サウンドカード 解説メニュー |
サウンドカードってなに? |
サウンドカードとは、パソコンが出す「音」を処理するパーツです。
このパーツが高性能なほど、綺麗な音質の良い音が流れ、複数のスピーカーで立体的な音響を楽しめたりします。
昔はサウンドカードがないと、十分な音質を得られませんでした。
しかし近年はオンボード(マザーボード内蔵)のサウンド機能でも十分な音質であるため、音にこだわる人でない限り、サウンドカードはありません。
ただ、オンボードのサウンド機能にも性能に違いはあります。
たくさんのスピーカーで立体的な音響を楽しみたい、高性能なヘッドホンで迫力のある音を楽しみたい、という人もいるでしょう。
使用する音楽ファイルによっても音質は変わってきます。
音楽を聴くなら、やはりそれに関する知識は備えておきたいところです。
サウンドユニット(外付け)って? |
「サウンドカード」はパソコン本体に内蔵する「拡張カード」です。
拡張カードは PCI Express スロット(及び PCI スロット)という場所に取り付ける小型の基板です。
ただ、それを取り付けるにはパソコン内の PCI Express スロット周辺が空いている必要があり、小型のパソコンだと付けられない場合があります。
また、パソコンの中はノイズ(電磁波)が飛び交っており、これが雑音の原因になります。
高価なサウンドカードはノイズを遮断するカバーで覆われていますが、一番のノイズ対策は、サウンド機器をパソコンの外に出してしまうこと…
このため近年は USB で接続する「外付けサウンドカード」が普及しています。
外付けだとカード(基板)ではないので、サウンドカードとは呼ばず「サウンドユニット」や「オーディオユニット」とも呼ばれます。
もちろん USB の方が接続も簡単です。
他に、USB 接続の「DAC」や「アンプ」も市販されています。
DAC は「デジタル - アナログ・コンバーター」のこと。
パソコンで使う USB DAC は一般的に「高音質化するイヤホンジャック」として使われます。
通称「ダック」。
これを通してヘッドホンやイヤホンで音楽を聴くと、ノイズが軽減され、高性能のヘッドホンの機能も活かせる、豊かな音質になります。
アンプは音のボリュームを上げるもので、スピーカーに繋げるオーディオアンプ(プリメインアンプ)や、ヘッドホンアンプがあります。
大半のスピーカーや DAC はアンプを内蔵しているため、普通は必要ありませんが、こだわり派の人やサウンドクリエイターの方は個別にアンプを活用することもあります。
これらのサウンド関連の外付け機器は、総称して「サウンドデバイス」や「オーディオデバイス」とも呼ばれます。
もちろんスピーカーやヘッドホンもこれらに含まれます。
パソコンで本格的な作曲を行うことは「DTM」と呼ばれます。デスクトップミュージックの略です。
それには作曲用のソフト(DAW)、楽器を接続するオーディオインターフェイス、DTM 用のギターやキーボードなどの楽器が必要になります。
ただ、ここまで来ると音楽製作の話になり、パソコンの性能とは言えないので、ここでは省略します。
サウンド機能の性能とは? |
「音質」を数値で表わすのは難しいのですが… それでも機器によって違いはあります。
解りやすいところでは、対応しているスピーカーの構成や周波数(サンプリングレート)など。
細かいところでは、ノイズの少なさを示す S/N 比や、音質と音量に関わるインピーダンスなど。
ただしパソコンの音は、元となる音楽ファイルや、接続端子、スピーカーやヘッドホンにも影響されるため、パソコンのサウンド機能だけですべてが決まる訳ではありません。
スピーカーチャンネル数(サラウンド) |
モノラル、ステレオ、ドルビーデジタルなど、スピーカーの構成にはいくつか種類があります。
これは一般的に「チャンネル」を意味する「ch」の単位で表わされます。
- 1ch:スピーカーが1つの場合です。モノラルとも言います。
- 2ch:スピーカーが左右に2つある場合です。ステレオとも言います。
- 2.1ch:左右のスピーカー(ステレオ)に加え、低音用のスピーカー「ウーハー」がある形です。
- 4ch:前(フロント)に2つ、後ろ(リア)に2つ、計4つのスピーカーがある形で、車などで見られます。
- 5.1ch(6ch):正面、フロントの左右、リアの左右、ウーハーの計6つのスピーカーがある形。映画館やホームシアターの構成で、ドルビーデジタルサラウンドとも呼ばれています。
- 7.1ch(8ch):5.1 ch の上位版。正面、前方左右、側面左右、後方左右と、ウーハーの8つ。ドルビーデジタルプラスとも呼ばれます。
- 7.1.4ch(12ch):7.1 ch に天井用スピーカーを4つ付けた形。ドルビーアトモスとも呼ばれます。天井用のスピーカーは「ハイトスピーカー」と呼ばれます。7.1.2ch もあります。
- 他にも 5.1.2ch や 5.1.4ch など、様々な構成があります。
家にホームシアターやスピーカーセットがあって、それに繋げて音楽を楽しむのであれば、上記のスピーカーチャンネル数に対応した製品が必要ですが…
ただ、今はオンボードの一般的なサウンド機能でも 7.1ch に対応しています。
外付けのサウンドカードや音響機器も 7.1ch 対応が当たり前なので、あまり気にする必要はなくなっています。
もちろんスピーカーが2つしかない人も気にする必要はありません。
スピーカーセットを用意できないけど立体的な音響を楽しみたい方は、対応ヘッドホンを使う方が安上がりでしょう。
なお、音源(音楽ファイル)も立体音響に対応していなければ、十分な効果は得られません。
一般的に、ドルビーデジタル(5.1ch)以上は映画用の音源ですね。
S/N 比 |
S/N 比とは、シグナル(信号)とノイズ(雑音)の比率を表わす数値で、「dB」(デシベル)の単位で表わされます。
これが大きいほど信号の中のノイズの割合が少ない、つまり雑音が小さいことを意味します。
音には好みがありますが、ノイズは小さいに越したことはないので、音質を表わすもっとも解りやすい数値と言えます。
これが高いものほど音がクリアで、高性能と思って良いでしょう。
目安としては、パソコンのオンボードのサウンド機能は 95dB~100dB が一般的。
CD プレイヤーの S/N 比は 110 dB 前後が多く、それ以上なら高品質と言えます。
対応インピーダンス |
インピーダンスとは「電流抵抗」のことで、「Ω」(オーム)の単位で表わされます。
これが高いほど信号が通りにくくなり、音響機器の場合、音が小さくなってしまいます。
しかし特に高級品のヘッドホンやスピーカーには、かなり高いインピーダンスの製品があります。
高抵抗を利用して音作りをしたり、ノイズを軽減しているものがあるからです。
でも抵抗が高いほど音が小さくなるのですから… 元の信号が弱いとまともに聞こえなくなってしまいます。
逆にインピーダンスが低いヘッドホンやスピーカーは、抵抗がないので信号がそのまま通り、大きな音になります。
元の信号が弱くても大音量を出すことができます。
ヘッドホンやイヤホン、スピーカーには 8Ω や 16Ω などの低インピーダンスの製品や、100Ω や 300Ω といった高インピーダンスの製品があります。
低インピーダンスの製品は、ほぼどんな機器でも利用可能。
高インピーダンスの製品は、機器側も高インピーダンスに対応していないと効果を発揮しません。
サウンドカードやサウンド関連機器の場合、高インピーダンスに対応しているほど、色々なヘッドホンやスピーカーを使えることになります。
「高インピーダンス対応」という表記がない場合は、32Ω 以下のヘッドホンやスピーカーを使った方が無難です。
ジッター |
ジッターとは電気信号の「ゆらぎ」のこと。
一定の時間で、一定量の信号が、常に安定して送られていれば理想的で、音楽も滑らかに再生できますが、実際には時間ごとに送られてくるデータの量には、色々な理由で誤差が生じてしまいます。
これがヒドいとノイズの発生や、音質の低下に繋がります。
特に USB で接続する外付けのサウンドユニットの場合、データ転送の際にジッターが発生しやすく、これが大きな問題となります。
「低ジッター」をウリにしている製品は、時間を計測する水晶発振器を使ってジッターを減らしています。
USB 接続の場合、バッファ(一時的なデータ保管場所。製品内のメモリ)とアシンクロナスモード(非同期転送)を使って、データの転送量を固定してジッター対策している場合が多いです。
これらの機能があると、そのぶん値段が高くなりますが、ないよりも音質は安定しているはずです。
サウンドチップ |
マザーボードやサウンドカードに搭載されている、サウンドの処理を行うチップ(IC)です。
「オーディオチップ」とも呼ばれます。
現在、パソコンのマザーボードに搭載されているサウンドチップは、台湾の Realtek 社が開発している「ALC」シリーズの独占状態となっていて、以下のようなものがあります。
チップ名 | 普及年 | 対応 ch | S/N 比 | 対応 kHz | I²S |
ALC 4080 | 2020 | 7.1+2ch | 120dB | 192kHz | - |
ALC 1220 | 2017 | 7.1+2ch | 120dB | 192kHz | ○ |
ALC 1150 | 2013 | 7.1+2ch | 115dB | 192kHz | ○ |
ALC S1200A | 2019 | 7.1+2ch | 108dB | 192kHz | - |
ALC 898 | 2011 | 7.1+2ch | 110dB | 192kHz | - |
ALC 897 | 2019 | 7.1+2ch | 98dB | 192kHz | - |
ALC 892 | 2011 | 7.1+2ch | 95dB | 192kHz | - |
ALC 889 | 2009 | 7.1+2ch | 108dB | 192kHz | - |
ALC 887 | 2009 | 7.1+2ch | 97dB | 192kHz | - |
ALC 665 | - | 5.1ch | - | 192kHz | - |
ALC 662 | - | 5.1ch | - | 96kHz | - |
ALC 655 | - | 5.1ch | 86dB | 48kHz | - |
ALC 272 | - | 4ch | - | 192kHz | - |
ALC 262 | - | 2+2ch | 100dB | 192kHz | - |
ALC 250 | - | 2ch | 100dB | 48kHz | - |
色々表記していますが、2011 年以降で一般的なのは「ALC 892」より上。
それより下は参考表記だと思って下さい。
ALC 892 は低価格型ですが、これがもっとも普及しています。
ALC 898 はやや高音質なタイプですが、今はあまり見られません。
上位型は ALC 1150 や ALC 1220 ですが、使われているのは高級なマザーボードで、主にゲーミングモデル用の製品です。
ただ問題は… 搭載されているチップを調べ辛いこと。
高級品が載っている場合はそれがアピールされていると思いますが、そうでない場合はマザーボードの仕様書にも書かれていない場合が多いです。
(単に Realtek 製オーディオ としか書かれていなかったりする)
Windows で調べることもできず、マザーボードの BIOS でもチェックできないことが多いです。
パソコンを持っていて、どうしてもサウンドチップの種類を調べたい場合は…
マザーボードに付いているチップを直接見るしかありません。
Realtek のサウンドチップには、必ず「カニ」のマークがあります。
チップは 1cm 四方ほどの小さなものですが、マザーボードの隅の方に必ずあり、カニさんチップを見つけて写真に撮って拡大すれば、刻印されている型番を確認できるはずです。
ちなみにこの画像のチップは「ALC 892」ですね。
なお、マザーボード以外のサウンドチップには、Realtek 社製以外のものもあります。
サウンドカードや外付けのサウンドデバイスには、C-Media 社の「CM」シリーズや、VIA 社の「VIA VT」シリーズ、旭化成エレクトロニクスの「AK」シリーズといったチップが使われていることがあります。
入出力端子 |
サウンドカードや外付けのサウンドユニットは、スピーカーやヘッドホンを通して音を鳴らします。
でも、その接続部分でノイズが発生し、音に混じってしまう場合があります。
そのため接続部分(イヤホンジャック / ミニジャック)の材質を変えている場合もあります。
代表的なのは金メッキ。
金は腐食や錆が発生しないため、接触不良が起こりにくく、それが原因のノイズや音質低下を防ぐことができます。
ただ最近は、痛みやすいが金以上に電気を通す銀、金と同様に劣化しにくいロジウム、この両方を合わせた銀+ロジウムなどのミニジャックもあります。
昔からあるものはニッケルで、安価なためよく使われています。
サウンドカードの端子は、以下のようにカラフルに色分けされていることが多いです。
緑はフロント(前面)スピーカー用。2ch(ステレオ)のスピーカーやヘッドホンはここに繋げます。
黒はリア(後部)スピーカー用。
オレンジは後述する同軸デジタル音声端子、もしくはセンタースピーカー用。
青は他の機器からの入力端子で、赤(ピンク)はマイク入力となっています。
画像にはありませんが、白はサイドスピーカー用です。
ただし、以下のように色分けされていない場合もあります。
現在は各端子の役割は、自動認識、及び Windows や専用のソフトウェアで設定するようになっています。
よって色分けの必要はなくなっていて、色が付いていないことも多いです。
(識別やユーザーを迷わせないため、今でも色が付いている場合もあります)
スピーカー用の端子には「光デジタル音声端子」や「同軸デジタル音声端子」というものもあります。
どちらも「S/PDIF」という規格の端子で、デジタルデータで音楽を送るのが特徴。
専用のケーブルが必要ですが、デジタルなので接続部からノイズが入りません。
光デジタル端子は四角い端子(上記画像の一番右)ですが、丸いものもあります。
USB で接続するスピーカーもあり、これもデジタルで音楽が送られます。
これらのデジタル端子は前述した「ジッター」が発生しやすい問題があったのですが、近年になって端子が「I²S 接続」というものに対応し、ジッターを抑制できる製品も登場しています。
音声ファイルの性能とは? |
音質はサウンド機器だけでなく、元となる音楽ファイルにも影響されます。
ハードウェアの話ではありませんが、パソコンで音楽を扱う場合には重要なので、これも説明しておきましょう。
サンプリングレート |
サンプリングレートとは「kHz(キロヘルツ)」の単位で表され、音楽データの波形の細かさを表します。
例えば、44.1kHz(44100 Hz)だと、44100 回、1秒間に音の波形を記録しています。
つまりサンプリングレートが高いほど、細かく音が記録されるので、音質が良い訳です。
「サンプルレート」や「サンプリング周波数」とも呼ばれます。
一般的なサンプリングレートと、その音質は以下の通りです。
- 22.05 kHz:ラジオの音質
- 32 kHz:カセットテープの音質
- 44.1 kHz:CD と MD の音質
- 48 kHz:DVD の一般の音質
- 96 kHz:DVD の高音質
- 192 kHz:ブルーレイの最高音質
96 kHz 以上は「ハイレゾ」(ハイレゾリューション・オーディオ)とも呼ばれ、高音質とされます。
ただし、96 kHz や 192 kHz の音声を鮮明に聞くには相応のスピーカーやヘッドホンなどが必要で、聞き分けられる「耳」も必要になります。
また、サンプリングレートが高くなるほど、ファイルサイズは大きくなります。
一般的には CD の音質である 44.1 kHz が使われており、こだわりがないならこれで構わないでしょう。
ビットレート / ビット深度 |
ビットレートは「kbps」の単位で表され、音楽データに記録されている音の幅を表わします。
正式な単位表記は「kbit/s」(キロビット毎秒)で、時間あたりのデータ量を表わしているのですが… 音楽ファイルにおいては、こちらはあまり使われません。
ビットレートは高いほど、より低い音、より高い音、より小さな音もデータに記録されます。
ビットレートが低いと聞こえにくい音はカットされ、その分だけファイルサイズが小さくなります。
つまり高いほど音質が良い、と言えるのですが・・・
人が聞き分けられる音域には差があり、ビットレートが多少違っていても解らない人も多いです。
違いを感じるかどうかはスピーカーやヘッドホン、周囲の環境にもよります。
また、ビットレートを大きくすると、ファイルサイズは増大してしまいます。
CD のサンプリングレート(44.1 kHz)の場合、一般的な音楽ファイルのビットレートは以下のようになります。
- 32 kbps:低サイズの会話の録音などに使用
- 96 kbps:低音質の録音や、ネット動画の再生時などに使用
- 128 kbps:CD 音質での一般的なビットレート
- 160 kbps:DVD 音質(48 kHz)での一般的なビットレート
- 192 kbps:高音質なビットレート
- 256 kbps:かなり高音質なビットレート
- 256 kbps(VBR):可変ビットレート。音声が少ない時にビットレートを下げてサイズを節約
128 kbps と 256 kbps では、ファイルサイズは2倍違います。
ただ、最近は携帯音楽プレイヤーやスマートフォンのデータ記録量が増えていて、大きめの音楽ファイルでも問題なく入れられるため、高ビットレートの音楽ファイルの作成や販売も増えています。
正確には「ビット深度」と呼ばれるものが記録される音の幅(音波ひとつのデータ量)を表しており、16bit か 20bit が一般的、ハイレゾだと 24bit が多く、音楽制作現場では 32bit も使われます。
まったく圧縮されていない音楽ファイルの場合、44.1kHz で 16bit での録音だと 44100 x 16、ステレオならさらに x2 で、秒あたりの最大サイズは 1411200(1411kbps)となります。
これをビットレート 128kbps に変換すると、1411÷128=11 なので、元のデータを11倍圧縮していることになります。
もしこれをハイレゾのサンプリングレート(96kHz)にした場合、ビット深度が同じ(16bit)なら 96000 x 16 x 2 で 3072kbps になりますが、ビットレートが 128kbps のままだと圧縮率は24倍になります。(3072÷128=24)
これではむしろ音質が劣化する可能性が高く、サンプリングレートを上げた場合、ビットレートも上げないと、それに見合った音質にはなりません。
サンプリングレートを2倍にしたなら、ビットレートも2倍にするのが普通です。
また、ビット深度を 24bit にした場合、ビットレートも 16bit のときの 1.5 倍にする必要があります。
ハイレゾ音源ではビットレートは 380kbps 以上が一般的で、480 kbps がよく使われるようです。
(128 の x2 の x1.5 は 384)
ただし、実際のファイルサイズや音質は、次に述べる「音楽ファイルの形式」(フォーマット)にも左右されます。
フォーマット(ファイル形式) |
音楽ファイルには様々なフォーマット(ファイル形式)があり、それぞれサイズの圧縮率や、音質などが異なります。
ファイル形式は、ファイルの拡張子で判別できます。
以下に代表的なものを挙げておきます。
- Wave(.wav)
- Windows で一般的に使用されている、まったく圧縮されていない、そのまんまの音のファイルです。
よってファイルサイズが大きく、この状態で音楽が利用されることは通常ありません。 - MP3(.mp3)
- もっとも広く利用されている音楽ファイルで、サイズを Wave の約 1/10 まで圧縮することができます。
音質は CD と同等で、ジャケット写真や歌詞を付加することができます。
サンプリングレートは 32kHz、44.1kHz、48 kHz。
音楽圧縮ファイルとしては古い形式ですが、だからこそほとんどの音楽機器で使用可能で、今でも普及率は No.1 です。
- MP4(.mp4)
- MPEG-4 という動画や音楽のファイルの形式ですが…
この mp4 には色々な形式のデータを入れることができ、中身は mp3 だったり、後述する AAC だったりします。
動画で使われることが多いのですが、「色々な形式を含められる」というのを知っておきましょう。
なお、Apple 社が作った「.mov」も、同様に色々な形式を含められる動画ファイルです。
- AAC(.aac、.mp4、.m4a、.3gp 等)
- MP3 の後継として作られた音楽ファイルで、MP3 と同じくサイズを約 1/10 まで圧縮できます。
サンプリングレートは 96kHz まで対応可能。MP3 と同様にジャケット写真や歌詞を付加できます。
Apple 社の iPod や iPhone、及び iTunes で扱われている音楽ファイルが AAC(.m4a)なので、iPhone の拡大に伴って急速に普及しました。
2009 年に HE(High Efficiency)の AAC(HE-AAC)が登場、低いビットレートでの音質が改善されています。
ただ、高ビットレートでは変化はなく、拡張子なども変わりません。
- Apple Lossless(.m4a、.alac 等)
- アップル・ロスレスという、Apple 社の音質ロスがない形式。略称は「ALAC」。
音質の劣化なしで、音楽ファイルを約 1/3 から 1/2 ほどに圧縮します。
ビットレート(ビット深度)は 32bit まで可能。サンプリングレートは最大 384 kHz。
スピーカーのチャンネル数は8つ(7.1ch)まで対応しています。
iPhone / iPod で聴ける圧縮音楽ファイルとしては、もっとも高音質です。
- FLAC(.flac、.oga、.mka 等)
- フリー・ロスレスという、フリーで公開されている音質ロスがない形式。
音質の劣化なしで、音楽ファイルを約 1/2 ほどに圧縮できます。
ビットレート(ビット深度)は 32bit まで、サンプリングレートは最大 655.3 kHz、スピーカー数は 7.1ch 対応です。
高音質ですが使えない機器も多いため、対応に注意しなければなりません。
- WMA(.wma、.asf)
- Windows で使用されている圧縮音楽ファイルです。ウィンドウズ・メディア・オーディオの略。
音質は CD と同等で、サンプリングレートは 48 kHz まで。圧縮率は約 1/5 ほど。
低ビットレートでは mp3 より高音質でしたが、高ビットレートでは差はなく、ファイルサイズがやや大きめ、Apple の iPod で使えなかったこともあり、mp3 ほど普及しませんでした。
著作権保護機能を早期に盛り込んだことも、逆に普及の妨げになっています。
ただ、Windows で使われている形式なので見る機会は多いです。
- AIFF(.aiff、.aif、.aifc)
- 以前の Apple のパソコンで使用されていた音楽ファイルです。
しかし現在の Apple の製品は AAC や Apple Lossless(ALAC)に移行しているため、もう古い形式です。
まだ iPhone などで使うことはできます。
携帯音楽プレイヤーや音響機器、スマートフォンは、それぞれ利用できる音楽ファイルの形式が決まっているので、対応には注意して下さい。(例えば iPhone で wma は使えません)
ただ、音楽ファイルのフォーマットは他の形式に変換(エンコード)することができます。
変換用のソフトウェアはたくさんあり、検索すればすぐに見つかるでしょう。
ハイレゾ(96 kHz 以上の高音質サウンド)で聴きたい場合は、FLAC や ALAC などの高音質用音楽ファイルと、それに対応した再生機器、及び再生ソフトウェアが必要です。
その他 |
ここでは古い性能や、一般の人にはあまり関係なくなっている項目をまとめています。
(パソコンで作曲したい人には大切です)
- 同時発音数
- 音を同時に再生できる数です。
昔はこれが2音や3音のサウンド機能があり、ゲームをしていて、音楽も流していたとすると、これですでに2音。
そこでアラームが鳴ろうとしても、最大数を超えているので鳴らなかったりしていました。
しかし今は十分な数があり、気にする必要はありません。
電子楽器や後述する MIDI 音源などで「同時発音数64音」といった感じの性能表記がある場合があります。 - MIDI 音源
- MIDI は楽譜をデータ化したような規格で、これを演奏するものを MIDI 音源と言います。
昔はデータ量の節約のため、音楽ファイルを直接再生するのではなく、サイズの小さな MIDI ファイルを使ってゲームなどの BGM を鳴らしていました。
しかし今はデータの保存量が増えたため、MIDI はそういった用途では使用されていません。 - 現在の MIDI は主に DTM(デスクトップミュージック、コンピューターを使った作曲)で用いられます。
MIDI はあくまで楽譜的なデータであって、音をそのまま録音している訳ではないため、どんな音色で演奏するかは後から自由に編集できます。
そして使用する MIDI 音源によって、多様な音色を使えたり、特殊な音を出せたりします。 - MIDI 音源にはパソコンで処理を行う「ソフトウェア MIDI 音源」と、専用の機器を使う「ハードウェア MIDI 音源」があります。
昔は「ソフトウェア MIDI だとパソコンが重くなる」といった話があったのですが、今のパソコンは高速化しているため、MIDI の処理で重くなることはまずありません。 - サウンドフォント
- MIDI 音源は前述したように、MIDI を鳴らすための様々な音色を持っています。
音源によってはこの音色を追加することができ、それをサウンドフォントと呼びます。
主にクリエイティブ社の Sound Blaster シリーズの機能であり、フリーで公開されているものが多く、ネット上でダウンロードして利用します。
こうした音色のセットをサウンドライブラリと呼ぶ場合もあります。
スピーカーについて |
ここではサウンド機能に付いて色々説明をしていますが・・・ 実際に音が出るのは「スピーカー」です。
オンボードの機能やサウンドカードがいくら良くても、スピーカーが良くないと音にも限界があります。
サウンド機能とスピーカー、その2つがそろってはじめて高音質が期待できます。
スピーカーはオーディオ機器なので値段はピンからキリまであり、高いものはすごく高いです。
信頼があるのは音楽メーカーのものですが、ノイズ除去機能など、パソコンのスピーカーならではの機能はパソコンメーカーのものの方がよかったりします。
いずれにせよ、パソコンで使うならパソコン用が無難です。
まずは出力数をチェックしましょう。
「5W(ワット)」や「10W」と書いてある数字で、これが大きいほど高い音や、重低音、高周波の音でも綺麗に表現できます。
逆に低いと、高音や重低音でビリビリというノイズが出やすくなります。
5W ぐらいだとノイズが入る場合もあるので注意しましょう。
次に防磁タイプかどうか。
スピーカーは磁気を持っていますが、そのためにパソコンやディスプレイの横に置いたりすると、画面が歪んだり、パソコンに影響を及ぼしたりします。
パソコン用のスピーカーなら防磁シールドが付いているので安心ですが、普通のオーディオスピーカーや安物のスピーカーの場合は注意して下さい。
次にアンプ内蔵タイプかどうか。
アンプ内蔵とは要するに、ボリュームがついているスピーカーです。
サウンドカードの中には基本音量のすごく低いものもあるので、スピーカーで音量が調整できないとまともな音で再生できない場合もあります。
それにスピーカーのつまみでボリューム調整できた方がラクですね。
もちろん音楽をやっている人や、音質にこだわる人は、別にアンプを用意してもいいでしょう。
スピーカーには普通の2個セットのもの、2個+ウーハーの 2.1ch、5個+ウーハーの 5.1ch、さらに 7.1ch があります。
古いスピーカーで、5.1ch 以上対応でない音楽ファイルを、5.1 ch 以上の環境で演奏するには、「ドルビーデコーダ」(オーディオデコーダ)という音を分散させる機能、及びソフトウェアが必要になります。
ただ、最近のセットスピーカーならその機能は内蔵されているはずです。
スピーカーの一番重要なポイントは、やはり「音質」ですが…
これは実際に聞いてみないと判断できませんね。
最近は音声認識機能を内蔵している高性能 PC スピーカーも登場しています。
お高いですが、高級品である分、性能は良いはずです。
ディスプレイ(モニター)にスピーカーが内蔵されている場合もあります。
一昔前は内蔵スピーカーの性能はたいしたことなく、高音質を楽しみたいなら使うべきではありませんでした。
ただ、最近は製品のウリとして、音響メーカーと提携し、高品質なスピーカーを備えているディスプレイ(モニター)も登場しています。
ノートパソコンも昨今は有名音響メーカーのスピーカーを載せることが増えています。
それほどこだわりがないなら、そうした製品を選ぶのも良いでしょう。
私的には、内蔵スピーカーは低音の広がりが弱い印象もありますが…
(低音は振動が機器に悪影響なので抑えている。高音は新しいものなら割ときれい)
スピーカーの設置については、後述するオンキヨーさんのインタビューに関連した話があるので、そちらをご覧下さい。
多くのスピーカーがある場合は、その中心点に自分が来るようにしましょう。
ONKYO(オンキョー)さまのお話 |
展示会で音楽機器メーカー「ONKYO(オンキヨー)」の担当者さまから、色々なお話をお伺いすることが出来ました。
やや古いインタビューですが、今でも役に立つお話が多いです。
パソコンで音楽環境の構築をする際の参考にして頂ければと思います。
● ONKYO さん 2009年10月
担:本日は iPod のデータをデジタル出力可能なドックをご紹介しています。
私:デジタル出力の方が、やっぱり音はいいんでしょうか?
担:環境にもよりますが、ノイズが入らないため音質は良くなります。
音楽データの持つ音をそのまま再現することが出来ますね。
私:デジタル入力のあるスピーカーは、やっぱり高いですよね?
このままデジタルケーブルでスピーカーに繋げれば音が鳴るのでしょうか?
担:アナログ入力しか出来ないスピーカーよりは価格は増しますが、昔ほど高い訳ではないですよ。
このドックはデータ出力のみなので、アンプは別に付けるか、アンプ内蔵のスピーカーを使う必要があります。
私:(展示されているスピーカーを見て)これってスピーカーにウーハーも付いてますよね。
ウーハーって別になっているものが多いですが、一体型でもいいんですか?
担:ウーハーと一体型になっているスピーカーで音作りをした方が良いですよ。
ウーハーが別になっている方がより低音を出すことができますが、音が別々になってしまいます。
サブウーハーに加えてウーハー一体型のスピーカーを使う方もおられますが、そこまでしなくても良い音になりますよ。
私:サブウーハーってよく部屋の隅の床に置けと言われますが、やはりその方が良いんでしょうか?
担:サラウンド効果を期待するならその方が良いです。
そちらの方が低音もより響きます。
私:このスピーカーはパソコンで使うにはちょっと大きいですが・・・ やっぱりスピーカーは大きい方がいいんですか?
担:やはりスピーカーは大きい方が音響を得られますからね。
もちろん、スペースの問題もあるとは思いますが。
私:スピーカーって硬いところの上に置いた方が良いんですよね?
何か他に注意することってありますか?
担:置く場所は硬いところの方がいいです。
そして重要なのは、「インシュレーター」というスピーカーの下に張るゴムがあるんですが、これを必ず付けて下さい。
張られない方がおられるのですが、これがないとスピーカーが振動して音が悪くなります。
私:スピーカーの下に10円玉とか5円玉とかを挟んだらいいとか聞きますけど、あれって本当なんですか?
担:あぁ、それは本当です。
10円玉もインシュレーターの代わりになりますよ。
何もないよりは10円玉を挟んだ方が絶対いいです。
私:パソコンで音楽を聴く時にこうした方がいいと言うことはありますか?
やはりサウンドブラスターなどのサウンドカードを使う方が、音質は良くなると思うのですが・・・
担:サウンドカードを使うよりも、外部音源を使うのをオススメします。
パソコンの中は電気や磁気が多く、必ずノイズが入ってしまいます。
外部音源ならそれらのノイズから離すことが出来ます。
外部音源は USB 接続のもので構いません。 USB でもデジタルで出力が可能ですから。
音質は外部音源にするだけでも、かなり違いますよ!
○ オンキョー AV機器 トップページ(ONKYO DIRECT)
- TSUKUMO:サウンドカード:まだサウンドカードを多数扱っています
- Amazon:PC サウンド機器:最近は Amazon も PC パーツを扱います