフィック性能についてですが・・・
GeForce GTX 970 の能力は、素晴らしいと言うほかありません。

GeForce GTX 780 のスコアを上回っており、つまり新しい「上の下」(GTX 970)は、1つ前の「上の上」(GTX 780)を越える能力を持っていることになります。
以前より「1.5 ランクほど上の性能」ですね。
(デスクトップ PC 用の GeForce 800 は存在しないため、GeForce 900 の1つ前は GeForce 700 になります)

そして注目したいのは消費電力。 ビデオカードはパソコンのパーツの中でも最も電力を必要としますが、GeForce 900 シリーズはそれが大幅に軽減されています
表を見ても解るように、GeForce 600 シリーズの頃と同じぐらいまで下がっていて、さらにアイドル時の消費電力も以前より抑えられていました。
そのおかげか、高負荷をかけていてもファンの騒音があまり大きくならず、静音性も高まっています

性能が高くて、エコ。 これはもう、文句ないですね。
発熱の低下により、高負荷で長時間駆動させた時の安定性も良くなっているはずですから、ますますゲーミングモデルに適していると言えそうです。




以上、ドスパラ・デジノスのゲーミングパソコン「GALLERIA XF」の 2014 年秋モデルのレビューでした。

ドスパラ・デジノスは BTO(受注組立。ユーザーによるパーツ選択)を早期に開始した事と、ゲーミングモデルを前面に出したことで、大きく成長したメーカーです。
その方面では信頼と実績があり、今は一般モデルやノートパソコンの販売も伸びているようですが、BTO によるデスクトップのハイスペックモデルが主力なのは変わりません。
ドスパラは元々パーツショップだったので、その傾向が今も続いていると言えますね。
一方でマニュアルが良く、変わったところのない扱いやすいパソコンであるため、幅広いユーザーに勧められます。

特にこの GALLERIA XF は、「ちょっとパソコンに詳しい人なら、このパーツを選ぶだろうな」と思うような構成に最初からなっています
長く使える性能になっているので、高過ぎない高性能 PC が欲しい人にオススメです。

(実売価格はキャンペーンや時期・構成などで変動します。 下記メーカーページでご確認下さい)

ドスパラ GALLERIA(ガレリア) ドスパラ ゲーミングPC 「ガレリア」シリーズ

上記のリンクはドスパラのガレリアシリーズの一覧ページに移動します。
今回レビューした GALLERIA XF はガレリアシリーズのモデルの1つです。
各モデルの構成や選択できるパーツは、在庫等により変わる場合があります。
OS は Windows 8.1 と Windows 7 を選択可能です。
モニターは別売り(同時注文は可能)。 キーボードとマウスは付属しています。



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