2013年の7月末日、東京・秋葉原のマウスコンピューター本社で |
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【 パソコンの開発秘話 2013 】 まず 2013年6月 に登場した新型 CPU のハスウェル(Haswell)についての秘話が語られました。 この CPU は性能も若干向上しているのですが、どちらかと言うと省電力機能の強化がメインです。 (よって巷ではノート PC 用の CPU とも言われています。 まあそれは 2012 年の Ivy Bridge の時も同じでしたが) しかしこの CPU は省電力のレベルが C1 〜 C7 までの7段階存在していて、一般の流通市場・自作市場に出回っている製品はこれを無効化しているか、有効にできてもせいぜい C2 までの場合が多いそうです。 なぜなら C6 や C7 は省電力化が強すぎて、ほとんど寝ているレベルであり、構成によっては電力不足に陥ってパソコンが落ちてしまうからだそうです。 そうなると不良品として突き返されるケースが出てきます。 それでもマウスコンピューターは「こだわりのパソコンを作る」という考えの元、C6 や C7 の省電力化を有効にする事を目指したそうですが、この省電力機能の詳細が Intel から発表されていないうえに、パーツごとのテストが大変で、おまけにそれほど消費電力は変わらず、すごく頑張っても 1W も下がらない、みたいなこともあったそうです。 「しかしそれでもマウスは C6 〜 C7 で出してます」とのことで、新パーツや最新技術の導入はやはり苦労が多いようです。 また、同じくテストが大変な例として「現在は2種類の Windows が均衡して存在している」ことが上げられていました。 2013 年現在、新しいパソコンに搭載されている OS は Windows 7 と Windows 8 がほぼ半々のようです。 こうなると両方の環境で製品テストをしなければならない訳で、手間は2倍以上。 これに加えてハスウェルが登場し、新型のチップセット(マザーボード)まで登場したため、ますますテストが大変な模様です。 これは PC の販売メーカーだけでなく、パーツの開発メーカーにとっても同じであり、パーツの中には一方 OS でしかテストを行っていないものもあるそうで、これまで以上に相性問題や不具合が発生しやすい状況になっているそうです。 「最近は自作における相性問題が減っていて、相性保証を付けている人も少なくなっているようですが、現在はそうではないので自作している方はご注意下さい」とのことでした。 そして、「マウスはそれでも頑張って Windows 7 と Windows 8 の両方を選べるようにしています」とアピールされていました。 また最近の取り組みとして、取り外し可能な水冷クーラーの開発を目指しているそうです。 水冷クーラーは冷却性能が高くて放熱も低く、省電力化が叫ばれている昨今さらに人気が高まっていますが、着脱が簡単ではないため CPU の交換が難しくなる難点があります。 そこでもっと簡単に取り外しできて、ユーザーが水冷でも CPU 交換しやすいものを作ろうと頑張っているそうです。 また、最近の CPU は発熱が低くなっていて空冷でも音は静かなので、むしろビデオカードの側を水冷にしようという開発が進められているそうです。 ただ、現時点ではまだ液が漏れるそうで、実用化には至っていないようです。 これはまだ「いつか出来ればいいなぁ」みたいな状態のようなので、今後に期待といったところでしょうか。
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【 マウスコンピューターの「こだわり」 】 マウスコンピューターは単にパソコンを組み立てて売るだけではなく、秋葉原のパソコンショップらしい「こだわり」を持った開発が行われています。 この辺の PC 開発のこだわりについては以前の展示会でも紹介されていて、その時はマザーボードや電源ユニットなどの、主にパーツ開発に関する技術アピールが行われていたのですが、今回は PC 構成に関するこだわりが紹介されました。 基本としては「コンテンツに特化したパソコンの開発」「特徴のあるパソコン作り」を行われていて、「低価格だけじゃない」というのがアピールされています。 一例として、新発売のノートパソコン「LuvBook K」が紹介されました。 これは最新の Haswell CPU を使用し、ビデオカード(VGA)に GeForce GT 750M を搭載したモデルで、価格は約 10 万円です。 マウスらしい VGA 搭載型ノートで、その時点ですでに特徴的なのですが、同様のモデルは他社にもあります。 そこで今回は「こだわりポイント」として、メモリに GDDR5 を使用したそうです。 「GDDR5」はビデオカード専用の新型メモリで、ベンチマークソフト(性能計測ソフト。3D Mark Vantage)の測定でも、現在主流の DDR3 を使ったモデルがスコア 10000 だったのに対し、LuvBook K は 12000 と 1.2 倍のスコアになったそうです。 これで価格は他社と同じレベルなので、こうした点で差を付けていこう、ということのようですね。 また、ユニークだったのが「売れている BTO 構成」の紹介。 最近のパソコンは発注時にパソコンの構成を選択でき、これを BTO と言いますが、マウスコンピューターのノート PC の BTO で選択される率が高いパーツと、その割合は以下の様になっていたそうです。
こうした需要のあるモデルを調べて、それを開発していこうというのも基本となっているようです。 他に、大手が手を出しにくいテクノロジーに挑戦するというのもあるようで、その一例として Intel が開発中の新型 CPU 内蔵グラフィック機能 Iris Pro 5200 のデモ機を開発したことが紹介されていました。 Iris Pro 5200 はベンチマークソフト(3D Mark Vantage)の計測では、GeForce GT 740M より上、GeForce GT 750M と同等の性能があるとのことで、つまり現行のノート PC 用の低価格ビデオカードと同じレベルの性能を、オンボード(内蔵型)でありながら持っているようです。 これによってノート PC やタブレット、ウルトラブックのグラフィック性能の大幅アップが期待できるようですが、まだあくまで開発中の段階で、製品化はスムーズに行けば秋頃の予定・・・ とのことです。 他に、フルHD で5万円台の Windows タブレット「LuvPad WN1100」など、新機軸のモデル開発を行っていることがアピールされていました。
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【 G-Tune と Mouse Pro 】 マウスコンピューターには2つの大きな「ブランド」があります。 おそらく今一番日本で売れているゲーミングパソコンのブランド「G-Tune」と、業務用のクリエイター向けのパソコンブランド「Mouse Pro」です。 今回はこれらのブランドの解説も行われていました。 G-Tune についてはゲーム用途に絞っているブランドであり、「ゲームユーザーのニーズに応えるのを第一」としているそうです。 特に熱対策にはこだわりを持っているようで、今回はエアフロー(通気性)を重視した設計と、前面メッシュ(通気口のホコリよけ)をワンタッチで取り外せるなどのメンテナンスの良さを主にアピールしていました。 また USB ポートなどを本体上部に集中させ、床に置いて使う時に使い勝手が良くなる設計をしているそうです。 ただ私的な感想を言うと、それらは他社もやっていることであり、ゲーミング PC としては特に珍しい訳ではありません。 パーツ構成としては「ロースペック CPU + ミドルスペック VGA」を組み合わせた、ゲーム用途向けのコストパフォーマンス重視型(NEXTGEAR-MICRO)が人気なようです。 59800 円からの低価格モデルで、これについては前年も「こればっかり売れてしょうがない」という営業の方のお話を聞いていました。 このぐらいの値段なら、少し高めのゲーム機といった感じで買えますからね。 一方で、15万円から20万円クラスのハイスペックモデル(MASTERPIECE)の売れ行きも良いようで、Z87 のマザーボードに Haswell CPU の Core i7-4770k を搭載し、GeForce GTX 770 を使ったモデルが、上位モデルの中では現在マウスコンピューター NO.1 とのことです。 実際、私が今パソコンを買う場合でも、この構成を選びますね。 ちょっとマニア向けかもしれませんが。 他に SSD を RAID 0 で搭載した、44万円という軽自動車が買えるぐらいの最強ノートも開発し、他がやっていない取り組みを行っているとのことです。
一方 Mouse Pro は、建築や設計、イラストレーターや 3D モデルクリエイターなどを対象としたモデルで、「顧客は法人と個人が半々」とのことです。 ハイエンド製品ほどコストパフォーマンスが良いのが特徴で、今回は 15.6 型のノート PC でありながらハイスペックなビデオカード Quadro k3000M と高性能液晶を搭載したモデルを紹介し、現場で快適に 3D モデル見られるため、特に建築関係の方によく売れていたことなどが話されていました。 ただ、現時点(2013年7月時点)ではこのモデル(MousePro MB シリーズ)は販売されていません。 法人向けの取り組みとして、初期不良率の徹底的な軽減や、5年の長期保証を行っている点などがアピールされていました。
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【 NVIDIA(GeForce シリーズ開発メーカー)の方のお話 】 マウスコンピューターの展示会では毎回、大手 PC パーツメーカーの方がゲストとして招かれています。 今回はビデオカード(VGA、グラフィックカード)の定番「GeForce シリーズ」の開発元として知られる、「NVIDIA」社の方が来訪していました。 そのお話は GeForce の技術アピールではなく、昨今の PC ゲーム業界の動向から始まりました。 まず現在、コンピューターゲーム全体の売上が PC にシフトしていることがグラフと共に紹介されました。 家庭用ゲーム機のソフトの売上が横ばいか下降に転じている一方で、PC ゲームの売上は伸び続けているそうです。
PC のゲームソフトは Steam などのダウンロード販売がメインで価格も違うため、小売り販売のゲーム機のソフトと単純比較は出来ない気がするのですが、ただ海外を中心にゲームのシェアがパソコンやモバイルに移っていることは確かなようです。 また(世界的なゲーム市場の)全体的な傾向として、以下のような流れになっているそうです。
要するに高性能ビデオカードとゲーミングモデルの需要は今後さらに伸びていくだろう、という「予測」です。 また、ゲームは「見るスポーツ」と呼ばれていて、それをサポートするソフトウェアの開発も進めているとのことで、「Shadow Play」という GeForce 専用ソフトが紹介されました。 これはゲームのプレイを直近 20 分まで自動で録画するもので、GeForce の機能を活用しているとのことです。 この機能はあまり詳しく紹介されませんでしたが、「Kepler」と呼ばれる最新 GPU(ビデオカードのCPU)に備わっているエンコード機能(動画の圧縮・保存機能)を活用したもののようで、8月に提供される予定とのことです。 他に、利用しているソフトと PC の環境に合わせ、最適な設定を自動で選んでくれる専用ソフトウェア「GeForce Experience」の紹介が行われました。 ビデオカードにはテクスチャ(3D モデルの表面に描く絵)、シャドウ(陰影)、テッセレーション(遠近法表現。近くを鮮明にして遠くをぼかす)、アンチエイリアス(3D モデルの境界線を滑らかにする技術)などの様々な設定がありますが、そんなもの一般の人はほとんど解りません。 しかしこのソフトを使えば、クラウド(インターネット)を通してパソコンの環境と利用ソフトに合わせたデータを収集し、最適な状態に自動設定してくれるそうです。 まだ6月にスタートしたばかりで、80 タイトルほどのソフトにしか対応していないそうですが、今度もっと増やしていく予定との事です。 続いて、最新の GeForce である「GeForce 700 シリーズ」の技術解説が行われました。 まず GeForce GTX 780 は、コア(GPU)の速度 +50 %、メモリ幅 +50 %で、GTX 680 と比べて +70 %の性能アップを実現した、とのことです。 ただしあくまで「当社比」ですが。 また、GPU Boost 2.0 という機能を搭載しており、温度がそれほど高くない時、自動でクロックアップ(性能アップ)する機能が盛り込まれているそうです。 これは CPU における同様の機能(ターボブースト)の GPU 版ですね。 GPU Boost 2.0 が搭載されていると GPU の負荷が高くなり、ファンの速度が一定せず騒音が増すため、それを抑える「アダプティブ温度コントローラー」というものも搭載されているそうで、これによってファンの振動を最小に抑えるようになっているそうです。
次に GeForce GTX 770 ですが、これはメモリの速度は過去最速となっているそうです。 前述のファンの振動を抑える技術もあって、静音性も高いとのこと。 また SLI(ビデオカードを2枚同時に使う技術)については、この製品が一番が能力アップするそうです。 なお SLI はスケーリング(性能調整)が進んでいて、以前は SLI にしても 1.2〜1.5 倍程度しか能力アップしないと言われていましたが、現在は 1.7 倍はアップするようになっており、今後も改良を続けていくとのことです。 ミドルクラスの GeForce GTX 760 は、同クラスの旧モデルと比べて特に能力アップが大きいとのこと。 ビデオカードと言えば「ドライバ」(パーツを最適な状態で動作させるためのソフトウェア)も重要ですが、GeForce にはドライバ専門の開発チームがあり、各ゲーム会社との関わりも深く、多くの協力を得られているため、その開発力についてはうちが一番だというアピールも最後に行われました。 実際「ゲームソフトをトラブルなく動かす」という面を重視するなら、GeForce がベストであることは間違いありません。 ゲームエンジンの作成段階から関わっていることも多く、ドライバのアップデートミスもしないよう常に心がけているとのことです。 |
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【 感想 】 これはコストパフォーマンスが高いモデルや高性能モデルが多い、マウスコンピューターの知名度が上がったのも大きいと思われます。 パソコンの価格も数年前と比べると、かなり下がりました。 昨年は軽くて薄いウルトラブックが注目だったのですが、今年はまた性能の良いデスクトップが人気になっている印象があります。 |
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