2011年の11月末日、東京・秋葉原のマウスコンピューター本社で |
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【 マウスコンピューターの見えない「こだわり」 】 特にアピールされていたのは、ニーズに応じて使用するパーツやマザーボードを改良し続け「自作では出せない良さ」を引き出しているという点です。 例えばマウスコンピューターのマザーボードは自社で設計しており、スマートフォンの接続を行う人のために給電できる USB 端子を設けたり、発熱を軽減するためチップセットの位置を調整したり、拡張しやすいように SATA 端子の位置をミリ単位で変更するなど、市場に出回っているマザーボードとは異なる多くの工夫や改良を常に続けていて、「その辺で市販されているマザーボードとは全然違う」と言うのを強調されていました。 (自作では出せない点を強調していたのは秋葉原のメーカーらしいと言えそうです) また、電源部分に関する技術革新に力を入れているようで、必ず日本製の部品を使って信頼性を高め、「80 PLUS 認証」などの認定も受けており、長期保証が出来る程の品質になっていることが説明されていました。 三万時間以上(1日10時間使用で5年分)問題なく使用出来ることを基準に負荷テストを重ね、電源は「全く問題ない」と言える程の信頼性になっていると解説されています。 実は以前のマウスコンピューターは電源部分の評判が良くなく、その信頼性が低いという話があったようです。 今回のカンファレンスでは電源の信頼性を強調し、「問題ない」と強くコメントされていて、そうしたイメージを払拭したい考えがあるのだと思われます。 動作テストに関しては、-5 ℃から +40℃ の環境でパソコンを動作させ続ける耐久テスト、輸送中に壊れることを防ぐ振動対策や梱包の信頼性テストなどを行っているとのことで、特に法人向けのパソコンはより厳重なテストを行っているそうです。 インストールされているソフトウェアにもこだわりを持っているとのことで、マウスコンピューターのパソコンはプリインストール(最初から入っているソフトウェア)は少ないのですが、アンチウィルスソフトやオフィス系など、一般的なものはインストールされています。 アンチウィルスソフトは代表的なT社とM社の製品(要するにトレンドマイクロ社のウィルスバスターと、マカフィー社のマカフィーアンチウィルスですね)を実際にインストールして比較し、少しでも起動が速い方を選んでいるとのことで、実際に今年のバージョンは起動時間に2秒程の差が出ていたとのことです。 BIOS などの作成・改良も続けており、自作で使用される普及品の使いにくい部分を修正するなど、細かい改良を続けているとのお話でした。
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【 マウスコンピューター / G-Tune の売れ筋と新製品(2011/12) 】
まず、ゲーミングモデル(ゲームもプレイ可能な高性能なパソコン)のブランドである G-Tune のノートパソコンが人気だそうで、17 インチのフルハイビジョンディスプレイなどを備えた大画面モデルや、性能が高い 15 インチモデルなどが人気との事です。 一般的にノートパソコンはゲームには向かないのですが、「G-Tune のノートパソコン」はその例外と言えるため、それも人気の要因だと思われます。 ノートパソコンでも 3D グラフィックのゲームが可能なレベルのビデオカードを搭載し、HDD と SSD の双方にも対応、価格も「他社より明らかに安い。この点には自身があります」とコメントされていて、実際に他社の同クラスモデルとの比較が行われていました。 (3D グラフィックのゲームをやるために必要なパソコンの選び方については、こちら も参考にして下さい) デスクトップについては G-Tune の NEXTGEAR というやや小型のモデルが人気 NO.1 だそうで、ビデオカード「GeForce GTX 550 Ti」を搭載し約6万円のモデルが、安さもあって大きな人気になっているようです。 この価格帯のパソコンだと CPU はどうしても弱めになるのですが、ゲームにおいては CPU より VGA(ビデオカード)にお金をかけた方が動作が快適になるので、確かにゲーミングモデルとしてはこの構成の方がオススメできます。 (ただ、「どうせなら Core i7 のような高性能 CPU が欲しい」という意見も巷には多いですが・・・) 直近の新製品としては、「VGA Over Clock PC」と言うものを発売したそうです。 これは PC パーツメーカー EVGA との共同開発モデルで、オーバークロック用のソフトウェア「Precision」の日本語対応版を独占的に作って貰い、それを使って簡単にビデオカード(VGA)のオーバークロックができるのをウリにしているそうです。 最初からある程度オーバークロックをしている状態で販売し、CPU と VGA の双方を調整可能なモデルもこの12月に発売するとの事です。 (ただしオーバークロックによる故障は自己責任になります。 念のため) この Over Clock PC はパソコン上級者向けのモデルと言えますが、「上級者の方でもうちでPCを買えば、より手を入れやすくなるよ」というアピールのようで、この辺も秋葉原のメーカーらしいと言えますね。 なお、法人向け現行モデルのアピールも行われていました。 ネットカフェなどで使われる事を想定し、汚れや指紋が付きにくい加工、フタなどが壊れないようにするケース(開閉部自体をなくしている)、デザインよりも耐久性を重視、高温での長時間駆動テスト、コンパクトな設計と言った、個人向けよりも信頼性を重視した開発が行われているそうです。 サポート体制についてもアピールされていて、東北大震災の時には水没したパソコンも保証期間内なら修理対象としたそうです。(だからかなり赤字になったそうです・・・) 法人向けはさらに24時間+365日のコールサポートを実施しているとの事です。
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【 開発部より Sandy Bridge-E と Intel 製 SSD について 】 開発部からの技術アピールや、新パーツの特徴の解説なども行われていました。 ここはマウスコンピュータとしてのアピールと言うより、最新コンピューター技術の説明という感じですね。 やや上級者向けの内容なのでご了承下さい。 インテル社の技術開発部の方がゲストとして招かれており、新型 CPU の Sandy Bridge-E と、新型 SSD の Intel 510 / 320 の特徴が解説されていました。 Sandy Bridge-E はこの秋に発表された新しい CPU で、今年の春に発売された Sandy Bridge の後継です。 まだ登場したばかりなので安定した入荷状況ではないとの事ですが、今後の主力になる CPU と言えますね。 Sandy Bridge では初となるコアが6つある CPU が存在するのも特徴です。 ただ、あまり専門的な部分の説明は省きますが、巷のレポートでは「処理速度はそれほど大きく向上していない」と言った報告が行われています。 しかしマウスコンピューターの開発部の方によると、一番のポイントは CPU の基本性能の向上よりも、この CPU と新しいマザーボード(X79 チップセット)の組み合わせによる動作の安定化や発熱・消費電力の軽減、新技術への対応などのようです。 特にパソコンを開発する側から見ると、マザーボードの発熱が大幅に下がったのが大きいようで、本体内部の温度管理が非常にやりやすくなったそうです。 これは安定化や静音化などに大きく寄与します。 依然として CPU 自体の発熱は大きいのですが、マザーボード側の発熱はあまり取り上げられる事がないので、この点は PC 開発部ならではの話ですね。 また、この CPU で使うマザーボードは4つのメモリを組み合わせて使う技術(4チャンネル)に対応しており、最大8つの大容量メモリを扱える特徴があります。
ただ、インテル社の開発部の方との質疑応答によると、Sandy Bridge-E には現時点で CPU にグラフィック機能を内蔵しているものがないため、Sandy
Bridge の内蔵グラフィック機能を使用した動画のエンコード支援機能(Quick Sync Video)は、現時点では活用できないとの事です。 Intel 製の新型 SSD 「Intel SSD 510」と「Intel SSD 320」は、広く使われていた定番の SSD 「Intel X25-M」の後継です。 ただ、SSD 510 はランダムアクセス(バラバラに保存されているデータの読み書きの速度)が遅いという問題があって、この点を質問したところ、確かに用途によっては従来モデルより遅くなることもあるとの事です。 |
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【 今後の開発予定や iiyama ディスプレイなど 】 最後に今後の開発予定や、マウスコンピューターの傘下となっている iiyama ブランドのディスプレイのアピールが行われていました。 まず、インテル社が新たに制定したノートパソコンの規格「Ultra Book」に対応する製品の開発を進めているとの事です。 Ultra-Book(ウルトラブック)とは「Intel 製の高性能な CPU を搭載し、厚さが 21 mm 以下と薄く、高速起動でタブレットや携帯電話のような使い勝手の良さを持ち、1000 ドル(約8万円)以下の価格帯を中心とするノートパソコン」というもので、ユーザーにとっては夢のような(メーカーにとっては地獄のような)パソコンの規格です。 薄さに関するルールが厳しく、まだ公表できるほどの段階ではないそうで、これだけの要求を満たすのは簡単ではないでしょうね・・・ また、次期 Windows の紹介が行われていて、テスト起動の実演もされていました。 すでに次の Windows の動作を視野に入れた開発が行われており、「新しい OS を入れると動作に問題が起こる場合もあるが、うちのは動く!」とアピールされていました。 ちなみに次の Windows はタッチパネルに最適化したようなレイアウトになっていて、起動も非常に速いです。(現 Windows とは比べものにならないぐらい速い) 感じとしては「新しい Windows」と言うよりも、「Windows Mobile と PC の Windows の融合」と言った方が良い感じです。 次期主力 CPU と見られている「Ivy Bridge」を対象とした開発も当然進められていて、インテル側と協力して行っているとの事です。 一方、ディスプレイ開発の iiyama(イーヤマ)は以前は独立したモニターメーカーでしたが、2006年にマウスコンピューターの傘下となった企業で、長野県に大きな工場を持ち、現在そこはマウスコンピューターの生産拠点となっています。 ここを中心とした国内組み立てもマウスコンピューターのアピールポイントの1つです。 イーヤマのディスプレイは高い信頼性と、価格・性能のバランスの取れた製品が特徴で、この点を特にアピールされていました。 (私的にはディスプレイは、安さのLGとデル、バランスのイーヤマとHP、高くて高品質のEIZOと三菱、と言った印象です) 最近はデザインと品質管理にも力を入れており、イギリスでは有名なパソコン雑誌の表彰で「2011年度 ベストモニターメーカー賞」を与えられたそうです。 技術面では、高品質で広い視野角を持つ「IPSディスプレイ」を低価格で提供している事と、省電力機能である独自の「ECO モード」の搭載、オリジナルの画質調整機能、自在に位置や向きを動かせる「パーフェクトスタンド」などをアピールされていました。 また LED バックライトの搭載で、より薄く明るいディスプレイの開発を行っているとの事です。
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【 感想 】 ○ リンク : マウスコンピューター / G-Tune (マウスコンピューターのゲーミングモデル) |
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